山田詠美の小編小説集「タイニー ストーリーズ」より、3回めの紹介をする。
 同・(2)は、先の1月27日の記事にアップした。


 文春文庫、2013年・刊。21編のタイニー ストーリー(小編小説)を収める。

 今回に僕が読んだのは、「LOVE 4 SALE」、「紙魚的一生」、「GIと遊んだ話(三)」、「ブーランジェリー」、「にゃんにゃじじい」の、5編である。
 苦労して貯めたお金を、自殺未遂詐欺の常習者に貢いでしまう話「LOVE 4 SALE」、知性に憧れて一緒になった男性に、読書ばかりで構われない話「紙魚的一生」、友人と一緒にGIと遊ぶ、僕には趣のよくわからない話「GIと遊んだ話(三)」、パン屋兄弟の兄と交際して「体の相性が良い」けれども、弟に譲られてしまう女性「ブーランジェリー」(フランス語でパン屋の意味)、いわくありげなお爺さんが、「猫みたいな女はいない、そう振舞おうとする女は多々いたけれども」と親しくなった少女に教える「にゃんにゃじじい」、の5編である。
 いずれも、山田詠美の経歴を含めて、ハッピーエンドではない事が気になる。ハッピーな作家という人物も、相応しくない気がするけれども。作家は精神労働者なので、苦労する者だろう。
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写真ACより、「ケーキ」のイラスト1枚。