風の庫

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高齢化

 福井県俳句作家協会・刊の「年刊句集 福井県 第59集」より、5回めの紹介をする。
 同(4)は、先の7月26日の記事にアップした。



 今回は奥越地区(勝山市・大野市)の、111ページ~127ページの17ページ、33名の330句を読んだことになる。
 奥越地区は清水に恵まれ、酒造業が盛んである。旦那衆が俳句に興じることもあっただろう(これは僕のイメージである)。今は庶民に広がり、大衆詩の一つとして、幾つもの俳句会が隆盛である。
 他と変わらず高齢化が進み、独居老人の嘆きもある。高齢者の励みの場として、句座が必要だろう。また継承のために、若い人、壮年の人の参加を、集める努力がなされているだろう。

 以下に5句を引く。
語らねば言葉やせゆく春霞(K・恵美子)
どんど火へ投げたい胸のわだかまり(M・定子)
年新た老いの手習い筆を持つ(M・美穂子)
鉢植えのみかん花つけ小虫呼ぶ(I・章子)
ひたすらに生きて今日あり寒椿(K・絹代)

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 イラストACより、鉢植えの1枚。



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 福井県俳句作家協会・編の「年刊句集 福井県 第58集」より、4回めの紹介をする。
 同(3)は、今月2日の記事にアップした。リンクより、関連過去記事へ遡れる。




 今回は、前回の続き76ページより、福井地区(福井市、吉田郡)の仕舞い102ページまで、27ページ、53名の530句を読んだことになる。
 世の高齢化、俳壇の高齢化に連れて、老いの心境、家族を見守る眼差し、畑仕事などに心が向かう。また比較的若いらしい世代の句もあり、視点に洒落っ気がある。
 俳歌は大衆詩、機会詩であり、高い芸術性を求めるなら、束縛のない詩へ向かえば良いと僕は考える。定型、調べ、季語などの束縛の中に、味わい深い作品も生まれるだろう。

 以下に5句を引く。
卆業のなき俳道に生かされて(K・せつ)
ふたりの夏立ち位置少し変えてみる(G・久美子)
健やかに老いる贅沢柿若葉(H・純江)
雛の間に主役静かに眠りをり(O・友江)
今日捥ぐか明日にしようか初胡瓜(W・絹代)
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。



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 福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県 第57集」より、6回めの紹介をする。
 今月8日の記事、同・(5)に次ぐ。
概要
 僕はこのアンソロジーとの出会いを、幸運だったと思う。身近な、短詩型との出会いである。同じ県内で、信仰があるも無いも、真宗王国の風土であり、山・田畑・海に豊かである(原発銀座を問題視する人もいる)。また昨年1年間の作品であり、世調を映している。
 毎年3月後半、協会の事務局長方へ葉書を出すと、郵便振替の伝票を付して、1冊を送ってくださる。
感想
 今回は、鯖丹地区(鯖江市、越前町、池田町)の13ページ、26名の260句を読んだ事になる。
 新しい句材を求める事は重要だ。プラス面だけでなく、マイナス面(過疎化・等)を含めて。高齢化を映す吟に感慨がある。
 また古くからの句材を、新しく吟じ直す法もある。
 僕は旧かな・古典文法の短歌を24年間続けた(今は新かな、現代文法で詠んでいる)ので、分かるのだけれども、稀に用字・文法に誤りがあって、避けられなかったかと少し残念である。
引用

 以下に5句を引く。
星流る遠き父母姉弟(T・晶子)
天仰ぎ地を這ふ仕種獅子頭(O・真由美)
直播きの植田のそよぎまだ疎ら(K・節子)
夏草の怒涛や誰も住まぬ家(H・幸美)
父になき齢を生きて年の酒(K・和典)

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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。




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