風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

詩集

 土曜美術社・日本現代詩文庫27「関根弘詩集」(1990年・刊)より、詩集「街」の抄出版を読み了える。
 今月3日の記事、同・「泪橋」を読む、に次ぐ。
概要
 原著は、1984年、土曜美術社・刊。64歳。
 前年に腹部動脈瘤破裂の大病を患っており(冒頭の詩「病院」で表された)、その時の幻覚聴覚による自殺未遂を経て、体力的に衰えたのではなかろうか。
 後に人工透析を受け、1994年に亡くなっている。
感想

 「劇場」では、「マンションの中の劇場は/いぜんとして貧困と根の切れない/新劇の体質を証明している」と同情するようで、戦前の築地小劇場を懐かしむ。
 「大衆酒場」や「ホテル」では、お酒を好んだ性格が出ている。
 「学校」では「学校そのものが凶器だ」としながら、「復讐するつもりはなかったが/H大の臨時講師になって/詩を講義したとき/学年末にレポートの等級を査定した」と、学歴コンプレックスを晴らした。
 「警察」や「公園」では、変容する時代や社会の、回想に感慨があるようだ。
0-14
写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。



 
このエントリーをはてなブックマークに追加

IMG_20190111_0003
 土曜美術社の日本現代詩文庫・27「関根弘詩集」より、初めに詩集「泪橋」を読み了える。
 購入は先の1月12日の記事、
「届いた3冊(4)」の内にアップした。
概要
 初めの詩集「約束したひと」抄は、これまで紹介して来た思潮社「関根弘詩集」(1968年・刊)に、既にあった。
 また詩集「阿部定」より「阿部定」は、調書のような体裁である。事件をモデルにした大島渚・監督の映画「愛のコリーダ」と内容がほぼ同じなので、ここで取り上げない。
 そこで詩集「泪橋」全編より入る。取り上げるのは、先の2月17日の記事、
関根弘「未刊詩篇」を読む、に次ぐ。
 詩集「泪橋」は、1980年(60歳)、思潮社・刊。42編を収める。
感想

 僕は「列島」系の詩をほとんど読まなかったし、彼が師とする花田清輝、マヤコフスキーの著作を読んでいない。それで関根弘の詩の思考回路がよくわからない。
 「こころにかかる雨」では、「そろそろ帰るか/相手のいないストをたたかっているおれは」と書く。僕も詩「深夜に」で、「ひとりで/僕は目に見えないものと戦ってきた」と書いた。
 「落丁」では「思い出はみごとに埋まって/団地ができている」と、優れた比喩を用いた。
 掉尾の「夢」の、「わたしは大切な時間を/もう使い果たしたということに/なるのではなかろうか」に、憐れな実感がある。
 この土曜美術社「関根弘詩集」には、あと2詩集を収めるのみだが、これまでと合わせて、彼の詩業をほぼ見渡せるのではないだろうか。


このエントリーをはてなブックマークに追加

背後より全景
 2月17日午後1時半より、鯖江市文化の館・図書館の1室で、福井県詩人懇話会・主催の「第39回会員の詩書を祝う会」が持たれた。僕は妻の車の送り迎えで参加した。
 同・第38回の記事は、昨年9月16日付けでアップした。
 参加者は、写真に入りきらなかった人(正面写真では全員が入っている)、後から参加した人を含め、受付の計算で44名だった。地元・近辺、また遠方よりの参加者を含め、予備の長机・椅子を出すほど、盛会だった。

 K・久璋さんの司会のもと、W・本爾・懇話会代表の開会挨拶があった。
 A・雨子さんの第8詩集「冷麺」について、N・千代子さんがインタビュー。
 T・晃弘さんの詩集「降誕」について、M・幸雄さんがインタビュー。
 阿部倹司遺稿詩集「生と詩のあいだ」について、Y・英一さんとA・莉江子さんが述べた。
 会場からの発言も多く、僕も1点、質問した。
 花束贈呈があり、I・信夫さんの閉会挨拶があった。
 時刻が少し早いながら、4時20分頃に散会した。
 内容については、懇話会会報に載るだろう。
 僕はカメラマン役だったが、先ほど見た所、撮り逃がしはなかったようで、ホッとしている。


このエントリーをはてなブックマークに追加

 思潮社「関根弘詩集」(1968年・刊)より、「未刊詩篇」と初期「絵の宿題以前」を読み了える。
 今月11日の記事、
同「約束したひと」を読む、に次ぐ。これでこの詩集を読み了えた事になる。
概要
 未刊詩篇は44編、戦前の初期詩篇「絵の宿題以前」4編を読んだ。
 これらの詩編は、後の土曜美術社出版販売「関根弘詩集」(日本現代詩文庫27)に納められていず、思いきった載せ方である。
感想
 読み了えて、僕は茫然とする。付箋紙を貼ったのは、2ヶ所のみ。「いいか信用するか」の後半「あることないこと信じるは/この世の中で詩人だけ」に付箋して「辛辣である」とメモがある。
 「誕生」の末尾の「母さん/ぼく/星までいかないうちに/悪いロケットのように/燃えつきてしまっても/お願い/悲しまないで……」に付箋して、「悲しい燃え尽き症候群を指すか」とメモがある。
 犯罪者をことさら取り上げた数編があり、追い詰められていたのか。
 感情の海にイデオロギーや芸術論の土砂を埋め立てたような、荒漠としたものを感じる。「批評しよう」と心構えて読む僕にも、いけない面はあるのだろうが。
 戦前の初期作品が重厚であるだけに、いっそう感じられる。
0-04
写真ACより、「キッチングッズ」のイラスト1枚。



このエントリーをはてなブックマークに追加

 思潮社「関根弘詩集」(1968年・刊)より、当時・既刊のしまいの詩集「約束したひと」を読み了える。
 先の1月22日の記事、
同「イカとハンカチ」を読む、に次ぐ。
概要
 原著は、1963年(日本共産党・除名後)、思潮社・刊。このコレクション詩集には、年譜がなく、Wikipediaにも載っていない。
 後に買った土曜美術社出版販売・日本現代詩文庫「関根弘詩集」の年譜と、三省堂「現代詩大事典」(2008年・刊)の書誌には、詩集「約束したひと」が載っている。
感想
 冒頭の「寓話」は、4編の昔話のパロディである。童話類のパロディでは、複雑苛烈な現代は解明できないように思える。
 「ケッコン行進曲」では、「カキクケッコン/サシスセンソウ」のフレーズが繰り返されるが、スローガンでもなくユーモアもない。
 「コンサート」の1節「寝床の中で/雨をきいている幸福もある」には、読書とネットに籠もりがちな僕は、同感する。
 「部屋を出てゆく」の、「大型トラックを頼んでも/運べない思い出を/いっぱい残してゆくからだ」には、引っ越しの悲しみが、よく表わされている。
 掉尾の「約束したひと」は、待てども現れない革命への未練だろうか。
0-02
写真ACより、「キッチングッズ」のイラスト1枚。




このエントリーをはてなブックマークに追加

 思潮社「関根弘詩集」(1968年・刊)より、第4詩集「イカとハンカチ」を読み了える。
 昨年12月19日の記事
「関根弘詩集」の詩集「死んだ鼠」より…に次ぐ。リンクより過去記事へ遡り得る。
概要
 三省堂「現代詩大事典」(2008年・刊)にもウィキペディアにも、彼の欄に詩集「イカとハンカチ」はない。
 1958年・刊の真鍋博との共著「棗を喰った話」があり、同題の詩が「イカとハンカチ」にあるので、あるいは「棗を喰った話」の、自分が執筆した部分のみを収めて、詩集と称しているのかも知れない。

感想
 共産党員だったせいか、アヴァンギャルドを目指したせいか、表現が晦渋であり、初めの「過失の谷」、「変なやつ」が、何を意味するか、わからない。心理は微かにわかるようだが。
 「丸の内一丁目一番地」は、OLの危機感を描く。嫁ぐ未来だけでなく、「このままでは/いけないきがする」と、内なる目覚めである。
 「僕の基地」では、「不毛 飢餓/それが君の理性の王国だった」と書く。敗戦直後の焼け跡から出発したので、復興しつつある時代では、憤懣があるようだ。
 表題作「イカとハンカチ」は、何でも不条理と実存に結び付ける、当時の詩人を風刺するようだ。
 「ノコギリで ―原水協募金帳のために—」という作品もある。60年安保を契機として、彼は日本共産党と違う行動をし、除名された。その後はさらに活躍している。
0-43
写真ACより、「乗り物」のイラスト1枚。



このエントリーをはてなブックマークに追加

IMG_20190111_0001
 2017年4月11日の「届いた3冊」以来、4回目の届いた3冊である。これまではNo.を振っていないので、あとで記事検索から探し出して、振って置こうと思う。(追記:既にNo.(2)(3)を振りました)。
 まず美崎栄一郎「「結果を出す人」はノートに何を書いているのか」。2009年・初版。
 僕も手帳(予定)、創作ノート(詩)、スマホのEvernote(短歌)、大学ノート(メモ)など、記録が分散しているので、どこにメモがあるか判らなくなったりする。ノート術で良いアイデアがあれば、とAmazonマーケットプレイスで1円(+送料290円)だった事もあり、購入した。

IMG_20190111_0003
 今読んでいる思潮社「関根弘詩集」(1968年・刊)が、詩集「約束したひと」までと多くの未刊詩篇を収めているので、アンソロジーなりと後の彼の詩を読めるようにと捜した。土曜美術社出版販売の「日本現代詩文庫 27 関根弘詩集」を見つけた。しかしAmazonのマーケットプレイスでは、プレミアが付いて、手が出せない。
 こういう時、有効な最終手段がある。出版社のホームページから、在庫があれば直接、注文出来るのだ。
 今回、「古い在庫なのでヤケがありうますが。」という問い合わせはあったが、OKを出すとすぐに送って下さった。定価1,080円。ヤケありにより、80円値引き、送料無料、無料の郵便振替用紙付き、だった。
 「約束したひと」(抄)が重なるが、後の多くの詩集を、全編、あるいは抄出で収めている。

IMG_20190111_0009
 1月11日に、綜合歌誌「歌壇」2019年2月号が届いた。Amazonでも毎月14日発売(後に14日到着)だったので、予想外に早い到着である。
 「歌壇賞決定発表」他、通常歌にも関心がある。次の3月号も予告は充実しているようで、早くも楽しみである。


このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ