辻征夫の句集「貨物船句集」を読み了える。貨物船は俳号である。
 メルカリでの購入は、今月17日の記事にアップした。


貨物船句集
 現物のスキャン画像の方が、Amazon画像より、帯がある分だけマシである。

 詩業については、思潮社の現代詩文庫より、未刊詩篇と短編1篇を読んだ所である。


 句集「貨物船句集」は、没後の2001年1月、書肆山田・刊。1ページ4句組み、91ページ。
 1985年、詩誌「詩学」の投稿欄選者として、小説・俳句・他を書いていた小沢信男と出会い、俳句会「余白句会」を結成した。連衆はおもに、辻征夫の知り合いの詩人である。
 句風は、時に字余りを交えて、詩人らしい新鮮さがある。先行句にリスペクトした句もあるが、新しさを加えている。
 61歳、句会への最後の出席は、奥さんに支えられてで、「満月や大人になってもついてくる」の句で、最高点となった。(小沢信男のあとがきより)。

 以下に5句を引く。
おみな往ぬ蟋蟀がいる台所
むすめながら乱れて泳ぐ緋鯉かな
断崖やもう秋風のたちつてと
雛祭り娘はどこの街どこの路地
稲妻やあひたかつたとみんないふ