Amazonのkindle unlimited版の新鋭短歌シリーズより、嶋田さくらこ・歌集「やさしいぴあの」をタブレットで読み了える。ダウンロードは記録に拠ると、今月17日だった。
同・版の同・シリーズとして、今月21日の記事、笹井宏之「八月のフルート奏者」に継ぐ。
概要
嶋田さくらこ(ペンネーム)は、1975年、滋賀県生まれ。
ツイート上のある歌に惹かれて歌を詠もうと思い、フリーペーパー「うたらぼ」に掲載されるべく、企画・制作者の田中ましろのサイトに投稿をし続けていた、とあとがきにある。
歌集の紙本版は、2013年11月30日、書肆侃侃房・刊。kindle版は、2016年5月19日・刊。
感想
恋人にマゾヒスティックなまでに従順で、結局はフラレる。もちろん事実ではなく、デフォルメやフィクションも多いだろうが、現代では少ないだろう女性像が浮かびあがる。恋の1型である。
現代の青年は、自立した、あるいは自立しようとする、女性を求めるのだろう。
その彼女が、歌人集団「うたつかい」では9名の編集部員と共に、120名もの仲間をまとめている。時代に合った才能は、現われるものだ。
引用
以下に7首を引く。
仲直りしてあげるから買ってきて雪のにおいのアイスクリーム
日曜のまひるあなたを思うとき洗濯ものもたためなくなる
ぎゅっと、でも、そっと握って。手のひらを繋いだだけじゃ伝えられない
親戚が寄ってたかって褒めそやす、ゆかちゃん、ってそうか、わたしのことか
星あかり月あかりのもと玄関とポストと犬の位置を覚える(新聞配達)
半分こしたのバレてるぼくたちの紅いくちびる(りんご飴味)
もう少しそばにいたくて世界からいちばん遠い嘘を信じた