風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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2019年05月

 5月30日(第5木曜日)の午前9時半、メンバー3人が喫茶店に集まって、短歌研究会B第33回を持った。
 同・第32回は、先の4月27日の記事にアップした。
 僕がアイスコーヒーのモーニング・セットを食べおえ、スマホを見ようとした所へ、二人も集まった。それぞれ注文し、歌誌の貸し借り、返却をした。

 短歌研究会Bは、岩波文庫「宮柊二歌集」(宮英子・高野公彦・編)の読み込みである。
 今回は、163ページ、第7歌集「藤棚の下の小室」(1972年・刊)より、「隠岐(一)」の章より入る。
「隠岐(一)」の章。抄出で4ページに渉る大連作である。
 初めの「対馬海流」の歌の中句、「振放(ふりさ)けて」は、振放ける、の語が辞書にない、と僕は思っていたいたが、古語の「振放く」で広辞苑に載っている、と2人に指摘された。現代文法の歌を約3年作って、古語を忘れかけたのだ。結句「潮青光る」は、安易に「青潮光る」と結んでしまいそうだが、厳密性を求めたのだろう。
 各首にはそれぞれ工夫があり、Tさんは男盛りの充実した時期だったのだろうと、感想を述べた。
「浄瑠璃寺」の章。

 「忿怒相(ふんぬさう)」と始まる歌の、持国天王像は、四天王の一つで、甲冑を着けた忿怒武将形に表されるという。
 「塔と堂」との歌の下句、「彼岸(ひがん)此岸(しがん)の石灯籠見ゆ」は、優れた対比の歌だと、話し合った。
「胸奥」の章。「きょうのう」ではなく、「きょうおう」と訓じるらしい。
 「種の別は」の歌は、外国の部族戦争を詠むらしい。
 「道の辺(べ)に」の歌の下句、「渦巻けるごとき林檎の皮」の字余り、字足らずは、「渦巻けるがの林檎の皮を」と或いは定型に収められる所を、敢えて強調したのだろう。
「朱鷺幻想」の章。1963年の作品に入る。
 長歌1首、反歌2首、すべてを収める。
 長歌1連より、外れるかも知れないが、「離々たりし穂も実も今は」の歌の「離々」は間違いやすいけれども、「穂や実が稔って垂れるさま。」(「広辞苑」第7版より)である。


 多くの感想、意見をここに書ききれない。
 10時半過ぎ、次回の日程を決め、散会した。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。




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 今月27日の記事、入手した5冊と1誌で紹介した内、松本博文「藤井聡太 天才はいかに生まれたか」を読み了える。ジャーナリスティックな本は、初めてではないだろうか。
概要
 NHK出版新書532。松本博文・著。2017年10月10日・初版。
 藤井聡太の郷土から、誕生、トランプ、プラレールの好みから、3歳で「雪の聖母幼稚園」に入り、モンテッソーリ教育を受けた事が大きいようだ。
  祖母・祖父との将棋の始めから、幼稚園生で「ふみもと将棋教室」、小学1年で「研修会」(幹事・杉本昌隆・現8段)、小学3年での全国大会初優勝、小学4年で奨励会入り(師匠・杉本昌隆8段)、小学6年で入段、中学生(史上最年少)での4段昇段(プロ入り)・29連勝フィーバー、2017年9月3日、39勝5敗の地点で、追跡は終わっている。
感想

 僕はこの世の天才の存在を信じており、藤井聡太7段、卓球の張本智和、バドミントンの若手女子たちの活躍を頼もしく思っている。
 世の中が、コワモテの首領(ドン)ばかりになり、戦後教育を受けた者には明るくない時代となる中で、希望だと感じる。
 天才少年が、天才青年、天才壮年、天才老年を迎えられるか、保証はない。運動選手の選手生命の短い事に比べて、知のゲームでは選手生命が長い。92歳で現役の囲碁棋士・杉内寿子もいる。
 藤井聡太が生活、社会面で大きく挫折しなければ、大棋士となるだろう。僕の残生の楽しみ(僕は将棋を指さないが)の1つである。


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 ブログを書き、付随する作業をし、その他のネットの用事をしていると、どうしても目の疲れがあり、保護の対策法が必要になる。僕は2つの保護法を採っている。

 まずPC用眼鏡である。つるバネ式の、掛けやすい、軽い品である。5千余円。ブルーライトを1部カットしてくれる。
 コーティング(真空蒸着)なのに剥がれないのか、レンズに成分が含まれるのか、数年、洗浄を重ねて効果が薄れない。

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 目の力の対策法に、小林製薬のサプリメント、「ブルーベリー&メグスリノ木セット」を飲んでいる。メグスリノ木、ブルーベリー・エキス、その他の栄養成分を含む。1日3粒、朝ごとに飲んでいる。
 3ヶ月分、割引と送料無料化のおかげで、4,134円である。効果を実感し、使用を継続している。同社の製品に「同 EX」というのがあるが、効き過ぎるようで、採っていない。

 二つの保護法のおかげで、目は楽であり、ネットを続けられ、読書にも難儀しない。


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 石川書房「葛原繁全歌集」(1994年・刊)より、全歌集に初めて収められた(生前未刊)の歌集「鼓動以後」の、3回めの紹介をする。
 今月17日の記事、同(2)に次ぐ。
概要
 今回は、504ページ「雪の火口」(1988年)の章より、547ページ「かなふならば」(1990年)の章までを読む。
感想
 葛原繁(1919年~1993年)の短歌が、今1つ純粋に澄まなかったのは、郷里の者を含め家族を養う、「生活のため」に会社側に立った(日新運輸倉庫・取締役を務める、等)ためかも知れない。従軍体験から、美への純粋な憧れを信じられなかったためかも知れない。
 少年少女を詠んで明るい歌が多く、未来に期待する点があったようだ。
 宮柊二・没後の「コスモス」編集人となる(1987年)が、体調は衰えこの時期、腸閉塞・肝炎で2度の入院をした。

引用
 以下に7首を引く。
鼓笛隊先だて来るも師の写真樽酒載せし車を引きて(柳川頌歌)
一本の菊をささげて頭(かうべ)垂るさはやけし先生の無宗教の葬儀(山本健吉氏逝く)
雨の輪を生みつつ水は行くものか下野(しもつけ)草の咲く花の下
人影の二三あるのみ一望にしぐれて寒し人工の浜
うちつけに東欧の民衆の声ひびく戦中戦後の世を知る我には
予後の身の一喜一憂くり返し耐へたる冬も春ならむとす
やつかいな肝炎と思ふ残生に仕遂げおきたき仕事を残せば
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。




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 最近に入手した、文庫本4冊、新書1冊、結社歌誌1誌を紹介する。
 上の岩波現代文庫・荒川洋治「詩とことば」(2016年6月・4刷)は、今月20日の記事、荒川洋治さん芸術院賞・恩賜賞祝賀会のおり、荒川さんの記念として配られた本である。
 2017年7月21日の記事、荒川洋治「詩とことば」で1度、感想を述べている。再読したい。

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 今村夏子の小説、「こちらあみ子」と「あひる」を、メルカリより買った。「こちらあみ子」で太宰治賞・三島由紀夫賞をW受賞し、4年11ヶ月の沈黙の後、「あひる」と「森の兄妹」を収めて2番めの文庫本が刊行され、今も新刊の出版は続いている。
 ブクログだったか読書メーターだったか、とても評価されていた。

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 久しぶりにリアル書店「KaBoSワッセ店」へ行き、未読の村上春樹・エッセイ集「村上ラヂオ3 サラダ好きのライオン」(新潮文庫)を買った。彼のエッセイは、滋養豊かなサラダのような、味わいがある。ドコモのdポイントを使える店だが、カードを忘れた。
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 NHK出版新書、松本博文「藤井聡太 天才はいかに生まれたか」を、メルカリで買った。将棋の藤井聡太は、卓球の張本智和と共に、天才少年として、注目している。藤井聡太・本は他にもあるので読みたい。
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 結社歌誌「覇王樹」2019年6月号が、5月25日に届いた。
 今年の全国大会、来年の100周年大会へ向けて、詳細が動き出している。
 僕の6首(8首より選)他は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、5月26日・記事より少しずつ、順次アップしてゆくので、横書きながらご覧ください。

 タブレットにダウンロードした、kindle unlimited本・他、最近に入手した本は既に多く、古くからの蔵書も待っているが、機会を作り1冊ずつ読み進みたい。




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永平寺キャンパス・講座

 5月25日午前10時より12時までの予定で、講座「福井が育む文学を訪ねる」第1回が、福井県立大学永平寺キャンパスの1室で催された。参加した文学の催しとして、今月20日の記事、荒川洋治さん芸術院賞・恩賜賞祝賀会以来である。
 講座開始前は参加者が少なく、淋しい会になるかと思われたが、定刻直前に聴講者が続々と集まり、定員30名を越え、後ろ部屋との仕切りを外し、机・椅子が2列、追加された。
第1講座
 三方郡美浜町よりおいでの、民俗学者・詩人の金田久璋さんによる、「文学に見る若狭・越前の民俗世界」。
 福井県の成立から説き、越前が若狭を低く見る風潮を批判する。
 また山の神・田の神を祀る風習、土葬、まじないの言葉等を紹介し、AIの時代に昔からの民俗が消えて行く事を嘆いた。

第2講座
 時間が押して、11時15分頃より、定道明さんの講座。「福井の文学者達 ~下からの目線と経験主義~」。
 水上勉が自伝的文章「土を喰う日々」「私の履歴書」でも明らかにしなかった事で、生家跡などに立つと、判る事と想像される事がある、と述べる。生家の小屋が墓地の隣りだった(墓地は普通、人家を離れて造られる)事が判り、9歳で寺に預けられたのは「口減らし」のためと想像される、と述べた。
 中野重治の「空想家とシナリオ」の1部を挙げながら、転向後の彼を「プロレタリア文学者」と1括りにしないでほしい、彼は第3の道を模索して苦闘したと、中野重治・研究家らしい言葉だった。
 浜口国雄の詩「便所掃除」、岡崎純の詩「田螺考」を挙げて、福井県出身の文学者の、下からの目線を説いた。
 12時半頃に、第1回の講座を了えた。楽しみにしていた県大レストランは、休日には開いていなかった。


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「歌壇」6月号 (2)
 綜合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2019年6月号を、短歌作品中心に読み了える。
 到着は、今月16日の記事、入手した2冊(5)で報せた。
 同・5月号の感想は、先の4月23日の記事にアップした。リンクより、関連過去記事へ遡れる。
特集 熊野を訪ねて
 僕は宗教信仰を持たないので、熊野の奥深い山林にのみ興味がある。宗教は、あまりに権力と馴れ合って来た。縋るものが、宗教しかない、という人も憐れである。信仰なき祈り、という形が(日本人の大多数だろうが)、神の思し召しに最も近い、とある人が述べたと記憶する。短歌のみを読む。
巻頭作品
 「世は事も無し」的な作品が多い。社会問題を詠んでも、他人事である。
蘇る短歌 第15回 坂井修一
 英語で原爆「ファットマン」の「ファットとマンの間に・(てん)は要りますか」と問う生徒を、原爆の悲劇、ファットマンと呼ぶ心理に無関心で、試験成績にのみ関心があると非難する。しかし学問は、厳密性を求めるのであり、合理性と共に第1の事であり、非難するに当たらないと僕は思う。
引用

 小長井涼「酒舗一景」7首より。
はじめての百合根に「百合根記念日」と喜ぶ人を素直と思(も)はむ
 お酒が入ってのせいか、素直な人も、そう傍らで思う人も、純朴である。
 廣庭由利子「夏めく」7首より。
(いたつき)と聞きゐし人と偶然(たまさか)に立ち話する夕川の橋
 意外性と、回復に安堵する心が伝わる。
 僕がなぜ7首掲載より引用するかと言えば、歌が順直だからである。僕は長く歌を詠むが、有名になりたいとも、歌壇で活躍したいとも思わない。ある人は「短歌を栄達の方法にしてはならない」と述べたと記憶する。短歌の救いを信じるのみである。


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