風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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2020年01月

 東京外国語大学短歌会の歌誌「外大短歌」10号を読み了える。
 到着は、今月19日の記事、入手した3冊を紹介する(6)にアップした。リンクより、過去記事へ遡り得る。



外大短歌10号
 第10号は、2019年11月24日・刊。B6判、66ページ。同・9号のA5判より小さい。短歌の形式には合うが、散文にはきついようで、K・いづみさん、I・美南さんへのインタビュー2つは、別刷りA4判両面4枚となっている。

 現代風な歌も古風な歌もこなす会員、文学好きの独特な感慨、自己愛が素直に出た歌、忙しい女性としてのOGの連作、変革を待つOBの歌、など興味深い。
 OB・OGへのインタビューも、社会人歌人への関心を読める。
 OB、OGへの招待、ゲストへの招待が多いことは、歌誌発行を文学運動の1つと読むとき、納得できる。
 大学短歌会は最近盛んであり、ツイッターで発信している会もある。また角川文化振興財団が毎年、大学短歌会バトルを開き、競わせていることも、原動力の1つだろう。内容は角川「短歌」に載る。


 以下に7首を引く。
コンソメスープに胡椒かけるの忘れたけれど君もきにしていないしいいや(K・やかん「器も白」)
終電に乗って帰ってお吸い物三つ葉の色が変わらぬ内に(同・上)
啄木を蟹・砂・死ねしか分からない程度のやつらで海に行くのだ(S・龍「連中と我々」)
赦されることなきものを罪と呼ぶあなたは好きなだけ悔いなさい(Y・周「犬を落とす」)
アーモンドオイルを脚に塗りたくる大事なものには油を塗るの(N・かれん「海は苦手だけどやって来た」)
髪型といふべき型の既になく牛蒡の束のやうなるを曳く(I・美南「深夜に怒る」)
腕捲りをして待っているこの秋がやがて真秋に倒るるその日
(K・隆希「真秋」)





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 森絵都の短編小説集「アーモンド入りチョコレートのワルツ」3編より、「子供は眠る」を読み了える。
 購入は、昨年12月10日の記事、届いた3冊を紹介する(7)で報せた。



 また彼女の「風に舞いあがるビニールシート」を取り上げた読書会は、昨年12月11日の記事、和田たんぽぽ読書会(2)にアップした。



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 「アーモンドチョコレート入りのワルツ」は、3曲のクラシック曲より紡がれる、3編の小説を収める。角川文庫、2007年7冊。
 初めの「子供は眠る」に、ロベルト・シューマン<子供の情景>より、の副題が付く。
 章の父の別荘に、章を含め5人のいとこが、夏休みに集まる。章はクラシック曲を好み、毎晩LPレコードを聴かせ、その他の面でも暴君である。他の4人は我慢して、英語発音に堪能なことや、背丈が章を越えたことや、水泳で負けないことを隠す。ひょっとしたことから、それらの偽りがバレる。そして中学生5人は和解する。
 僕「今年のぼくは、卑怯だったよ」。
 章「おれなんか、昔から卑怯だよ」。
 子供の純真さから、少年へ移る悲哀があるようだ。
 しかし、彼女の和解、挫折してもこうあるべきだ、には理想主義の匂いがする。


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 角川書店「増補 現代俳句大系」第15巻(1981年・刊)より、10番目の句集、成田千空「地霊」を読み了える。
 今月8日の記事、平畑静塔・句集「壺国」を読む、に次ぐ。



 成田千空(なりた・せんくう、1921年~2007年)は、1946年「暖鳥」創刊に参加、同年に中村草田男の「万緑」に創刊より参加。1945年より開墾に従事するも、収穫乏しく、辛酸を嘗める。5年後、古書店を開業し、新刊書店に移る。
 第1句集「地霊」には、中村草田男の序句、1943年~1971年の583句、中村草田男の「跋に代えて」、著者・後記を収める。


 第1章「母郷」が1943年~1948年の作品と、敗戦を跨いでいる事に違和感がある。
 開墾の貧しい村に、更に貧しい物乞いが現れ、寺もなく、水子か間引き子を祀る童子仏に目を止め、離農する者にも敵意を持たない。
 安心は、一人一人が得てゆくものであり、俳人の離農を僕は難じない。敗戦どさくさに巻き込まれた、災難である(当時の農政はわからないので、今は述べない)。


 以下に5句を引く。
炎天焦土人群れやすく散りやすく
地の旱閾(しきゐ)を越えて乞食来る
墓地ありて寺あらぬ村冬木太し
指ほどの燭炎え露座の童子仏
殉ずるも背くも一樹雪嵐
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写真ACより、「ケーキ」のイラスト1枚。



 記事公開時刻を、朝の6時に変更します。

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 1月20日の深夜、ブログ記事2つを書き上げたあと、本を読んでいると、BGMに鳴らしていたパソコンのAmazon Musicが鳴っていない。いったん消して、再び呼んでも鳴らない。パソコンを再起動させても鳴らない。
 メールのOutlookも通じていない。
 Wi-Fi専用のタブレットでネットを開こうとすると、「ネットがつながっていません。次のことを試みてください。」と3件が出るが、僕の手に負えない。スマホの電波はつながるので、ONUかルーターの故障だろうと、翌日を待つことにした。この状況でも、僕はよく眠った。

 翌日も同じ状況だった。NTTドコモのネットトータルサポートへスマホより電話しようとすると、「〇〇の場合は〇を押してください」と出るので、固定電話より電話した。サポートはすぐつながって、ONUとルーターの点検のあと、固定電話がつながってもいて、それら2つの故障ではないらしいと言う。
 プロバイダー契約の接続IDと接続パスワードが要るというが、僕の用意した書類のものではない、プロバイダーに問い合わせてほしい、と告げられていったん電話を切った。
 プロバイダーの相談窓口に電話すると、僕の用意したIDとパスワードで良いと言う。再び固定電話より、ネットトータルサポートへ電話する。スマホへ電話を入れてもらい、そのガイドに従って、パソコンを操作することになる。

 パソコンの画面のバナーより、細く手順をつないで、ガイドに従って様々に操作する。接続IDと接続パスワードも入力する。「接続 確立」と出たと告げると、サポーターの声が明るみ、もう接続している筈と言う。OutlookとAmazon Musicが反映することを確認し、ネットがつながらない件は落着した。原因を問うと、プロバイダーの不都合だろうと答える。料金は無料だった。神対応である。「ありがとうございます」との礼が、安堵の涙声になった。
 それで今も、このブログ記事を、デスクトップパソコンで書いている。
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写真ACより、「ケーキ」のイラスト1枚。


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 山田詠美の短編小説集「タイニー ストーリーズ」より、初めの5編を読み了える。
 購入は、昨年12月25日の記事、メルカリより4冊を買う、で報せた。



 題名のtinyは、とても小さい、という意味である。tiny storiesは英和辞典にないけれども、その語でググると、それを副題とした原書の写真が何冊か出て来るので、通用している語である。
 短編小説は、little storyとされているようで、tiny storyはそれよりも短く、日本語で原稿用紙数枚くらいの掌編小説よりも長いようである。

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 文春文庫、2013年・刊。帯の「アソート」は、組み合わせ、品揃え、の意味である。
 初めの「マービン・ゲイが死んだ日」は、若くして胃癌で亡くなった母親の遺品のメモに不可解な数行があり、それが解かれる話である。
 「電信柱さん」は、動けないが五感を持つ電信柱の独白と言う、奇妙な展開である。かつて森瑶子は、「何でも小説の主題になる」と宣って商品券を主題とする短編小説を書かされた。山田詠美の小説も熟達して、何でも主題にできる域に入ったのかも知れない。
 「催涙雨」では、アルコール中毒で入院した夫を見舞う妻が、入院患者たちと親しくなり、不能だという患者に口淫するまでになる。

 「GIと遊んだ話(一)」では、土曜日のラブホテルがどこも満杯で、不思議な古い旅館(元は遊女屋?)に明日出航するGIと、多美子が泊る。その後、多美子は捜しても捜してもその宿を見つけられない。
 「百年生になったなら」は、息子と娘、夫と姑にないがしろにされる、パート勤めの主婦が主人公である。老女の万引き事件を目撃して目覚め、100歳になったら犯罪を重ねようと決め、準備を始めたところ、異変に気付いた家族に大事にされ、翻意するに至る。素直な性格の主人公の、心の移り変わりが面白い。
 ユーモアあり、深刻あり、サスペンス風ありと、彼女のペンは自在である。




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 三浦しをんの小説「風が強く吹いている」を読み了える。新潮文庫、2018年33刷。
 購入は、昨年12月18日の記事、ブックカフェで1冊と、送られた1冊、にアップした。



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 よくあるスポ根ものである。定員ぎりぎり10名の弱小チームが、鍛えられて、選考会をくぐり抜け、初めて箱根駅伝に出走し、次年度シード権を得るまでの物語である。
 駅伝の場面は感動的で、涙ぼろぼろで読んだ。しかし読み了えた瞬間、虚しさを覚えた。

 結局、ファシズムじゃないか?と思う。鉄腕アトムの最後の場面(僕は読んでいない)、アトムが(何かを抱え?)、地球を救うために太陽に突入するストーリーをファシズムだと断じた吉本隆明なら、箱根駅伝でアンカー清瀬が二度と走れなくなる故障を起こしても走る小説を、同じだと断ずるだろう。精神注入棒で鍛えられた日本軍が、ガムをくちゃくちゃしながら戦う米兵に敗れた事が、よほどショックだったらしい。

 三浦しをんがなぜスポ根ものや、辞書編纂を描くのだろう。紙の辞書、電子辞書、ネット検索の興亡を描いてほしい。僕は時代小説をずっと読まない。現実と突き合わせない状況なら、いくらでも美談は描けるだろう。余談に走った。石田衣良や堀江貴文の小説が、まだ現代を描いているようだ。
 小説「風が強く吹いている」は、あまり僕の背中を押してくれなかった。



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 最近に入手した3冊を紹介する。積読本が多くなったので、あまり買っていない。
 前回は昨年12月25日の記事、メルカリより4冊を買う、である。



外大短歌10号
 東京外国語大学短歌会より、「外大短歌」10号が届く。ツイッターのメッセージで注文した。
 9号のA5判より、B6判となり、可愛く似合っている。
 前回9号では、振込手数料が割高だったが、今回は楽天銀行の振込手数料無料のサービスを利用した。
 同・9号の辛めの感想は、昨年12月7日の記事にアップした。




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 本阿弥書店より、総合歌誌「歌壇」2月号が届いた。
 特別企画は「初冬の越前を訪ねて」で地元だけれども、離れた心は戻らない。方針の違いは、男女仲より冷淡である。


海河童 劔岳
 海河童さんのツイッターのメッセージで、彼の写真集「Photo Collection of 劒岳」Kindle本(通常有料、Kindle Unlimited本あり)が無料キャンペーン中と教えてもらったので、さっそくタブレットにダウンロードした。タブレットはKindle本を読む時(読書する時の外、PCでKDP作成の参考にする時)、記事のためググる時に便利である。
 「~劒岳」は、2018年9月13日・刊行。彼のKindle有料本を買っていなくて、申し訳ない。



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