風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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読書会

 6月8日午前10時より、和田たんぽぽ読書会6月例会が、会員8名の全員参加で、和田公民館にて催された。体温・体調に異常がない事を受け付けの1覧表に記入し、マスク着用で。
 今回の課題図書は、地元の作家(詩人・評論家でもある)の定道明さんの「ささ鰈」である。10編を収めた、短編小説集。
 僕の一応の感想は、昨年6月2日の記事にアップした。


 今回は、AKさんの司会で、右回りに感想を述べた。
 AKさんは、福井県・在住の地元の作家はたんぽぽ読書会で初めてで、年代が同じ、環境が自分と同じ作家だと紹介した。
 ATさんは、短編1つ1つが面白い、知っている地名が頻出する、と述べた。
 TRさんは、墓仕舞いの話が出て来るが、自分も経験があり、世話的にも費用的に大変だったろうと感想した。油揚げ(福井県は油揚げの消費量が全国1位である)の話では、大豆を店に持って行って油揚げを貰う、物々交換のような時代もあった、とも。
 僕は、先のブログ記事をプリントしてあったので、それに沿って述べた。
 OTさんは、忙しく事情もあり、読んでいない、との事だった。
 IMさんは「面白い作品だった。読めない漢字があり、飛ばして読んだ。ルビを振ったほうが良い。」など語った。
 IYさんは、ノートを忘れ、記憶で語った。2回読んだが、何気ない事が考え方によって良い作品になる。感性を投網のように広げ、絞って内容を得た、と述べた。「犀星道」の繰り返しの説明について、僕が彼は学者でもあるから正確さを追求する面があるのだろう、と補足した。
 MMさんは、中野重治の「くちなし忌」や講演会「中野重治の午後」でよく会う。渋く、重く、古武士を思わせる。引き際を弁える、と述べた。
 時間(正午まで)が余ったので、定道明さんとの交友の思い出などを語りあった。正午15分前くらいに散会した。
 家で僕が「ささ鰈」を読み直してみると、会員の読書法に刺激されたのか、新しい印象があった。ベテランの作家の筆で書かれているが、これは自分史でもある。人生を回顧して、鮮やかに蘇る細部と心情は、書き記す事を迫るようだ。

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写真ACより、「建築」のアイコン1枚。


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 4月13日(第2火曜日)の午前10時より、和田公民館にて、和田たんぽぽ読書会の4月例会が持たれた。新年度より会長のAKさんより、挨拶と連絡があった。
 課題図書は、村山由佳の「星々の舟」だった。

星々の舟 Voyage Through Stars
村山 由佳
文藝春秋
2003-03-30


 この本を、県立図書館の語らい文庫(読書会向けへ同1の本を、多数貸し出す)から選んだのは僕だが、内容を読み始めて選択ミスだと思った。レイプ等の性的虐待、近親相姦、不倫、倦怠期夫婦など、センセーショナルな話題ばかりで成っているからだ。
 司会の僕が、上記の事を詫びると、会員(8名のうち6名出席)からは、いやそうではない、という声が上がった。
 AKさんより、左回りに感想を述べてゆく事になった。一家の長の重之と従軍慰安婦のエピソードがショッキングだった。性的な事ばかりが出て来て、心苦しかった、と述べた。
 TRさんは、韓国からの従軍慰安婦、強制労働などの告発を、本当だったんだろうな、と受け取った。人間の厭らしさを赤裸々に描き、読むにつらいものがあったと語った。
 ATさんは、兄妹相姦だった兄・暁は結婚、離婚し、妹の沙恵は独身を通す。最後の墓前での、重之、暁、沙恵の再会があるが、このまま和解して良いのだろうかと、疑問を立てた。
 IMさんは、ストーリーに不自然な所がある。作者は永遠の愛を書いて見たかったのか、と述べた。
 MMさんは、重之の従軍に絡めて、自分の学徒動員、守ってくれた朝鮮人の先輩、などを語った。村山由佳が福井新聞に連載小説「星屑」を挙げている事を教えた。
 僕は、従軍した兵士にも、宮柊二(結社歌誌「コスモス」の創刊者)のように、1度も慰安所へ行かなかった者がいる。重之の子・孫のうち最も安定した生活を送るように見える、長男・貢が学生運動から抜けて、就職・結婚し子を成しながら、休日農園にのめり込んでゆくコースに、共感すると述べた。
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写真ACより、「ガーデニング」のイラスト1枚。



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 3月9日(第2火曜日)の午前10時より、和田公民館の1室で、和田たんぽぽ読書会の3月例会が持たれた。
 2月例会は、2月10日の記事にアップした。


 3月例会の課題図書は、佐藤愛子のエッセイ集「九十歳。何がめでたい」だった。
九十歳。何がめでたい
佐藤愛子
小学館
2016-08-01


 僕の感想は既に、今月8日の記事にアップした。


 例会には定刻前に、会員8名全員が揃った。検温、マスク、距離をとっての着席だった。
 この本を選んだMMさんが、もう数日で卒寿だと告げて、会員の拍手を浴びた。MMさんは、佐藤愛子の本は22年ぶり、1999年の「凪の光景」以来だと明かした。
 感想はIYさんより左回りで始まった。OTさんは、「戦いすんで日が暮れて」を読んだ事があり、すっと入って来る1冊だと述べた。自分は喜寿だけれども、卒寿まで生きられるか分からない、やはり90歳はめでたいとも。
 AKさんは傘寿になった。生き方に共感して2度読んだ。電気器具の修繕で、簡単に直ったのに高額な出張料を取られた事が2度もある、と書内のエピソードに同感した。
 IMさんは、93歳での本で、共感すると、言葉が少なかった。
 TRさんは、後期高齢者に入ったと述べた。自分は穏やかに生きたい。世には様々な人がいるだろうけれど、犬の散歩やテレビなど、静かに生きたいと。
 ATさんは、自分や周囲の人が老いて、耳が遠くなったので、自然に声が大きくなる、とエピソードに理解を示した。コロナ禍で世の中が変わり、確定申告なども変わって困ったとも。
 僕の番となり,IT化、合理化、進化で、世は便利で豊かになったけれども、あわれみ・ユーモア・ゆとりがなくなり、せっつかれるように感じる。子供への態度は、昔通りではなく、新しい接し方の方が良い、とも述べた。
 IYさんは、佐藤愛子が大阪生まれ、東京で生活し、大阪人の庶民感覚がある、と解釈した。何かあってもタダでは起きない、バイタリティがあるとも。
 MMさんは、若い人とどう伍して行くかと考える。若い頃は、女性の地位向上のため等に活動し、心が燃えていた。今も社会への関心を保つための、日課を続けている、とも。
 会長役を1年続けたATさんと、次期(4月以降)会長となるAKさんより、挨拶があった。11時半過ぎに散会した。

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写真ACより、「ドリンク」のイラスト1枚。


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 2月9日(第2火曜日)の午前10時より、和田たんぽぽ読書会の2月例会が開かれた。O・Tさんが結局、欠席となり、7名の会となった。
 課題図書は中島京子の長編小説「夢見る帝国図書館」(文藝春秋・刊、2019年7刷)である。
夢見る帝国図書館

 僕の感想は、既に今月3日の記事にアップした。


 司会のA・Tさんと、A・Kさんより、昨年は催しができなかったが、今年は通常通りの運営となるよう願っている、との挨拶があった。
 司会より左回りに感想を述べる事になり、A・Tさんは、喜和子さんの物語と帝国図書館の物語を、別々に読んだと語った。戦前の諸作家が、帝国図書館に通って学んだ事に、感銘を受けたとも。
 T・Rさんは、楽しく引き込まれて読んだ。散骨されて、喜和子さんは幸せだったろうか。先人の努力のおかげで、今の読書環境がある。「真理がわれらを自由にする」とのモットーが心に残った、と語った。
 I・Yさんは、装丁が素晴らしく、図書館という地に鍬を入れた物語に、感動したようだった。
 A・Kさんは、後の大文学者が帝国図書館に通った事、幾つもの戦争が図書館拡張を停滞させた事、戦時中も開館していた事が、印象に残ったと語った。
 I・Mさんは、本の厚さと内容の重たさに打たれたと語った。読書会でこそ、個人では読まない本を読む(中島京子の小説は、たんぽぽ読書会で3冊めという)機会があるとも。
 僕は先ほどの記事のプリントを持参し、その後半と、喜和子さんのストーリーがはっきりしないのは、喜和子さんより「わたし」への語りが曖昧であり、知人の訂正が入ったり、他人の捉え難さをあらわしている、と述べた。
 11時半過ぎ、やや早いながら、次回の課題図書を受け取って、散会した。





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 12月8日(第2火曜日)午前10時より、和田公民館にて和田たんぽぽ読書会12月例会が持たれた。
 11月例会を僕は医療診断のため欠席し、10月例会は臀部痛で途中退席したため記事アップしなかったようだ。9月例会(9月9日)の記事が残るのみである。



むらさきのスカートの女

 今回の課題図書、今村夏子「むらさきのスカートの女」を僕は既に読んでおり、2019年10月31日の記事をプリントして持参した。



 今回の参加者は、10月かより参加のI・Mさんを含め、8名の全員参加だった。I・Yさんの司会で始まり、事務局のA・Tさんより11月14日の文学散歩の報告、1月の新年読書会・食事会の相談があった。
 読書感想は、僕より始まり、ほぼプリントの結末部分を述べた。格差社会の弱者が、なかなか上へ這い登れない仕組みだとも。
 T・Rさんは、最近よくありそうな題材だ、無常・はかなさ・切なさを感じると述べた。表紙のスカートからはみ出る4本の足、裏表紙の黒い林檎のイラストは、何を表すかと問いかけた。表紙のイラストは、「むらさきのスカートの女」も「黄色いカーディガンの女」も、同じ仲間だと示すのだろうと結論になった。黒い林檎の謎は、解けなかった。
 M・Mさんは、若い世代の女性作家が続くが、拒否しようと思わない、今を生きる若い世代の体験、思いを描いて、分かりやすいとした。
 A・Tさんは、ホテル管理業務員へ「むらさきのスカートの女」を誘わなくて良かったのではないか、人にしつこく関わるのも考えものだ、という感想だった。

 O・Tさんは、「カーディガンの女」が皆の事を観察しているのが怖ろしい、と述べた。
 I・Mさんは冷静で、この小説はフイクションであり、芥川賞を狙って書かれたとの感想を述べた。
 I・Yさんは、「黄色いカーディガンの女」が「むらさきのスカートの女」と親しくなろうとしながら、表立っては近づかなかった点を上げた。
 A・Kさんは、所長が死んでもいないのに「むらさきのスカートの女」を逃げ出させ、「黄色いカーディガンの女」が同じ立場になった結末を上げた。

 1月例会の課題図書を分け、消毒・清掃の中、僕は妻が待っている時間なので、早引けさせてもらった。



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 和田たんぽぽ読書会の11月例会の課題図書、ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読み了える。
ぼくはイエローで…
 新潮社、2019年11月25日・13刷。253ページ。
 読み了えて、ジャンルは何だろうと考える。ジャンル分けより、中身が大切なことは分かっているが。
 小説でなく、エッセイでなく、いわゆるノンフィクションでもない。ノンフィクションの1分野、ルポルタージュだろうか。開高健のルポルタージュ「ベトナム戦記」にも、似た切迫感があった。
 アイルランド人と結婚した日本人女性の、一人息子がエリート系のカソリック系中学校ではなく、白人労働者の子供たちが通う、元底辺校に自ら通うようになった生活を描いている。
 人種差別、LGBT、貧富の差、など(家庭内を含め)、トラブルの渦中の中学生たちである。
 上記の事柄に関心のある方は、読むと良いだろう。
 著者がブレないのは、夫と共に、カソリック信徒であるせいもあるだろう。



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 9月8日午前10時より和田公民館にて、和田たんぽぽ読書会9月例会が持たれた。
 8月はお休みなので、7月15日の同(7)以来だった。




 今回の課題図書は、三浦しをん「愛なき世界」だった。僕は既に、7月24日の記事に、感想をアップした。


愛なき世界
 まずA・Tさんより連絡があり、県合同読書会の中止等の報告があった。またT・Rさんはやむなく欠席、O・Tさんは1時間遅れるという事で、5名での開始となった。司会は初めての僕だった。

 A・Kさんの感想。良い人ばかりで、食堂の藤丸君がわかりやすい。「動物も植物も人間も光を食べて生きている」のフレーズが印象的だった。
 A・Tさんの感想。藤丸君が献身的である。題名に引っ掛かる。
 I・Yさん。知らない世界を垣間見る。小保方さんの事件を思い出した。
 M・Mさん。作者はまだ若く、人生の見方が深い。感情移入できる。筆力が凄い。
 僕の感想は、先のブログ記事の通りである。皆が松田教授の態度を評価するけれども、僕は人情噺に落ちていると思う。
 0・Tさん登場。忙しすぎて、3分の1くらいしか読んでいない。読みやすいけれども、という感想だった。T・Rさんの文章を僕が預かった。

 秋の文学散歩の件を話し合った。次回の課題本、中脇初枝「神に守られた島」を分け合って、11時半過ぎに散会した。



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