風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケが、2017年10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

unlimited版

林和清 去年マリエンバートで
 今月4日の記事、「歌集5冊をダウンロード」で報せた内、5冊目の林和清「去年マリエンバートで」kindle unlimited版を読み了える。
 今月20日の記事、
原田彩加・歌集「黄色いボート」同・版に次ぐ。
 Amazonでの諸版の発行年次、価格は、1番目のリンクの記事に挙げたので、ご参照ください。
概要
 林和清(はやし・かずきよ)は、1962年、京都市・生まれ・在住。「玲瓏」所属。
 「去年マリエンバートで」は、12年ぶりの第4歌集。タイトルは、アラン・レネ監督のフランス映画から。
 彼は去年の「ふくい詩祭」(福井県詩人懇話会・主催)で、師の塚本邦雄の話を交えて、講演をしてくださったので、親しみがある。その時にこの歌集の紙本版を20冊ほど、販売していたが僕は買えなくて、待つと今回のようなチャンスもある。
感想
 第1~第3歌集を読んでいないので、はっきりした事は書けない。
 生活の不安定(1ヶ月50を越える講座と、執筆で、生活しているようだ)の不安があるのか。3・11地震災害、いじめなどへも関心を持つ。
 「24時間」と題する、1日を時刻(分刻み)入りで詠んだ、100首連作があり、生活を明かすようだ。
 「人体のなかの砂漠の部分指せ三分たてば目隠しを取れ」等の、僕にはわからない歌も混じる。
引用

 以下に7首を引く。
ふりむけば落武者ばかり群れてゐた芙蓉の寺のぬかる庭土
再来年くらゐに会はう(または後世)恵比寿の破れたビルの前にて
なぜ自分は無傷なのかとおもふとき三月の空また雪が降る
西空の背骨を見たり父の身を火に葬りたるのちの日暮に
また雨が来るもみがらを焼いた田のふすぶる煙にまた雨が来る
殺人のニュースがひととき絶えてゐたそのことも記憶の瓦礫のひとつ(注:3・11詠)
家の中でどこをさすらつてゐたのだらう東山から月がのぼる(注:奥さんを詠む)


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 今月10日の記事、角川「短歌」5月号を読む、の末尾に書いた通り、1月号、3~5月号を読んだ角川「短歌」を離れ、本阿弥書店「歌壇」に戻る事にした。あまりに威圧感があったからである。
 「歌壇」に戻って、旅から家に帰ったような、安堵感にいる。
 この6月号は、5月8日にAmazonに予約注文、5月13日に発送案内があり、翌14日に郵便で届いた。

かたすみさがし 田中ましろ
 書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」より、田中ましろ・歌集「かたすみさがし」kindle unlimited版を、タブレットにダウンロードした。
 この歌集は、シリーズの他の本と違って、冒頭に(短歌×映像)、(短歌×イラスト)、(短歌×小説)等のリンクが8編あって、電子書籍の長所を活かしている。
 またハイライト、メモ、検索等の機能が使えるので、同シリーズの他の本と違う、読み方が出来そうだ

 紙本版:2013年9月30日・刊、1,836円。kindle版:2015年8月16日・刊、800円。



堀合昇平 提案前夜
 堀合昇平・歌集「提案前夜」kindle unlimited版を読み了える。
 今月4日の記事
「歌集5冊をダウンロード」で報せた内、3冊目の読了である。
概要
 紙本版、kindle版の、発行年次と価格は、リンク先で紹介したので、ご覧ください。
 堀合昇平(ほりあい・しょうへい)は、1975年・生。2008年、「未来」入会、加藤治郎に師事。
 コンピューターメーカーの営業職に従事。
感想
 営業職として、提案(プレゼンテーションだろう)の前夜の作成の苦労、高揚、更には採用されなかった時の落胆を含めて、華々しくはない営業の歌が多い。
 作者の奮闘ぶりを知る、妻、一人娘を含めた家族の、社会に耐えて慎ましい生活を送る様が浮かぶ歌がある。
 作者43歳、現在も短歌に仕事に、活躍している事を願う。角川「短歌年鑑」を買わないので、その辺り僕にはわからない所がある。
引用

 多くノートにメモしたけれども、以下に7首を引く。なお()内は、詞書である。
壁に貼るガントチャートに進捗の遅れを刻む稲妻線は(一面に。くっきりと。)
断られたときほど笑え もういっぽん茜に染まるビルに飛び込む
ありきたりの言葉を幾つ並べても真実だろう売上げだけが
梅雨明けをニュースは告げる 墜ちぬため働くのだと何故言い切れぬ
聞き分けの良いことのなお悲しくてリュックを背負う小さな背中
結び目を解くそばから倒れたもん勝ちだよなんてつぶやいている
無人駅に飲むカフェ・ラテの冷えてゆくまで重すぎるTO DOばかり



うづまき管だより

 光森裕樹の電子単独本・歌集「うづまき管だより」kindle unlimited版を読み了える。
 同・第1歌集
「鈴を産むひばり」は、今月11日の記事にアップした。
概要
 彼の略歴の1部は、リンクした記事に書いたので、ご参照ください。
 「うづまき管だより」kindle版は、2013年1月31日、第2改訂版・刊。128首、あとがき、初出一覧、略歴、等を収める。
 あとがきで、勤めていた仕事を辞めると告げ、2014年1月・現在、沖縄県石垣市・在住。
感想
 「鈴を産むひばり」と同じく、ハイライト、メモの機能のある本だったので、それに従い4首を挙げる。
もうあとがないんだからと云ひ聞かせ彼の日あなたは立ち上がりたり
 歌集「鈴を産むひばり」の成功により、作歌中心の生活に移ろうとしたのだろうか、切実な事態である。
あなたがやめた多くを続けてゐる僕が何も持たずに海にきました
 私事だが、僕の周囲にも、ブログを、短歌を、詩を止めた人がいる。僕も囲碁、洋蘭栽培、鉢植え園芸を止め、詩歌創作の他は、読書とネットの日々である。
鉛筆をタクトのやうにふりあげて始まりかたはみづから決める
 ポーズは小さくても、大きな決意だっただろう。

そよかぜがページをめくることはなくおもてのままにkindleをおく
 彼はkindleの読書、歌集出版の、先駆けだっただろう。
 レトリック重用の歌(この歌集では、1時の現代詩風の韜晦など)、短歌グループに属さない事は、長く活躍するに向いていないように、僕は思う。彼の活躍を願う。




鈴を産むひばり
 光森裕樹・歌集「鈴を産むひばり」kindle unlimited版を読み了える。
 今月4日の記事、
「歌集5冊をダウンロード」で報せた内の、1冊である。
概要
 光森裕樹(みつもり・ゆうき)は、1979年・生。
 京都大学・卒業後は特定の組織に属さず歌作を続ける。
 歌集は、2010年、港の人・刊。2013年、電子書籍化。314首を収める。
 本・歌集にて「現代歌人協会賞」受賞。
引用と感想
 ハイライト、メモの利く本だったので、それに従って6首と感想を述べる。
鈴を産むひばりが逃げたとねえさんが云ふそれでもいいよねと云ふ
 「鈴を産む」が、雲雀の鳴き声の比喩だったとしても、それが逃げる、それでもいいよね、とは何の暗喩だろうか。

母と呼ぶひとふたりゐてそれぞれが説くやさしさの違ひくるしき
 事実だろうか。バックボーンたる母が、二人、異なる事を説くのは、苦しいだろう。
手を添へてくれるあなたの目の前で世界をぼくは数へまちがふ
 協力者がいながら成し遂げられない、社会不適応、世界への異和感を表わすか。
だとしてもきみが五月と呼ぶものが果たしてぼくにあつたかどうか
 レトリックだけの歌だと思った。しかし言い負かされた時の、負け惜しみかも知れない。
人を待つ吾はめぐりの街灯に暗き展開図を描かれて
 自分の幾つも映る影を、暗喩と句跨りで描く。
陽の色の抜けゆく草はら踏みわけて検索結果になき湖へ
 真実という湖は、検索結果で辿りつけない、の意だろうか。
 総じて、重い内容を、華やかなレトリックで、旧かな遣いの異化を以って、描いている。


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