風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

詩人

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 田村隆一の紀行エッセイ集「ボトルの方へ」を読み了える。
 僕は2000年、思潮社「田村隆一全詩集」を意を決して予約注文した。2007年初めより読み始め、5ヶ月間かけて読み了えた。1,500ページ近い、2重箱の大冊は、僕の本棚の宝物である。
概要
 田村隆一(たむら・りゅういち、1923年~1998年)は、詩誌「荒地」の創刊に参加し、戦後詩に多大な影響を与えた。また無類のお酒好きとして知られた。
 「ボトルの方へ」は、河出文庫、1982年・刊。ページはもう茶ばんでいる。
 すでに読んでいるかと、ブログ「サスケの本棚」、「風の庫」を検索したがヒットしないので、読みかけのままに仕舞って置かれたのだろう。
 大きく第1部「ウィスキー讃歌」と、第2部「僕の酔夢行」に別れる。
感想
 第1部「ウィスキー讃歌」は、カメラマンと共に、イギリスの各所のウィスキー醸造所を巡る旅である。
 章名でわかるように、お酒好きが、微細にわたり、心を籠めて、醸造法とウィスキー各種を褒め称えている。

 第2部「僕の酔夢行」は、日本各地の(戦時下の)思い出の地、また浅草三社祭、「越の寒梅」を求めて等、各地で日本酒を楽しむ旅である。
 全5編の内、「若狭の水」、「越の寒梅」、「越前ガニを食いに行く」と、3編もわが北陸を旅しており、地元民として嬉しい。
 ただし今の僕は、ほとんどお酒を飲まない。若い時には1時、ずいぶん飲んだものだが。


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 昨日の記事で受贈を報せた2冊の内、エリザベス・グレイス・著、稲木信夫・訳「日本女性プロレタリア詩人中野鈴子」を読みおえる。
 2016年3月・刊。私家版。軽装版、57ページ。
 イギリス在住のオックスフォード大学院生(当時)、エリザベス・グレイスさんの修士論文(2009年)を、詩人であり中野鈴子・研究家の稲木信夫さんが邦訳した本である。訳文が生硬で、やや読みにくい。
 中野鈴子は中野重治の妹であり、戦前から戦後にかけて、プロレタリア詩人として活躍した。
 しかし蔵原惟人、アルチュセールら旧・左翼の理論家に批判的に取り上げようとしても、既に古過ぎる。
 茨木のり子・詩集「倚りかからず」(1999年・刊)の中の「倚りかからず」冒頭で「もはや/できあいの思想には寄りかかりたくない」と謳われた通りである。
 僕の読書のストライク・ゾーンは広い(これに就いては1度書きたい)が、僕の経歴から高く評価するだろうとこの本を下さったのなら、危険球のボールである。
 中産階級出身らしい、母性からの(中野鈴子は一人の子供も持たなかったが)、戦時下抵抗という視線は新しいけれども。


 

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