風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

随筆

 所属する結社歌誌「覇王樹」の、2019年12月号をほぼ読み了える。
 到着は、今月1日の記事、届いた4冊(4)にアップした。


 11月号の感想、結社のホームページ、僕の12月号の歌等へ、3つのリンクを貼ったのでご覧ください。

「覇王樹」12月号
 通常の短歌の他、H・俊明氏の「覇王樹人の歌碑(36) 宮前初子の歌碑」が、モノクロ写真と共に2ページに渉る。W・茂子さんの随筆「落とし文考(60)」、S・素子さんの研究「後水尾院時代の和歌62」と息が長い。
 同人・川口六朗氏の少部数歌集「時のなごり」の紹介半ページ、受贈歌誌抄3誌(各5首と共に)、各5欄ごとの10月号批評(各1ページ)、受贈歌集・歌書紹介6冊2ページ、総合歌誌「短歌」より転載のT・次郎氏の「令和となりて」7首など、本誌は内外に手厚い。


 以下に3首に寸評を付す。
 K・順造氏の「遠ざかる」6首より。
遠ざかる列車の音の引く糸を夜長に手繰る望郷の念
 望郷の念の強さを、巧みな比喩と共に表している。
 S・公子さんの「息子の三回忌」6首より。
好みゐしグミとポテトを供へたり娘も同じものを持ち来て
 長い難病の後に夭逝された息子さんを、娘さんと共に偲んでいる。
 T・恵子さんの「彼岸花咲く」6首より。
ソプラノの伸びゆく声に魅了され秋のひと日をコンサートに酔ふ
 クラシック声曲の美しさを表し得た。


 水脈の会より贈られた、詩誌「水脈」66号を読み了える。
 到着は、先の11月24日の記事、贈られた3冊にアップした。

 

 同・65号の拙い感想は、今年7月10日の記事にアップした。
 

IMG_20191123_0002
 「水脈」66号は、2019年11月6日・刊。67ページ。
 12名16編の詩、N・えりさんの小説2編、他に批評・随筆・報告など。

 H・はつえさんの詩「長閑な午後」では、害を与える猪に車を追突させた小父さんを描き、終連3行が「結局 トラックの前車体を随分凹ませただけだった/小父さんは泣く泣く家に帰りつくと/待っていた妻にひどく文句を言われたそうだ」と、民話風でユーモラスである。
 I・冴子さんの「半分しか」では、国政選挙の低投票率を嘆き、「投票が当たり前ではない時代があったのだよ/女性が参政権を得たのは/たった七十三年前なのだよ」と警鐘を鳴らす。
 政治路線的には、グループに困難な時代だろう。S・周一さんの詩「奇妙な日々」では、「そんな日がかならず来ると/白昼夢に酔い痴れる中」、「ここは「どこ」/いまは「いつ」」と、混迷の世に埋没する理想を描くようだ。



果実 80号a
 今月7日の記事「1冊と1紙が届く」で紹介した内、同人詩誌「果実」80号を読み了える。
 リンクより、過去号の感想へ77号まで、遡り得る。
概要
 リンクに少し概要を書いたので、ご参照ください。
 発行年月、発行所を忘れていたので、ここに書く。2019年4月、「果実の会」刊。
 県内の教員、教員経験者6名と、都内在住のO・雅彦さんを同人とする。
感想
 作者は複数の作品を寄せているが、作者ごとに作品を列するのではなく、作品ごとに順を考えて、編集されている。新しい試みである。
 巻頭は、歌人・山川登美子と潜水艦艇長・佐久間勉がほぼ同年代で、二人の出会いを仮想する、N・昌弘さんの「登美子と勉」、ドキッとする作品である。

 次いでT・篤朗さんの「つつましい言葉」以下、静かな作品が並ぶ。K・不二夫さんの「星の絆」辺りから、心理的に重いテーマの作品が並ぶ。
 O・雅彦さんのカリグラム詩(行頭の高さを変えた)「いつかの風の物語」などを経て、F・則行さんの「大往生」が、友人3人の家庭での突然死(苦しむことなく、周りにも迷惑を掛けず)を、自分と比べたあと、W・本爾さんの清澄な母恋「記憶」「ごしょねがい」(注:後生願い)で、詩編を仕舞っている。
 随筆編では、F・則行さんの「子どもの詩の読み方」が、「アンソロジー 子どものための少年詩集 2018」での、編集委員会が選んだ優秀作品と、小中学生が「好きな作品」として挙げたトップ作品の食い違いについて考察し、重いテーマである。
引用

 T・篤朗さんの詩「待つ」5連より、第3連を引用する。

どんな瞳が私を見つめてくるか
どんな言葉が私に返ってくるか
私はさりげなさを装って
何気なさを装って
もしもし
やっと声をかける
一瞬という長い時間を待つ



↑このページのトップヘ