青磁社「永田和宏作品集 Ⅰ」(2017年5月・刊)より、第10歌集「後の日々」を読み了える。
第9歌集「百万遍界隈」は、先の9月25日の記事にアップした。
概要
原著は、2007年、角川書店・刊。357首と、あとがきを収める。
2001年~2003年の作品である。
短歌の発表、多くの講演等をしつつ、日本細胞生物学会会長(2002年~2005年)など、学問の組織の長、役員としても多忙だったようだ。
感想
乳癌の手術を受け、実父を亡くして、心の不安定な妻・河野裕子(彼女の歌に「あの時の壊れたわたしを抱きしめてあなたは泣いた泣くより無くて」他がある)を見守る歌と共に、近づく老い(54歳~56歳)の感慨めいて、優れた後輩、孫を詠んだ歌がある。母恋の1首も、引用に収めた。
引用
以下に7首を引く。
平然と振る舞うほかはあらざるをその平然をひとは悲しむ
君よりも不安はわれに大きければ椋鳥のように目をつむるのみ
あきらかに我を越えゆくいくたりを目に確かめて挨拶を終う
名前のみとなりたる母の名を書けりわが知らねどもいつまでも母(受診票)
おさなごを抱きてぬるき湯に沈む胸と胸とが蛙のようだ
振り分けに玉葱を竿に乾していく妻がとにかくうれしそうなり
石の犬が石の玉嚙む境内の入口まで来て帰ろうと言う
写真ACの「童話キャラクター」より、「一寸法師」のイラスト1枚。

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