風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

難解

 思潮社・現代詩文庫242「続続 荒川洋治詩集」より、3番めの「詩集『渡世』から」を読む。
 今月8日の記事、同「『坑夫トッチルは電気をつけた』から」を読む、に次ぐ。

 彼の詩は難解である。ある時、「遊びと言われようと、詩は新しさを求めるしかない」と語った。僕は表現の新しさではなく、心の(民俗でない)懐かしさ、事柄の新しさ(ネットの民俗など)を求めている。

 詩「くろまめ・めのたま」の中で、「稲の国のプラントオパールの村落青年では/ブナの木の先のことはすべてわからない」と述べる。僕の少年時代も全くそうで、世間がわかっていなかった。高校生時代、彼の主導で作ったガリ版刷り詩集の表紙代も、作家に序文を頂いた謝礼も、僕は全く気付かず、彼が払ってくれたと50年後に感謝している。

 詩「昨日の服」では、従軍生き残りの人たちを、「止まった/  愛のために/彼のセンスはもう/どこからもやってこない」と述べる。戦後詩は、豊かだった思いが、僕は今もあるけれど。70年以降の詩を指すなら、合っていたかも知れない。

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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


 角川書店「増補 現代俳句大系」第15巻(1981年・刊)より、5番目の句集、鈴木六林男「桜島」を読み了える。
 先の8月23日の記事、松村蒼石・句集「雁」を読む、に次ぐ。

 原著は、1975年、アド・ライフ社:刊。13年間の602句、長文の著者・後記を収める。
 鈴木六林男(すずき・むりお、1919年~2004年)は、戦前の新興俳句運動に関わった。戦場より負傷帰還、戦後の前衛俳句運動に関わったようだ。

 「桜島」の初めでは、字余りの句が多いが、師・西東三鬼の没後は少なくなる。社会的に実践する中で、吟じて来たようで、難解な句がある。例えば「父を逃れ母を逃れて墓標と撮られ」。
 あとがきに「ノートにある作品はすべて収録した」とある。それにしては句数が少なく、寡作と言える。


 以下に5句を引く。
病めば自愛の冬日さえぎり機関車過ぐ
戦争が戻つてきたのか夜の雪
なが雨の車窓から振り消えない手
三鬼なし夜寒の山が汽笛出す
稲輓く馬何の化身として憩う
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。




 先の7月6日の記事、入手した5冊(2)で紹介した内、「続続 荒川洋治詩集」に読み入る。5冊の内、残った1冊である。
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 思潮社・現代詩文庫242。2019年6月15日・刊。定価:1,500円+税。
 7冊の詩集からの抄出、未刊詩編7編、散文、等より成る。

 まず詩集「一時間の犬」より、15編。
 彼の詩は難解とされるが、講演の時の様子や内容から、解ってくる事もある。
 彼はユーモア好きで、愛想も好く、文学には芯の通った考えがある。

 「ベストワン」より。「私は生きている/同情と共感でおどろき嘆きかなしむが/私は二度と生きたりしない」。同世代の者へだろう、同情と共感を持っている。しかし「生き直したりしない」という意味だろう。生き直す、と思った自分に痛い。
 「ギャラリー」より。運動が苦手なのか、主人公はブランコを上手く漕げない。恋人に見つめられて、しぶしぶ漕ぐ、遣る瀬無さである。
 「土の上を歩くのですから」。土の上を歩く者が、荒れ狂う水上の船に乗る者たちを見ている。終2連は「めざめて わたしは泣くだろう/焚火のまえで//あの人は?と/両手をついて」。詩人にも両手をついて「謝する者」(感謝、詫びる、共に)が居るのだろう。
 「資質をあらわに」では、モーツァルトの曲を目覚ましにする、物質的に豊かな時代を、「人にはもはや成すことも することもないのだ」と批判する。


 僕の解説では、よくわからないだろうが、読者は共感する所を探してゆくしかない。



 

 Amazonに注文した本2冊が、8月1日(第1木曜日)の午後に、まとめて郵便で届いたので、紹介する。
 先の7月14日の記事、同(8)に次ぐ。
 購入本としては、7月23日の記事、歌集2冊をダウンロードに次ぐ。

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 まず川野里子「葛原妙子」である。笠間書院、「コレクション日本歌人選070」。
 2019年7月25日・刊。1,300円+税。
 2002年、砂子屋書房・刊の、「葛原妙子全歌集」に読み入ろうとするのだけれど、難解と言われており、参考書がほしかった。川野里子の「幻想の重量―葛原妙子の戦後短歌」を読みたかったけれど、各店で品切れであり、Amazonのマーケットプレイスでは(善本は)プレミアがついて、買えなかった。
 この本を出版予約していたので、Amazonに予約した。

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  プロ・マンガ家、あかつきりゅうさんがブログ「あんことむぎと」で宣伝していた、猫まんが集「猫まんが いつでもモフモフ」が、Amazonより届く。
 マガジンハウス・刊、907円+税。
 あかつきりゅうさんのマンガ以外も、すべて読もうと思う。


 

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 Twitterを「短歌 ネットプリント」で検索し、2種類を5月5日(日曜日)に近所のローソンで引き出した。短歌のネットプリントの記事は、今年3月25日の「1冊と1枚」以来である。

 まず以下のツイートである。

 1997年、1998年生まれの歌人、3人による「第三滑走路」6号である。A3判・片面。
 各12首と、メンバー紹介(簡単な質問2つと答え)を、収める。
 学生短歌会のA・輝さん「グッドライフ」と、M・洋渡さん「プシュケの結婚式」は難解である。
 句割れ・句跨りが繰り返され、57577の定型が崩れると、歌意も崩れるようだ。
 M・慎太郎さんの「桜、散ってすぐ夏」は、やや大人しいか。以下に1首ずつ引く。
光り続ける僕たちの密室論/世界すべてを映し出すシネマ(A・輝)
世界は一つとは限らない木漏れ日が総量として葉を上回る(M・洋渡)
手続きが煩雑なのがわるい、よね? 桜は散るからうつくしい、よね?(M・慎太郎)

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 次のツイートである。
 K・仁美さんとH・志保さんが、「いちごつみ60」で、交互に歌を詠んで、各30首、計60首を、A4判両面で読める。
 しかもルールがあって、前の歌にあった1語を必ず取り入れて詠むのである。定型にさらに枠をはめている。後半に荒れそうになるが、うまく仕舞っている。
 続く2首を挙げる。
ここへ来て一緒に濡れてほしいのにあなたは傘をたくさんくれる(H・志保)
濡れてもいいものとして買うスニーカーが私の悲しいによく似合う(K・仁美)

 これらの歌の危機は、若者歌人の危機であり、若者の危機であり、時代の危機である。


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