風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケ(ハンドル名)が、この10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

unlimited版

鯨井可菜子 タンジブル
 今月6日の記事「歌集2冊をダウンロード」で報せた2冊のうち、あとの鯨井可菜子・歌集「タンジブル」を、タブレットで読み了える。
 表紙写真は、パソコン版の白地に備え、露出を暗くしたのだが、補正が足りなかったようだ。
概要
 概要については、上記記事で述べたので、ご参照ください。
 タンジブルのスペルはtangibleだそうで、英和辞典で調べると、形容詞で「明白な。現実の」、名詞で「有形物。触知できるもの」等の意味である。
感想
 仕事では九州のデザイン会社に勤め、都内の職場に上京したが、過労気味で(徹夜、代休、徹夜、という歌がある)帰郷し、歌集出版を前に退職したようである。
 短歌、仕事、恋(→結婚)、生活の内、彼女は短歌と生活を選んだようだ。私生活の細かい事はわからない。
 勝手な異性、体力と感性を若い間に搾り取る職場、と現代の娘さんの深い悩みを描いて、普遍的である。
 題詠に優れている。また「小松菜」の章の短歌は、リアルな生活詠である。新かな口語の短歌に苦闘する一人でもある。
 東直子の跋文「しゃがみこまない」で、「実人生への意識と、言葉によるイメージの重ね方を試行して来た作者から、今後どんな豊かな世界が飛び出して来るのか、…」と期待されている。
引用

 以下に7首を引く。
試されることのおおくて冬の街 月よりうすいチョコレート嚙む
好きだった君がわたしの着メロにしていた「世界ふしぎ発見!」
終電に抱きしめられて胸のうち暗きブロッコリーの生えゆく
はつなつのランチタイムのタイ料理 空芯菜を清く嚙む友(題詠「ランチ」)
溜め息は月に濡れおりスプーンを曲げてばかりの人生である
死は遠き波間に光るごとくあり保険に入るはつなつの午後(「小松菜」の章より)
いいいいと蟬鳴き続け、もういいよほんといいけん辞めていいですか



八月のフルート奏者
 10月7日の記事、杉谷麻衣・歌集「青を泳ぐ」に続き、笹井宏之・歌集「八月のフルート奏者」Amazonのkindle unlimited版を、タブレットにダウンロードした。記録に拠ると、11月5日である。
 笹井宏之は、1982年、佐賀県・生。2009年・夭逝。「未来」所属、加藤治郎に師事。
 第1歌集「ひとさらい」、第2歌集「てんとろり」がある。共に書肆侃侃房・刊。
 第3歌集「八月のフルート奏者」は、没後の未刊資料より、紙本が2013年8月1日、書肆侃侃房・刊。kindle版が2015年3月30日・刊。おもに佐賀新聞に掲載された歌である。新鋭短歌シリーズ。
 395首、加藤治郎・東直子・田島安江の跋文を収める。
 なお2011年、PARCO出版より、「えーえんとくちから 笹井宏之作品集」が出版されている。それに合わせて、この本を読むのが良いかも知れないが、古本に大きなプレミアが付いている。


杉谷麻衣「青を泳ぐ」
 Amazonのkindle unlimitedのお試し(30日?)に、10月24日or25日に加わったので、10月29日に杉谷麻衣・歌集「青を泳ぐ」をタブレットにダウンロードし、先日に読み了えた。書肆侃侃房・発のkindle本・歌集では、駒田晶子「光のひび」を読み了えて以来である。
概要
 杉谷麻衣(すぎたに・まい、1980年~)は、京都府・出身、大阪府・在住。
 「青を泳ぐ」は、書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズ30。紙本は2016年9月17日・刊。kindle版は2016年10月16日・刊。
 今、各版の価格を調べると、次のようである。紙版:1,836円。kindle版:800円。kindle unlimited版:無料(月会費980円で読み放題)。
 第1歌集、236首。長文の解説「塩の斑紋」を光森裕樹が書いている。
感想
 あとがきで「現実に目の前にある世界に想像を重ねて、自分にしか見えない新しい世界をつくりだすこと。」と述べて、リアルな世界ではない事を、明らかにしている。
 その世界では、元・体操選手だが今は車椅子に乗る青年との恋を中心に、歌集が進んで行く。また美術の実践があるようで、絵を描く事に拘っている。現代性と土俗性が交差する歌が、稀にある。
 危うげな若い女性像、という新人の流れを批判する人もいるようだが、短歌賞などでその流れを作った先輩たちに責任がある。

引用
 以下に7首を引く。
空の絵を描けといわれて窓という窓を砕いて額縁にする
保健室の南のまどからだけ見える三時間目の海が好きです
みずうみを塗っていた筆あらうときしずかに透けてゆくきみの声
「はじめてのひとり暮し」というキャッチコピーが似合うきみどりのラグ
差し出せるものなにひとつ持たぬ夜の眼下の街にひかるしずけさ
「ごめんね」とあなたはたしかな発音でぼくの世界を歪めていった
ひと息にともる電光掲示板(まばたき)いいえあれは送り火





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