風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年2月20日で以って、Kindle本・短編小説「底流」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「柴田哲夫 底流」と検索すれば、すぐに出て来ます。柴田哲夫は、Kindle版・詩集「詩集 日々のソネット」、「改訂版ソネット詩集 光る波」と同じく、僕のペンネームです。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

詩集

 Kindle版「室生犀星作品集」より、「忘春詩集」を読み了える。
 前回の「抒情小曲集」は、今月4日の記事にアップした。




 室生犀星(むろうorむろお・さいせい、1889年~1962年)は、既に著作権が切れており、こういったKindle版・作品集を、99円という破格の値段で出版できるのだろう。
 「忘春詩集」の原著は、1922年、京文社・刊(Wikipedeiaに拠る)。

 「忘春詩集」は、自序と「忘春詩集」編、「わが家の花」編、「古き月」編、「かげろふ」編等より成る。
 「忘春詩集」編では、「象」などの骨董趣味、「童心」などの作庭趣味が、既に始まっている。
 「わが家の花」編では、儲けた幼児を亡くした悲しみ、寂しさがうたわれている。僕は子を亡くした悲しみを知らないが、切々とうたわれて、心に迫るものがある。
 「古き月」編の「貧しきもの」では、極貧時代を経た者としての心情、買い物などを描く。

 1919年には中央誌に小説が載り、作家として成功しつつあったが、詩作を続けた。この作品集に「愛の詩集」、先の「抒情小曲集」と、詩集は3冊のみらしく惜しまれる。
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。



 先の4月15日の記事、入手した3冊を紹介する(8)で報せた内、Kindle版「室生犀星作品集」より、「抒情小曲集」を読み了える。


室生犀星作品集
 この作品集の作品の順番は、分類別でなく、題名のあいうえお順なので、独特である。室生犀星の詩集は、古い岩波文庫(1965年・12刷、自選)しか持っていないので、新しく多くの詩に出会える。

 「抒情小曲集」は、「愛の詩集」に次ぐ第2詩集(同年に刊行された)である。
 94編の短詩を集めている。白秋、朔太郎、自分、他の序文が長い。
 「特つた」(持った?)、「青さ波」(青き波?)、「葱はおとろゆ」(衰ふ?)等の、誤りと見られる箇所がある。
 「みやこへ」(7行)には、「けさから飯も食べずに/青い顔してわがうたふ」のフレーズがあり、生死を賭けた、飯よりも詩が好きな例の、詩である。
 3部の内の第2部に移ると、5音句・7音句が多くなり、「時無草」のような冷たい抒情が見られる。
 第3部の「街にて」では、「…服は泥をもて汚され/…/れいらくの汚なき姿をうつす/…/血みどろに惨としてわれ歩む」と困窮の様を描いた。
 小説家へ移行して成功するまで、当時の多くの若者詩人の一人だったのだろう。


 昨日の記事、矢野一代・歌集「まずしき一冬」を読む、に継ぎ、「覇王樹」編集部より依頼の3冊めの紹介を転載する。


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 森川龍志歌集「幻の森まで」。
 詩集「バルカロオレ」、「幻を埋む」を持つ著者の、第1歌集。彩雲叢書第8編。栞には、文学博士・比較神話学研究の篠田知和基氏、歌人・美術家で歌誌「彩雲」代表の田中伸治氏、版画家・画家の越智志野氏、3氏が賛辞を寄せている。
 箱入り、1ページに2首、あるいは1首と詞書きのような行で構成され、贅沢な造りである。
 思いを強く打ち出して、描写ではなく、詩人らしい詠みぶりである。旋律と和声を伴った、妙音が読者に奏でられる事を願われている。

早春の暮れゆく先の杣道は少年の日の森へと続く
春惜しむ風の強きに部屋にゐてかすかに揺らぎつつ字引ひく
魔が時の頭上に蝉の時雨るるも井戸の底には滴りもせず
呂の音で始まる歌が氷雪の大地のどこかで燃え出づる頃
光ひとつあら野の中にまたたきて花苑の主の招待を受く
 (書肆 露滴房 2019年11月28日・刊)



 県内にお住まいの詩人、西畠良平さんが贈ってくださった詩集、「溶け出した言葉」を読み了える。
 受贈は、今月15日の記事、入手した3冊を紹介する(8)にアップした。概要の1部を挙げたのでご覧ください。



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 31編の詩を収める。すべて14行詩である。ソネット詩集として構想されたらしい。
 しかしリルケ、ボードレール、谷川俊太郎のソネット、4行、4行、3行、3行のイタリア式でも、シェイクスピアの4行×3連+2行でもない。構想を崩して表記したらしい。

 同人詩誌「螺旋」の仲間だった時代があるが、批評会などで会う時が少なく、印象は薄い。
 ほぼ同年代の生まれで、作品「連帯を求めて孤立を恐れず」の反骨や、「溶け出した言葉」の危機感(今の政権の言語感覚のいい加減さに因る)を、表明している。
 「鉛の兵隊」では自衛隊の実戦能力がない、国民を守る意思がない、と主張するようだ。 
 「針山のレディバード」はレトリック的に優れており、末3行は「どちらにせよ ぼくは/凍えたまま 座り込んだ位置から動けずにいる/そして 少しずつ凍り付いていくだけだ」と、凍り付いても権力の側に行かない意志を表明する。「逝く夏」では、成熟があり、表現が整っている。
 西畠良平さんのこれからの作品にも期待したい。





 最近に入手した3冊を紹介する。

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 県内にお住いの詩人、西畠良平さんが、詩集「溶け出した言葉」を贈って下さった。
 2020年5月・付け、紫陽社・刊。
 66歳にしての、第1詩集である。



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 本阿弥書店より、総合歌誌「歌壇」2020年5月号が届いた。
 6月号以降も本誌を取ることに決め、近いうちに半年分の誌代を振り込む予定である。
 連載「平成に逝きし歌びとたち」は今号、二宮冬鳥である。彼を尊崇する鈴木竹志さん(「コスモス」でのかつての先輩)は、大喜びだろうか。
 同・4月号の感想は、先の3月23日の記事にアップした。




室生犀星作品集
 AmazonのKindleより、「室生犀星作品集」をタブレットに、ダウンロード購入した。
 室生犀星は気になる作家・詩人だけれども、作品集を持っていなかった。99円(税込み)より、Amazonポイント、6ポイントを引いての購入だった。1詩集1作品、小説1編1作品の数え方である。僕がかつて読んだ長編小説「杏っ子」が入っていない。
 Kindleで買った作品集では、「橘曙覧 全歌集」、「若山牧水大全」、「D・H・ロレンス詩集」などを読んだが、「与謝野晶子大全」はほとんど手付かずである。


 笠原仙一さんの第6詩集、「命の火」を読み了える。
 入手は、先の1月31日の記事、届いた2冊を紹介する(10)で報せた。



笠原仙一 命の火
 2019年12月28日、竹林館・刊。500部・限定。
 この500部というのは、僕の周囲の自費出版・詩集としては多めで、組織を通して配られるのだろうか。
 45編の詩とあとがきを収め、159ページ。

 仲間から「笠原節」と呼ばれる、ラッパの詩は、僕は苦手である。僕は藤村、白秋、朔太郎の抒情詩から戦後「荒地」派の詩を読んで来たので、プロレタリア文学系の詩になじまない。

 ただ「日の本が滅んでいく」には、題名とは別な仏壇仕舞いの内容で、身につまされた。僕は廃棄物処理の事業所に勤めた時期があって、仏壇屋が仏壇を廃棄物として持ち込むのには閉口した。仏壇屋の仏壇は産業廃棄物だから駄目だと言っても受け付けを通って来る。お精抜き(この字を宛てるのだろう。僧の誦経で仏壇の仏性を抜くこと)をしてあるのかと問うても、無言である。無信心といっても、人々の念の籠もったものを、ゴミとして破砕する事には抵抗があった。
 また「雪よ」には、雪国に住んで、大雪に難儀する庶民の心情を描いて、共感する。




 今月27日に、結社歌誌「覇王樹」2020年2月号が届いた。
覇王樹2月号
 2020年2月1日付け、覇王樹社・刊。40ページ。渡辺茂子・歌集「湖と青花」批評集が特集されている。

 同・1月号の感想は、今月7日の記事にアップした。


 ホームページ「短歌の会 覇王樹」も、協力者によって、既に2月号仕様である。


 「大翼集」に載る僕の6首・他は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、今月29日の記事より順次アップしているので、横書きながらご覧ください。


 詩誌「水脈」事務局の、笠原仙一さんが詩集「命の火」を贈ってくださった。
笠原仙一 命の火
 第6詩集。2019年12月28日、竹林館・刊。500部・限定。




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