風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

詩集

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 前川幸雄・詩集「弐楽半のうた」を読み了える。9月29日の記事「贈られた2冊」で紹介した、前川さんよりの2冊のうちの1冊である。
概要
 2017年9月、土曜美術社出版販売・刊。165ページ。
 前川幸雄(まえがわ・ゆきお、1937年~)さんは、国学院大学博士課程卒業後、工専講師時代に中国・西安外国語学院・他に留学し、上越教育大学・福井大学・仁愛大学で教授として、国語・中国語・漢文学を教えた。現在はカルチャーセンターの講師を務めている。 
 彼は、詩作(これまでに6冊の詩集)の他、現代中国詩の邦訳の先達として熱心で、これまでに5冊の翻訳詩集を出版している。他に翻訳小説集、漢詩を中心とした研究書がある。
感想
 5枚の日本画をめぐる4編の詩は、絵の鑑賞を越えて、思想を汲み取ろうとしている。
 「友情風景」9編では、友人、生徒、中国の詩人との友情を描く。
 また「先師追憶」5編では先達の師との出会いを描く。
 学問の、中国詩人の、知友の多い人である。
 橘曙覧になりかわった、「橘曙覧さんからの言伝て」なども面白い。
 詩と研究と教育に生涯を捧げて、傘寿を迎えようとする、幸福な学徒である。



詩集

 今月1日の記事
「贈られた2冊と届いた1冊」で到着を報せた3冊の内、初めの1冊、黒田不二夫・詩集「キャベツの図柄」を読み了える。
概要
 黒田さんは、福井県に在住、長く教職にある。教員、同・経験者が同人の詩誌、「果実」に参加している。
 第4詩集。2017年9月20日、能登印刷出版部・刊。
 帯、カバー、85ページ。4章(Ⅰ~Ⅳ)に分け29編と、あとがきを収める。
感想
 第Ⅰ章の冒頭「ネコ派 イヌ派」では、「自分の詩はネコ派でありたい」と述べる。
 「キャベツの図柄」では、全5連の第4連で、次のように書く。
たかが野菜と言うなかれ
ぴっちりと葉を巻いて育つキャベツ
このようにぴっちりとした
生き方ができるか
 キャベツの断面に、人生を想う、優れた作品である。
 第Ⅱ章に入って、「箱をつぶす」で、つぶした箱を様々に述べるが、箱とは現役教員のプライドだろうか。
 第1章、第Ⅱ章では、物に寄せて人生を描いているようだ。

 第Ⅲ章は、想像力を用いて世情への批判のようだ。「銀色の鳥」では、小都市の路上に降り立った銀色の鳥、「日野川沿いの田んぼに」では、田んぼに浮かぶ軍艦を、出現させている。
 第Ⅳ章では、家族との関わりを描いて、老いに入る境地を描く。
 「母の箱」より、1部を引用する。
箱に貯めていたものは
母であった証
母であろうとした証
母でありたいために捨てざるをえなかったもの
今 介護施設にいる継母
 「あとがき」で「人生最後の詩集になるかも知れないという思いは強い。」などと言わないで、これからも長く活躍してほしい詩人である。


 

 最近に贈られた、詩集1冊、詩誌1冊、届いた短歌結社誌1冊を、紹介する。
 9月29日の記事
「贈られた2冊」に続き、近い内に2度の紹介である
詩集
 まず県内にお住まいの詩人・黒田不二夫さん(同人詩誌「果実」所属)が、第4詩集「キャベツの図柄」を贈って下さった。
 2017年9月20日、能登印刷出版部・刊。85ページ。

詩誌
 また県内にお住まいの詩人、N・としこさんが、同人詩誌「角(つの)」第44号を、贈って下さった。
 先だって逝かれた同人・岡崎純さん(福井県詩人懇話会の前・代表を長く務め、基礎を築いた)の、追悼特集である。
 2017年8月25日・刊。同人18名、48ページ。

歌誌
 僕が所属する結社歌誌「覇王樹」の、2017年10月号が届いた。
 僕の6首(出詠8首より選)や、題詠1首、被批評などは、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、
9月30日付け記事より、順次紹介するので、横書きながらご覧ください。
 3冊ともそれぞれ、読み了えたならここで紹介したい。



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 先日、福井県に在住の詩人・前川幸雄さん(福井県詩人懇話会の元・事務局長、現・副代表)より2冊を、「鯖江詩の会」を通して贈られた。
 前川さんは詩作(「鯖江詩の会」の同人詩誌「青魚」に発表)の他、現代中国詩の翻訳の先達であり、5冊の翻訳詩集を出版している。またカルチュア教室では、中国古典の指導もしている。
 上の詩集は、孟子、列子の言葉、カルチュア教室の皆さんの言葉から、「弐楽半」と名付けたと「まえがき」にある。
 2017年9月、土曜美術社出版販売・刊。165ページ。

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  また文学総誌「縄文」創刊号を贈られた。文芸作品(詩、漢詩、短歌、随想)だけでなく、諸研究(作曲家・今川節を巡って、一般研究、等)も掲載するので、文学総誌と名付けられた。B5判、22ページ。執筆者8名。2017年5月・刊。
 いずれも読み了えて、ここで紹介したい。


詩集を祝う会a
 9月16日(第3土曜日)午後1時半~4時半、あおっさビルの1室で、福井県詩人懇話会・主催、中日詩人会・福井詩話会・共催の、「第36回 会員の詩集を祝う会」が持たれた。
 詩の催しとして、7月18日にアップした、「現代詩作家・荒川洋治氏・受賞記念講演」以来である。
 T・篤朗さんの総合司会で、福井県詩人懇話会・代表のW・本爾さんが、先日に福井で100m競走で日本人選手が10秒を切った話題に絡め、詩集発行という目標を達成した思い、見えてくるものを聴きたい、と挨拶した。
 U・千枝美さんが自作詩「北へ」を、A・雨子さんが「空気銃」を、K・久璋さんが「つくもがみ」を朗読した。
 その後、U・千枝美さんの詩集「ひこばえ」をめぐって、作者にK・八重さんがインタビューした。二人は20年来の友人という。K・八重さんの問いに、詩集タイトル、表紙絵に就いて、どのような時に詩が出来るか(Facebookの写真に付けた言葉が元になる、と答えた)、これからはうなずき合える瞬間の生れる詩を書きたい、等と答えた。
 A・雨子さんの詩集「東京ベースボール」をめぐって、作者にS・周一さんがインタビューした。A・雨子さんは、「詩はまとまろうとするので、皆さんのイメージを壊して揺らしたい」「詩集を壊す作品がある」「散文とは全く違うところで詩を書いている」等と述べた。
 K・久璋さんの詩集「鬼神村流伝(きじんそんるでん)」をめぐって、作者にS・公子さん(石川県より駆け付けて下さった)がインタビューした。
 叙情的叙事詩として、叙事詩とは物・事・人・時間をめぐる作品である事。民俗学者として地霊的叙情性である事。S・公子さんより、説明のない叙述が優れている事、今の風土性の中に、時間軸を持ち込む奨め、等が述べられた。
 最近に詩集を発行した三人に、インタビュアーより花束が贈られ、副代表のM・幸雄さんの閉会挨拶で会を締め括った。
 そのあと、全体写真を撮影して、散会した。参加者は、中日詩人会からの詩人、上の写真に入りきらなかった人、遅れて来た人を含めて、26、7人くらいだった。



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