
砂子屋書房・現代短歌文庫124「森岡貞香歌集」(2016年3月・刊)に完載の3歌集を読みおえたあと、付された「歌論・エッセイ」12編を読む。
先の10月12日の記事(←リンクしてあり)、同・歌集「百乳文」に継ぐ。
この本には、他の歌人・文人の解説・批評は、載っていない。
12編はいずれも、紙誌の求めに応じたらしい、短い文章である。
初めの「めぐりあわせ――第一歌集の前後『白蛾』」では、第1歌集「白蛾」が1953年、第二書房より発売されるまでの経緯、帯文を当時の新進作家・三島由紀夫に書いてもらえたいきさつ、「思いがけなく歌集が出て、思いがけなく本屋の店頭で売れたのであった。」等の状況を、回想している(2001年)。
「呼びあう声」では、敗戦の秋に夫が帰還したが、1年を経ず急死し、棺・薪を探す物資乏しい状況を描いた。また「いまは辛抱してこのまま売食い生活をつづけて、それからは家庭教師の口でも探そうと考えていた。」と述べる。
「ロマン主義を越えて(覚書として)――わたしのめざすロマン主義」では、「想像や空想の力は大切でここから逃げることはないと思っている」立場の歌論を展開する。(1978年)。
「回想のなかの未知」では、歌集「未知」発行の前、葛原妙子・五島美代子らとの交流、宮柊二の烈しい言葉、小泉苳三の痛ましい手紙、等を回想している。(1978年)。
1916年・生~2009年・没。僕は晩年しか知らないが、きれいなおばちゃまの歌人だけではなかった。
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