思潮社「関根弘詩集」(1968年・刊)より、「未刊詩篇」と初期「絵の宿題以前」を読み了える。
 今月11日の記事、
同「約束したひと」を読む、に次ぐ。これでこの詩集を読み了えた事になる。
概要
 未刊詩篇は44編、戦前の初期詩篇「絵の宿題以前」4編を読んだ。
 これらの詩編は、後の土曜美術社出版販売「関根弘詩集」(日本現代詩文庫27)に納められていず、思いきった載せ方である。
感想
 読み了えて、僕は茫然とする。付箋紙を貼ったのは、2ヶ所のみ。「いいか信用するか」の後半「あることないこと信じるは/この世の中で詩人だけ」に付箋して「辛辣である」とメモがある。
 「誕生」の末尾の「母さん/ぼく/星までいかないうちに/悪いロケットのように/燃えつきてしまっても/お願い/悲しまないで……」に付箋して、「悲しい燃え尽き症候群を指すか」とメモがある。
 犯罪者をことさら取り上げた数編があり、追い詰められていたのか。
 感情の海にイデオロギーや芸術論の土砂を埋め立てたような、荒漠としたものを感じる。「批評しよう」と心構えて読む僕にも、いけない面はあるのだろうが。
 戦前の初期作品が重厚であるだけに、いっそう感じられる。
0-04
写真ACより、「キッチングッズ」のイラスト1枚。