角川書店「生方たつゑ全歌集」(1987年・再版)より、第10歌集「北を指す」を読み了える。
第9歌集「海に立つ虹」は、今月10日の記事にアップした。
原著は、1964年、白玉書房・刊。
この作品には、自宅火災があり、出版直前に佐藤春夫が亡くなり(3度、序文を受けていた)序文を受けられず、挿絵を受けていた画家・小杉放庵も亡くなり(遺作を挿絵とした)、激変の中にあった。
しかしそれらを潜り抜け、新しく進む思いが、後記「おわりに」にはある。1963年に、歌誌「浅紅」を創刊した。
歌集の中に散見されて、睡眠薬を用いる苦しみがあったようだ。また愛情関係の表現に、やや甘い点が見受けられる。
第1線の女性歌人の成果を挙げているのだけれど。
以下に7首を引く。
うすき肩怒らせながら去りゆきし日が顕つ逆層の岩場をゆけば
咽喉刺すまで火煙うづまく古家よ憑かれて生きしことも敢なし
蒼ざめて常に充たされがたかりしわが過去よ重き家霊を負へば
君が秘密知るゆゑながく守りきて磁力のつよきかなしみもてり
過去のこと言ふこともなき君にして背を押しくるるかたきてのひら
燐光のもえゐるやうな星の位置定まりてたのし春ちかづけば
北方系の知恵切実にサイロなど構へてこもるこの冬の丘

Pixabayより、クロッカスの1枚。


第9歌集「海に立つ虹」は、今月10日の記事にアップした。
原著は、1964年、白玉書房・刊。
この作品には、自宅火災があり、出版直前に佐藤春夫が亡くなり(3度、序文を受けていた)序文を受けられず、挿絵を受けていた画家・小杉放庵も亡くなり(遺作を挿絵とした)、激変の中にあった。
しかしそれらを潜り抜け、新しく進む思いが、後記「おわりに」にはある。1963年に、歌誌「浅紅」を創刊した。
歌集の中に散見されて、睡眠薬を用いる苦しみがあったようだ。また愛情関係の表現に、やや甘い点が見受けられる。
第1線の女性歌人の成果を挙げているのだけれど。
以下に7首を引く。
うすき肩怒らせながら去りゆきし日が顕つ逆層の岩場をゆけば
咽喉刺すまで火煙うづまく古家よ憑かれて生きしことも敢なし
蒼ざめて常に充たされがたかりしわが過去よ重き家霊を負へば
君が秘密知るゆゑながく守りきて磁力のつよきかなしみもてり
過去のこと言ふこともなき君にして背を押しくるるかたきてのひら
燐光のもえゐるやうな星の位置定まりてたのし春ちかづけば
北方系の知恵切実にサイロなど構へてこもるこの冬の丘

Pixabayより、クロッカスの1枚。


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