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 5月16日の記事、「歌誌と歌集を入手」で報せた内、綜合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)6月号を、作品中心に読み了える。
 リンク記事にも書いた、角川「短歌」の威圧感はない。
概要
 2018年6月1日付け・刊。通刊373号。169ページ。
 特集「生活詠にみる時代」、新シリーズ、特別作品30首、などを組む。
感想
 巻頭の「うたびと4字熟語⑱」からが面白い。栗木京子(以下、敬称・略)は、色紙に「天衣有縫」と書き、「ほころびや裂け目があったり接ぎがあたったりしてもよいのではないか。…」と解説する。ルーズで余裕があって好い。
 「全国大会の思い出 今昔⑥」は、僕の属する「覇王樹」で、「歌壇」に戻って来ていきなりの取り上げは、奇遇だった。
 特集「生活詠にみる時代」は、生きにくい社会を感じて、市民のリアルな感情をみたい、と組まれた(編集後記)。短歌の題材として、親元をはなれた60年代末からしか自分に迫る要素はないけれども、戦後短歌はいつも、時代に抗う心があったようだ。
 「定綱が訊く ぶつかりインタビュー 第1回」は、馬場あき子である。歌壇登場や「かりん」創刊とその後、夫・岩田正を語って、角川「短歌」5月号のインタビューよりリラックスしている。
 特別作品30首は、佐佐木頼綱「陽を受けて透く」である。ご夫婦に初の子供さんが産まれた喜びを詠む。FB上の記事で、写真なども観ているので、親しみを感じる。1首を引く。

・移ろへる一月の陽の輪の中で泣く子を抱いてゐる息をしてゐる
 坂井修一「蘇る短歌 第三回」は、一、二回を知らないのだが、科学者らしく実証的に論理的に短歌を論じている。
 短歌作品は、言葉遣いに新古ありながら、新と真を追求している。