思潮社の現代詩文庫155「続・辻征夫詩集」より、2番めの「かぜのひきかた」から、を読み了える。
 1番めの「天使・蝶・白い雲などいくつかの瞑想」から、は今月3日の記事にアップした。


 「かぜのひきかた」から、は詩集より5編の抄出である。詩編の総数は、検索ではわからない。
 「まつおかさんの家」、「かぜのひきかた」、「桃の節句に次女に訓示」の3編の中身は、平仮名ばかりで書かれている。平仮名の詩は、山村暮鳥にもあった(室生犀星「我が愛する詩人の伝記」に依る)が、詩の心の衰えとされる。辻征夫の詩にはその評価を跳ね返す強さのある作品もある。
 「まつおかさんの家」では、6歳の「ぼく」が登校途中の「まつおかさんち」の前で泣きたくなり、後に「弟」は大声で泣き出してしまう。小市民から、貧しい「小さな小さな家」の庶民へと転落する未来を、予感したのだろう。
 「かぜのひきかた」では、人に「かぜかい?」と尋ねられて、風邪でないのに抗えず「かぜです」と答える、気の弱りを表す。他人に抗えない、弱さと純粋さである。
 「ヘレンおばさんこんにちは」は、いつか詩人の胸に住み、親しく会話する「ヘレンおばさん」の登場である。後の詩集「ボートを漕ぐ不思議なおばさん」には、何編も架空の親しい「おばさん」が現れる。
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写真ACより、「ガーデニング」のイラスト1枚。