本阿弥書店の総合歌誌「歌壇」2020年2月号を、作品中心に読み了える。
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 入手は、先の1月19日の記事、入手した3冊を紹介する(6)にアップした。


 同・1月号の感想は、先の1月12日の記事、同・1月号を読む、にアップした。


 2月号の巻頭20首より、三枝浩樹「時のかたみ」掉尾から。
戦中と戦後、今生をつらぬきて隠りながるるひとすじの水
 その前には、戦死した者、長く帰還兵を待つ母を、賛美する歌がある。
 敗戦革命も、戦後民主主義教育とその挫折も、無かったごとく見做す、反動である。

 同じく松村由利子「一樹であった」の掉尾は次の1首である。
伐られても悲しくはない笛となり誰かの息に満たされるなら
 時代への敗北の悲鳴と、諦念が聞こえるようだ。


 特別企画・初冬の越前を訪ねて、は誰の企画だろうか、読むに忍びない。企画旅行の目で、詠んでほしくない。僕は日本の社会風土は嫌いだが、郷土の福井県を、原発問題を別として、好きである。郷土を汚してほしくない、との思いがある。

 第31回歌壇賞決定発表では、受賞の言葉に「今までずっと短歌に救われてきました・・・」とあり、短歌の救いを信じる者には、作品に新しみはないながら、納得できる。将来はわからないけれども。