風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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2017年01月

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 集英社オレンジ文庫の、青木祐子の小説「これは経費で落ちません!」を読みおえる。
 購入は、昨年11月3日の記事、
「文庫本2冊」にアップした。
 2016年5月・1刷、同・9月・5刷。他に「風呂ソムリエ」、「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー」シリーズ、「幸せ戦争」他がある。
 主人公・森若沙名子は、天天コーポレーション(石鹸や化粧品を作る所から発展し、入浴剤等も作る)に入社5年めの経理部員である。
 周囲で意図的に、天然で、様々策動するのに、「イーブンという言葉が好きである。…差し引きゼロ。すべてにおいてどちらの負担にもならないこと。」を信条とする、仕事にも人間関係にもクールな女性である。
 それなのに1部の人たちから、とても好かれる。営業部の山田太陽に押しきられるように、交際が始まりそうなところで、ほぼ終わる。
 発行された2016年5月、イギリスのEU離脱はないだろう、さらにアメリカ大統領選挙でヒラリー・クリントン氏が圧倒的に優勢と、国の女性首長がリードして、進歩主義が続き得るだろう、という期待の中にあった。
 その成り行きの中で、この小説は書かれ、読まれたのだろう。今、そういう幻想はない。
 一旦お蔵入りさせて本を読むと、このような感興を得る事もある。


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 角川書店「生方たつゑ全歌集」(1987年・再版)より、第4歌集「浅紅」を読みおえる。
 第3歌集
「春盡きず」は、今月8日の記事にアップした。
 原著は、1950年、女人短歌会・刊。
 「女人短歌会」は、1949年、女歌の発展を期して、北見志保子、五島美代子、生方たつゑ、長沢美津らが流派を越えて発足させ、1997年、当初の使命を果たしたとしてみずから解散した。(三省堂「現代短歌大事典」2004年・刊に拠る)。
 「浅紅」は、師・松村英一の命名で、「春盡きず」に先行して刊行された。
 1947年~1950年春までの作品を集める。
 「巻末に」では、第2芸術論等の衝撃が示唆されており、この歌集にはこれまでほとんど無かった字余り・字足らずの歌が少し散らばり、また生の希求が詠まれている。
 以下に7首を引く。

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 京都の三月書房のホームページより、2冊を取り寄せた。いずれも「俳句本新本特価コーナー」よりである。
 僕はこのコーナーからかつて、「渡辺白泉全句集」、「上原占魚全句集」、「日野草城全句集」を取り寄せて読み、各句集ごとに前ブログ「サスケの本棚」等で紹介して来た。
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 まず「改訂増補版 車谷長吉句集」である。
 彼の小説集「鹽壺の匙」を文庫本で持っている筈だが、読んでいなく、今は見つからなかった。業を描いた作家の句集として、読みたかった。
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 次は「永田耕衣俳句集成」である。未刊句集を含む、没後の全句集のようだ。
 彼の句集は、角川書店「増補 現代俳句大系」第8巻より、第3句集「驢鳴集」を読み、前記「サスケの本棚」にアップしたのみである。
 2冊とも、同「特価本コーナー」に1度表われたが欲しくても買えず、今度2度めの出現があったので、この機会を逃がすと後がない、と思い切って買った。沖積舎・刊の再販本で、いずれも定価×4割+消費税(+送料)だった。


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 角川書店「増補 現代俳句大系」第11巻(1982年・刊)より、6番めの句集、相馬遷子「山国」を読みおえる。
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柴田白葉女「遠い橋」は、先の1月17日の記事にアップした。
 原著は、1956年、近藤書店・刊。水原秋桜子・序、413句、石田波郷・跋、後記を収める。
 第1句集「草枕」より112句を採って「草枕抄」とし、その後の戦後の句を「山国」と章立てする。
 何回も述べるが、戦前の句と戦後の句を、並べて載せる心境がわからない。彼らの心情は、敗戦に激変しなかったのか。
 東大医学部の俳句会「卯月会」で水原秋桜子の指導を受け、軍医見習士官として出征し、戦後は故郷・長野県に開業医となった。
 秋桜子(本・大系の監修者の1人)の俳誌「馬酔木」(石田波郷も1948年に復帰)の、「高原俳句」グループとして、相馬遷子(そうま・せんし、1908年~1976年)は活躍した。優れた師兄、仲間を持つと、活動が大きくなるようだ。
 すべて「山国」の章より、5句を引く。
山峡に字一つづゝ秋晴るゝ
風邪の身を夜の往診に引きおこす
霧荒れてたゞ囀りを春となす
牛去りし泉に赤し九輪草
夕凍みに青ざめならぶ雪の嶺
白鳥2
「Pixabay」より、白鳥の1枚。





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 1月18日(水曜日)に、結社歌誌「コスモス」2017年2月号が届いた。
 先の同・1月号は、1月2日の記事、
同「COSMOS集」のあと、「その一集」通常欄に戻り、外国、北海道より南下して香川県に至った。同誌・12月号よりましだが、「その一集」を読みきれなかった。
 2月号は特集がなく、O先生賞発表のあった1月号より16ページ少ない、194ページである。
 僕の歌は、10首出詠の内、3首選だった。もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、
1月19日付の記事にアップしたので、横書きながら、ご関心あればお読みださい。



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 この1月17日(火曜日)の午前9時半より、ある喫茶店の一角で、メンバー3人の短歌研究会A第31回を持った。
 1月13日に、同・B(岩波文庫「宮柊二歌集」の読み込み)を持つ予定だったが、メンバーの都合が悪くなり、17日に詠草提出日も近いという事で、同・A(各自の詠草の検討)第31回を持った。
 
同・A第30回は、昨年12月16日の記事にアップした。
 Mさんの12首では、動詞の終止形か連体形かをはっきりさせる事、強い漢語を重ねない事、漢字の間違い、状況をよく表わして重複の語を削る事、などが指摘された。生活の中からユニークな歌を詠む人なので、歌が正されると見直してしまう。
 Tさんの10首では、過去形を現在形に直す事、感情の由る状況を1首に入れる事、読みの誤りやすい漢字は他の字に替える事、などが指摘された。彼女は短歌歴が僕よりずっと長い。
 僕の10首では、語感を採るか文法の厳密性を採るか、語を入れ替えて正確にする事、過去形を現在形に直して臨場感を出す事、などが指摘された。
 そのあと今期1ヶ月に僕が詠んだ60首程のプリントを二人に見せたが、すでに時刻が11時なのでプリントを持ち帰ってもらう事にして、月内の研究会Bの日の予定を決め、散会した。
白鳥1
「Pixabay」より、白鳥の1枚。



 
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 砂子屋書房・現代短歌文庫127「続 森岡貞香歌集」収載の3歌集全編より、2番めの第7番歌集「夏至」を読みおえる。
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「黛樹」(たいじゅ)は、今月10日の記事にアップした。
 「夏至」は、2000年、砂子屋書房・刊。翌2001年、同・歌集によって斎藤茂吉短歌文学賞・受賞。
 あとがきによると、1985年~1993年の作品を、やや後に刊行している。森岡貞香(1916年~2009年)の、ほぼ69歳~76歳の作品であり、題名は女流歌人の盛りを表わすのだろうか。
 280万部のベストセラーとなった俵万智「サラダ記念日」の発行が、1987年である。
 そのせいかどうか、僕が選びたくなる短歌は、歌集の初め部分に多かった。
 戦地より帰還して半年くらいで亡くなった夫とその後の回想の歌、忌日、墓参の率直な歌がある。



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