
宮本君子さん(「コスモス」会員)が送ってくださった第二歌集、「梅雨空の沙羅」を読みおえる。
今月13日の記事(←リンクしてあり)、「頂いた本と買った本、5冊」で紹介した内、4冊めの本である。
2016年9月30日、柊書房・刊。437首。
読み始めて、「あれ、宮本さんの歌はこんなのかな? 森重先生の選はこんなのかな?」と疑いながら進むと、すぐに歌は優れた作品ばかりとなった。
中年後期から初老に至る齢の、哀歓を描いて、惹かれる作品が多く、10余枚の付箋を貼ったが、前例に倣い、7首を以下に引く。
愛想のよき中年の奥にある哀しさに似て梅雨空の沙羅
老い支度いえ死に支度などと言ひ友は蔵書をつぎつぎ呉れる
人声の絶えて滅びし<夏夜鳥集落>はふかき山に戻りぬ
来た来たと誰か叫(おら)べるまたたく間一位の走者走り抜けたり
癌を病む兄が見舞ひにおとづれて左半身麻痺の夫抱く
秋の夜をひつそり起きて授乳する娘へ熱き生姜湯いれる
三歳の駿太は林檎の皮が好き真赤真赤とうたひつつ食ふ
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