風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

飛行船

 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第3巻(1978年・5刷)より、3回めの紹介をする。
 同(2)は、今月20日の記事にアップした。



 今回は、短編小説「軽気球虚報」1編のみを読んだ。このあと第3巻には、長編小説「ゴオドン・ピムの物語」しか収まっていないからである。

 「軽気球虚報」は、飛行船(軽気球とはなっているが、楕円形でプロペラ(翻訳ではスクリューとなっている)、舵を備える)で、大西洋横断に成功するフィクションである。イギリスからフランスへ、英仏海峡を越える予定の所が、気流の関係で大西洋横断に方針を替え、75時間で成功する。
 ライト兄弟の初飛行が1903年、リンドバーグの飛行機による大西洋横断は1927年である。1809年・生~1849年・没のポオは飛行機を知らず、飛行船の冒険に想像を馳せるしかなかったのだろう。

飛行船
写真ACより、「飛行船」のイラスト1枚。


 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第3巻より、2回めの紹介をする。
 先行する同(1)は、先の9月18日の記事にアップした。




 今回は、「壜の中の記録」、「メロンタ・タウタ」、2短編小説を読んだ。
 「壜の中の記録」は、いわゆるボトルメール(ガラス瓶に手紙を入れて漂流させ、偶然の読者を当てにするもの)の形式を採る。バタヴィア(インドネシアのジャカルタ)からマレー諸島へ400トンの船で出港したが、嵐に遭って2人だけが生き残る。さらに大きい軍艦と衝突し、沈む反動で軍艦に乗り上げる。軍艦は南氷洋に向かうらしく、氷山が次々と現れる。軍艦が沈む所で手紙はしまいだが、死者からのボトルメールとする所に、迫真性がある。
 「メロンタ・タウタ」は、「気球「雲雀号」にて 2848年4月1日」の副題がある。気球とあるけれども、飛行船の物語らしい。しまいに壊滅して、海中へ落ち込む。この短編小説も、ボトルメールの形を採るが、漫筆の議論が多く、迫真性が足りない。
 2848年の出来事としているが、ジェット機やロケットが飛ぶ時代が近かったとは、ポオも予見できなかったようだ。

ボトルメール
写真ACより、「ボトルメール」のイラスト1枚。



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