風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

unlimited版

八月のフルート奏者
 10月7日の記事、杉谷麻衣・歌集「青を泳ぐ」に続き、笹井宏之・歌集「八月のフルート奏者」Amazonのkindle unlimited版を、タブレットにダウンロードした。記録に拠ると、11月5日である。
 笹井宏之は、1982年、佐賀県・生。2009年・夭逝。「未来」所属、加藤治郎に師事。
 第1歌集「ひとさらい」、第2歌集「てんとろり」がある。共に書肆侃侃房・刊。
 第3歌集「八月のフルート奏者」は、没後の未刊資料より、紙本が2013年8月1日、書肆侃侃房・刊。kindle版が2015年3月30日・刊。おもに佐賀新聞に掲載された歌である。新鋭短歌シリーズ。
 395首、加藤治郎・東直子・田島安江の跋文を収める。
 なお2011年、PARCO出版より、「えーえんとくちから 笹井宏之作品集」が出版されている。それに合わせて、この本を読むのが良いかも知れないが、古本に大きなプレミアが付いている。


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杉谷麻衣「青を泳ぐ」
 Amazonのkindle unlimitedのお試し(30日?)に、10月24日or25日に加わったので、10月29日に杉谷麻衣・歌集「青を泳ぐ」をタブレットにダウンロードし、先日に読み了えた。書肆侃侃房・発のkindle本・歌集では、駒田晶子「光のひび」を読み了えて以来である。
概要
 杉谷麻衣(すぎたに・まい、1980年~)は、京都府・出身、大阪府・在住。
 「青を泳ぐ」は、書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズ30。紙本は2016年9月17日・刊。kindle版は2016年10月16日・刊。
 今、各版の価格を調べると、次のようである。紙版:1,836円。kindle版:800円。kindle unlimited版:無料(月会費980円で読み放題)。
 第1歌集、236首。長文の解説「塩の斑紋」を光森裕樹が書いている。
感想
 あとがきで「現実に目の前にある世界に想像を重ねて、自分にしか見えない新しい世界をつくりだすこと。」と述べて、リアルな世界ではない事を、明らかにしている。
 その世界では、元・体操選手だが今は車椅子に乗る青年との恋を中心に、歌集が進んで行く。また美術の実践があるようで、絵を描く事に拘っている。現代性と土俗性が交差する歌が、稀にある。
 危うげな若い女性像、という新人の流れを批判する人もいるようだが、短歌賞などでその流れを作った先輩たちに責任がある。

引用
 以下に7首を引く。
空の絵を描けといわれて窓という窓を砕いて額縁にする
保健室の南のまどからだけ見える三時間目の海が好きです
みずうみを塗っていた筆あらうときしずかに透けてゆくきみの声
「はじめてのひとり暮し」というキャッチコピーが似合うきみどりのラグ
差し出せるものなにひとつ持たぬ夜の眼下の街にひかるしずけさ
「ごめんね」とあなたはたしかな発音でぼくの世界を歪めていった
ひと息にともる電光掲示板(まばたき)いいえあれは送り火





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