風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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2016年10月

 沖積舎「梅崎春生全集」(全8巻)の第2巻(1984年・刊)より、前ブログ「サスケの本棚」と通算して第5回めの紹介をする。
 今回、僕が読んだのは、「麵麭の話」、「蜆」、「虹」の3短篇小説である。
 「麵麭の話」は、ご飯も食べられぬ戦後の貧しい家庭を持つ男が、裕福な知人の家で、白いパンを何個か盗んで、家に帰ろうとする主ストーリーである。ここにあるのは、法的な問題ではなく、倫理的な問題であり、背後に社会的問題がある。
 「蜆」は、蜆の闇屋をする男と、「僕」が外套の遣り取りのあと、男が「浅墓な善意や義侠心を胸から締出して、俺は生きて行こうとその時思ったのだ」と告白する。
 「虹」は、善意の学者の「先生」と、彼から翻訳の下請けを貰っている「私」と、街娼になれない「花子」の、心理的に絡み合うストーリーである。
 いずれも敗戦後すぐの、荒廃した人心を描いている。
 小説は、紹介するより、読んで貰う他ないものだ。
 梅崎春生は、1915年・生、1965年・没、享年わずか50.だった。
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フリー素材サイト「Pixabay」より、りんごの1枚。

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 同人詩誌「果実」75号(2016年10月・刊)を、「果実の会」より頂いた。
 先の10月13日付け記事(←リンクしてあり)、「頂いた本と買った本、5冊」で紹介した内、3冊めである。
 「果実」は県内の教員、教員経験者を同人とし、今号では6名16編の詩と、3名3編の随筆を収めている。
 K・不二夫さんの「自分の看板」は、ネクタイを男のVゾーンに掲げる看板、と見立てて新しい。
 W・本爾さんは「うゐのおくやま けふこえて」の末2行で「知らないところで/時代が動く鐘が鳴っていた」と時代を捉える。
 N・昌弘さんは「… あの頃は/社会の代表のような顔をした/常識の看板を背負った人間は/敵だった」と書く。僕も若い頃はそうだった。
 意欲的な5編を、T・篤朗さんは載せているけれども、時に抹香臭くなるのは、失礼だが僕には向かない。
 随筆3編は、論理、ユーモア、実感がそれぞれ響く。


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 先の10月11日付けの記事(←リンクしてあり)で紹介した、「第5回ふるさと学級」のおり、詩人・有田幸代(ペンネーム)さんより、個人詩誌「野ゆき」vol.7を頂いた。
 詩の創作を尋ねると、「野ゆき」を年1回くらい発行のペースだと話していた。
 このvol.7には、5編の短めの詩を載せる。
 児童館にお勤めらしく、「ちりとり」では、児童らが競って掃除をし、ごみを見せにも来て、捨てる時にはなごり惜しそうな、純真を捉え得ている。
 5編の仕舞いは、次の作品である。
   夢の余韻
学生の頃憧れた人が
隣に座っている
膝がふれあうほど近い
温かさを感じながら
これはきっと夢だと
思いながらうれしかった
夢が覚めても余韻は残り
つい笑顔になった
いつもむっつりの彼が
笑っていた
ただそれだけのことだけど

 真面目・誠実な彼女の、この情ある1編は優しい。

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ココア共和国
 仙台にお住まいの詩人、秋亜綺羅さんより、季刊個人詩誌「ココア共和国」vol.20を頂いた。
 入手は、今月13日の
記事(←リンクしてあり)、「頂いた本と買った本、5冊」にアップした。
 「招待★詩」の、いがらしみきお・1955年・生、佐々木英明・1948年・生、宇佐美孝二・1954年・生、佐藤龍一・1952年・生。発行者の秋亜綺羅は1951年・生。
 僕の生年とわずかに前後する。失礼かも知れないが、オールド・ファッション・タイプの詩は、僕にわかる所があり、ありがたい。
 佐藤龍一さん「銃弾・紋白蝶・海」の、「百年の誤読」の句には、笑ってしまう。ガルシア・マルケスの小説「百年の孤独」(焼酎か何か酒の名前にもなっている)の、見事なもじりである。それ自身が誤読であり、読書中に眼と心が疲れて誤読する様を、よく表わしている。
 「招待★短歌」で藤本玲未さんの連作「あとがきの舟」28首は新しいが、僕のわかる所がある。短歌は詩と違って、歌誌や歌集で、新旧の短歌を、読み続けているからだ。「鍵の鳴る音がきこえてとりあえずふすまを閉める弟らしさ」最もわかりやすい1首。
 秋亜綺羅さん「きみのこと」では、「きみのためなら死ねる/なんていえないけれど/ぼくはぼくよりきみが好きです」と書ける詩人と相手が、羨ましい。
 秋亜綺羅さんのエッセイ「1200字のひとりごと」9編は、学ぶ所が多い。政治・経済にも大胆な提言をするが、実行可能かどうか、僕にはわからない。

 
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 砂子屋書房・現代短歌文庫124「森岡貞香歌集」(2016年3月・刊)に完載の3歌集を読みおえたあと、付された「歌論・エッセイ」12編を読む。
 先の10月12日の
記事(←リンクしてあり)、同・歌集「百乳文」に継ぐ。
 この本には、他の歌人・文人の解説・批評は、載っていない。
 12編はいずれも、紙誌の求めに応じたらしい、短い文章である。
 初めの「めぐりあわせ――第一歌集の前後『白蛾』」では、第1歌集「白蛾」が1953年、第二書房より発売されるまでの経緯、帯文を当時の新進作家・三島由紀夫に書いてもらえたいきさつ、「思いがけなく歌集が出て、思いがけなく本屋の店頭で売れたのであった。」等の状況を、回想している(2001年)。
 「呼びあう声」では、敗戦の秋に夫が帰還したが、1年を経ず急死し、棺・薪を探す物資乏しい状況を描いた。また「いまは辛抱してこのまま売食い生活をつづけて、それからは家庭教師の口でも探そうと考えていた。」と述べる。
 「ロマン主義を越えて(覚書として)――わたしのめざすロマン主義」では、「想像や空想の力は大切でここから逃げることはないと思っている」立場の歌論を展開する。(1978年)。
 「回想のなかの未知」では、歌集「未知」発行の前、葛原妙子・五島美代子らとの交流、宮柊二の烈しい言葉、小泉苳三の痛ましい手紙、等を回想している。(1978年)。
 1916年・生~2009年・没。僕は晩年しか知らないが、きれいなおばちゃまの歌人だけではなかった。

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 最近に手許に届いた4冊を、以下に写真付きで紹介する。
 もう写真をアップしない本もあるからだ。
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 まず結社歌誌「コスモス」2016年11月号。
 通例だと、15日・発送、17日(月曜日)到着だと思っていたが、15日(土曜日)に届いてしまった。
 編集部、事務局のご努力である。
 僕の歌は、10首出詠の内、3首選だった。
 アメブロ「新サスケと短歌と詩」の、10月17日付け
記事(←リンクしてある)にアップしたので、ご覧ください。
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 次いで、Amazonに予約してあった総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2016年11月号が、同時に届いた。
 読みおえたなら、またここで紹介したい。
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 村上春樹の自伝的エッセイ(?)「職業としての小説家」(新潮文庫、2016年10月1日・刊)。
 単行本では買わないが、文庫本になったのでAmazonより買った。
 実は10月13日の記事、「頂いた本と買った本、5冊」の時点で、購入済みだったが、挙げ忘れていた。お蔵入りという愛書法もある。
永田和宏 新版 作歌のヒント
 永田和宏「新版 作歌のヒント」kindle版を、タブレットに収めた。
 以前、紙本版を買い、通読し、回し読みもしたのだが、古本屋へ売ってしまって、後悔した。
 紙本新刊と中古本との中間の値段で、昨日、Amazonのkindle版をダウンロードした。おりにつけ、読んでゆきたい。字の大きさも適切である。



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 昨日(10月16日、第3日曜日)、秋晴れのもと、町内の北野神社の秋祭りが行われた。
 午前は、神社で神官により神事、厄払い、七五三祈願があった。
 そのあと正午まで、お神輿の巡行だった。
 上の写真は、軽トラに乗ったお太鼓巡行の、一休みの場。

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 お神輿はごく小さく、町内の家(前以って申し込んだ所のみ)の庭で、4~5人が取っ手を握って揉み、招運来福を祈願する。
 神官のお祓い、天狗役の破邪の槍突きも受ける。
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 午後は北野神社の境内に、特設ステージを設けアトラクションを、ブルーシートを敷いた観客席から楽しむ。
 自治会長の挨拶のあと、「ささゆり会」により、大正琴が演奏された(上の写真)。町内のお年寄りをおもに、帰省した娘息子孫を含め、客は多かった。
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 次に「北野竜神太鼓」(子どもを含む)の和太鼓が演奏された(上の写真)。横笛も吹く、町内のTさんが指導している。
 このあと、歌謡ショー、よさこいイッチョライ、閉会挨拶と抽選会で、午後3時半までの予定だった。僕は歌謡ショーの途中で、帰宅した。




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