風の庫

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1行詩

 河島英昭・訳「ウンガレッティ全詩集」(1988年、筑摩書房・刊)より、第2詩集「時の感覚」を読み了える。
 第1詩集「喜び」は、先の9月23日の記事にアップした。



 「時の感覚」は、1933年・刊。年譜を見ると、1922年にファシストのローマ進軍があり、1923年の新版「埋もれた港」(選詩集らしい。「時の感覚」初期詩編を含む)に、ムッソリーニの序文を得ている。
 「時の感覚」には、生きづらさに関わる、性や信仰をテーマとした作品が多いようだ。失われた青春を嘆き、帰還した戦後の思い、妻を得た喜びの詩編が、感興を引く。1行詩も、2編だか含まれる。
 127ページ~246ページに渉る、120ページの大冊であり、多くの短詩を含み、詩編の数は多い。
 ウンガレッティが尊敬したという、ヴァレリー、ミケランジェロを、僕は好まない。
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写真ACより、「秋の人物コレクション」のイラスト1枚。


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 角川書店「増補 現代俳句大系」第14巻(1981年・刊)より、19番目の句集、中村苑子「水妖詞館」を読み了える。
 今月21日の記事、細見綾子・句集「技藝天」に次ぐ。
概要
 原著は、1975年、俳句評論社・刊。高屋窓秋・序、139句、著者・あとがきを収める。第1句集。
 中村苑子(なかむら・そのこ、1913年~2001年)は、結核病により大学国文科・中退、1932年に結婚した夫が、1944年に戦死した。その後、作句を始め、石田波郷の「鶴」、水原秋桜子の「馬酔木」、日野草城の「青玄」、久保田万太郎の「春燈」と移った。
 1957年、高柳重信(細見綾子・句集「技藝天」で、読まずに飛ばしたと書いた俳人)の招請によって「俳句評論」の創刊に参加、高柳重信・死去(1983年)後に終刊、以後・無所属。
感想

 「水妖詞館」は、無季ながら定型を守ろうとしている。旧かな、古典文法であり、「や」「かな」の切れ字も使う。
 どんなに写生や直叙から離れても、定型を守る1行詩である。語の組み立てが外れていない。僕の読書のストライクゾーン内である。女性の心情も読み取れるようだ。
 非定型、分かち書きの俳句に、僕はトラウマがあるようだ。高校文芸部員の時、短期留学のアメリカ人高校生が部室に来て、作った俳句を読んでくれと言った。半世紀以上、前の事である。3行詩だったと記憶する。その中の1語が難しく、英和辞典にもなくて、とうとうその句を読み解けなかったのだ。
引用
 以下に5句を引く。
跫音や水底は鐘鳴りひびき
撃たれても愛のかたちに翅ひらく
逢へばいま口中の棘疼き出す
若き蛇芦叢を往き誰か泣く
山に立つ誰彼の忌や黒き馬
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。




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