風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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2017年08月

 角川書店「増補 現代俳句大系」(全15巻)第12巻(1982年・刊)より、6番目の句集、阿波野青畝「紅葉の賀」を読み了える。
 先行する、
津田清子「礼拝」は、今月18日の記事にアップした。
概要
 阿波野青畝(あわの・せいほ、1899年~1992年)は、戦前「ホトトギス」の4Sと(水原秋桜子、高野素十、山口誓子と共に)呼ばれた。秋桜子、誓子が「ホトトギス」を離れたあとも、「ホトトギス」で活躍した。
 1929年、「かつらぎ」を創刊。1947年、カトリックを受洗。
 原著は、1962年、かつらぎ発行所・刊。自序、485句、収載句の季題別索引を収める。
感想
 1951年(52歳)~1955年(56歳)までの作品を収める、第4句集である。第3句集「春の鳶」(1952年・刊)の、敗戦直後の虚脱・窮乏・混乱の時代を脱したとされる。毎年に四季の句の他、大きな旅吟をまとめて置く。
 大作家であり、居直りもあるだろうが、穏やかなスケールの大きい句が多い。戦後の方向か、新味のある句も混じる。
引用
 以下に5句を引用する。
つつがなく浮巣に卵ならびをり
籐椅子に低くとびゆく雲を見よ
皆既食よみがへりゆく月暑し
苗売の結飯(むすび)とり出し食ひにけり
遠花火この家を出でし姉妹
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写真ACの「童話キャラクター」より、「かぐや姫」の1枚。



 
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 青磁社「永田和宏作品集 Ⅰ」(2017年5月・刊)より、第5歌集「華氏」を読み了える。
 今月13日に紹介した第4歌集「やぐるま」に継ぐ。
概要
 原著は、1996年、雁書館・刊。
 1984年~1986年の在米(家族同伴)研究生活を含む、1984年~1992年の600首と、あとがきを収める。
 帰国後の研究室・主宰、結社歌誌「塔」主宰と、多忙となり、前歌集より10年が過ぎてしまったと、あとがきで自身が述べている。
感想
 在米研究生活の歌では、斎藤茂吉の「つゆじも」の歌が念頭にあったと、自身が歌集「やぐるま」のあとがきで述べた。慣れない海外生活で苦労する、息子・娘をよく支えたと、河野裕子が永田和宏との共著、歌とエッセイの「たとへば君」の中で書いた。(今、その本が手許にない)。
 このブログに7首程を引用すべく、付箋を貼るのだが、貼った枚数が40余枚。歌人仲間・生物学研究者間でのライバルとの競争、家庭生活(主に歌人夫人・河野裕子に対して)に絞らざるを得なかった。
 師・高安国世への挽歌、夫人との相聞の大事なリンクであるダンドボロギクの歌、巻末近く母の墓を墓苑に探し当てられなかった歌も、引けなかった。
 厳しく忙しい生活で、天真爛漫なところのあった、歌人夫人・河野裕子に救われていたのだろうと、勝手に推測する。

引用
 以下に8首を引用する。
不機嫌な妻子を措きてまた戻る夜半(やはん)を灯しおきしわが実験室(ラボ)
負けてはならぬあの場面にてもどかしく探しあぐねていし一単語
娘の前に妻を怒鳴りて出でし道駅までの道のしらしらとせる
ひたひたと間を詰めきたる幾たりの若きらの名は記憶せんとす
らりるれろ言ってごらんとその母を真似て娘は電話のむこう
冬の陽にしおしおと大根の葉は乾く望まざれども敵増えゆくか
食えと言い、寝よと急かせてこの日頃妻元気なり吾をよく叱る
荒れている妻を離れて子と作るありあわせとうむずかしき技(わざ)
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写真ACの「童話キャラクター」より、「かぐや姫」の1枚。




 

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 8月14日の記事で、ダウンロード購入を報せた、かん吉「人気ブロガー養成講座」(本題の「ゼロから学べるブログ運営×集客×マネタイズ」が長いので、副題で書く事にする。)の、第1章~第3章を読み了える。全8章。
 第1章「ブログが成功すると人生が変わる」は、ブログ運営の勧めである。これは前著「人気ブログの作り方」でも書かれていた。
 ブログを書く時間と、続ける決意(ただ書いていれば良いわけではないが)があれば、ブログは続けられる。人気ブログになる為には、彼の書くようなコツが要る。
 第2章「ブログコンセプトを考える」。「マーケティング的ブログ差別化戦略」では、コンセプトの差別化を説く。
 僕もささやかながら、ブログの副題に「純文学系読書・中心です。」と付け加えた(純文学系読書・記事からしばらく離れていて申し訳ないが)。パソコン版のタイトル・ロゴ画像も替えた。
 第3章「成果を出す記事ライティング」。全23Sectionと詳しい。
 「読者が喜ぶ記事を書く」のSectionがあるが、読書日記といえど、自己表現の1つなので、読者が喜ぶようにばかりも書いていられない。
 彼が繰り返し書く「記事タイトルの重要性」も、ある程度は理解する。
 この本を読んでいて、見付けた手段に、「ハイライトを引く」がある。文に付箋を貼るようなものだ。引いた所だけ、「ノートブック」よりまとめて見られる。簡単な技法だが(気になる文章の頭を長押しして、指でなぞる)、これまでわからなくて難儀していた。
 この本や前著、livedoorblogの解説本に拠りながら、少しずつこのブログを変えている。
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写真ACより、「童話キャラクター」のイラスト1枚。近づく秋の風情に合わせて。


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 今月19日の記事、「庭のムクゲ2種」の最後に、「あと1本、実生の木が残っている」と書いた。
 8月20日、その最後の7本目のムクゲに、この夏の初花が咲いたので、紹介する。
 リンクを辿って行くと、これまでの6種のムクゲに会えるので、是非ご覧ください。
 今回の花は、白二重、底紅の花である。二重といっても、外の一重に、内側に乱れた花びらの付いた花である。あとに咲く花で、もっと整った花があるかも知れない。
 八重咲きの血が入っているので、最初に紹介した、純白一重と赤紫八重(花笠咲き)の交配かも知れない。あるいは2回目に紹介した、白千重と赤一重の花の交配か。
 これで庭にある、7本のムクゲの花の、紹介は終わりである。
 いまも何種ものムクゲが咲き、庭を彩っている。


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 8月16日の記事「ブログ関連の3つの自動化」に続き、ブログ関連の6つの変更をした。なお前回の内、Pingoo!自動送信は、うまく行かなかった。
・タイトル・ロゴの画像を替えた。黄百合群落の写真を止めて、写真ACの配信する画像より、鏡枠ふうの幾つかから、シンプルな図柄を選んだ。タイトルと説明の、上下位置を前回に中央より上げて後、今回は戻せなかった。
・「ブログの説明」に言葉を加えた。「純文学系読書・中心です」と加えて、メイン・ジャンルの差別化(?)を図った。
・トップページの表示件数を、5件→3件、と減らした。5日分続けて読む訪問者も少ないだろうし、ページが軽くなる。右サイドバーとも、釣り合っている。
・フィードの表示件数を、5件→20件、に上げておいた。RSS配信はしていない筈で、そのフィード件数は関わりないかも知れない。
・ライブドア内のカテゴリの2番目を、「書評・レビュー」に替えた。読書日記のつもりだが、それはないので。
・スマートフォンの表示を、大きく変えた。表示件数、ランキング・バナー設置などだが、まだ経時確認ができていない。読みにくくなったら、申し訳ない。おいおい直して行く。
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。


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 8月22日の記事「届いた2冊」で紹介した内、残る綜合歌誌「歌壇」2017年9月号を、作品中心にほぼ読み了える。同・8月号の拙い感想は、7月22日の記事にアップした。
巻頭作品20首
 尾崎左永子(以下、敬称・略)「音」20首が、盛年時代を回顧して、感慨深い。1首を引く。
高架路を走り抜けゆく快感はすでに過去わが盛年も過去
 久々湊盈子「夏こそおみな」20首。
 「勘違いされいるらしく折々にとどく句集に言葉をもらう」ともあり、次の1首はその成果だろうか。
雑巾がけは難儀なれどもフィンつけて泳ぐを喜ぶ身勝手な膝
特集・時代を読み、詠む
 松村正直の総論「常識・過去・重層性・多義性」は、過去とレトリックに拘って、現況に曖昧な気がする。
 「作品五首とコメント」12氏は、スローガン的な作品は頂けない。
 風間博夫「紋左」では、「焼き鳥の竹串し抜いて皆でつつくことなどあらじ苦(にが)しビールは」と共に、次の1首がドキュメントとして優れる。
言論の自由失せゆかん午前七時四十六分過ぎのにつぽん
 斎藤佐知子「言霊の」の、コメントで「言葉が辱められている」と述べる。中西信行「隘路の間」5首末で次のように詠む。
バベルの塔の故事の前夜か言の葉の汚れ乱るる未来あやふし
 今年5月2日の記事
「詩誌「生魚」No.86」で書いたように、政治家は半意図的に、言葉の世界を空虚化しようとしている。更には、言葉に悪意を付着させている。
インタビュー「橋本喜典さんに聞く」③
 今回の末の章の題が「この国の明日が心配でしょうがない」であり、戦後の思いやりの良識が失われそうである事を憂える。
作品12首
 内山晶太「蟬声」では、次の1首が、勤め人(あるいは学生)の農業に慰められる心境を描く。
夜の畑にしげる野菜をなぐさめとしてわたくしの帰路つづきおり
 藤野早苗「迦具土神」は、6月の情動と共に、「共謀罪」成立への怒りをも詠む。1首。
六月の夜陰に紛れ生れにけり迦具土神(かぐつちのかみ)のごとき一法
作品7首
 牧雄彦「草萩」の、次の1首のような異様な光景は、僕も喫茶店で見掛けた。
向きあひで飯を食ふべる若き女男スマホ操り物は言はざり
 評論・他も有意義な編が多いが、ここでは取り上げない。

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 今月11日の記事「ムクゲ2種と空蝉」の、白花八重の写真のあとに、「自然交配した実生生えの木が3つかある」と書いた。
 その内、2本の木に花が咲いたので紹介したい。

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 薄赤の一重の花であり、底紅とともに、風情豊かだ。
 純白一重の花と、赤紫一重の花の、交配だろうか。真相はわからない。

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 白花一重(底紅)の花である。ごく淡くピンク色がかっている。
 これも同じ交配だろうか。一重(種ができやすい)は、庭に先の2種しかないので。
 純白の花に比べて小さ目だが、弁は厚い。底紅も彩りである。
 高い所に咲いたので、コンデジの望遠で撮り、更にトリミングした。
 あと1本、実生の木が残っている。花が咲いたなら、ここで紹介したい。


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