風の庫

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パヴェーゼ

 イタリアの作家、パヴェーゼの小説「故郷」を読み了える。
 今年3月24日の記事、パヴェーゼ「流刑」を読むに次ぐ。

パヴェーゼ「故郷」
概要
 岩波文庫、2003年6月・第1刷。
 河島英昭・訳、解説を含め234ページ。
 僕の以前のブログ「サスケの本棚」(2007年4月4日・開始)に載っていないので、発行日より2007年4月までに購入したようだ。読書までずいぶん待たせて、本文にまで経年ヤケがある。
感想

 パヴェーゼの長編小説・第2作だが、イタリアがファシズム下にあったため、1941年5月、1番めの小説として出版された。
 戦後の1950年5月、「月と篝火」等で名声の絶頂にありながら、彼は睡眠薬自殺を遂げた。41歳の若さだった。
 作品内容としては、主人公「僕」が、粗野な青年・タリーノ(放火の嫌疑)と共に警察管理から放たれ、タリーノの父親・ヴィンヴェッラ老人の麦扱きの仕事を手伝う、3日間の出来事が主な場面である。
 「僕」はタリーノの妹のうち、ただ一人上品な、ジゼッラと親しくなる。しかしタリーノが諍いでジゼッラを、三つ又で殺してしまい、終幕となる。
 固陋な田舎を描き、イタリアの文学運動、ネオ・レアリズモの出発とされる。
 僕も田舎在住だから、田舎の貧しさと固陋さは、わかるつもりである。また多くの人が、田舎住まいか田舎出身で、思い当たる所はあるだろう。
 「流刑」でもそうだったが、すぐ主人公が色恋に染まるのは、なぜだろう。1時の村上春樹みたいだ。







 
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パヴェーゼ「流刑」
 パヴェーゼ(イタリアの作家、1908年~1950年)の小説、「流刑」(岩波文庫、2012年2月16日・刊)を読み了える。
 旧ブログ「サスケの本棚」で調べると(管理画面でのみ検索可能)、2012年2月22日の記事に購入を挙げてある。
 他に岩波文庫「故郷」(2003年6月13日・刊)と、集英社版・世界の文学14「パヴェーゼ」(1976年5月20日・刊、「流刑地」を含め、「美しい夏」、「月とかがり火」、他を収める)を持っている。
 2012年・当時、岩波書店書店より「パヴェーゼ文学集成」(全6巻)が刊行されていた。
 パヴェーゼの作品を読むのは、今回が初めてである。
概要
 「流刑」は、パヴェーゼの第1長編小説である。
 反ファシズム運動に関わり、イタリア南部の海岸の村に流刑(流謫)となった、現実には7ヶ月ほどの小屋暮らしを描いている。
 村人は警戒しつつ優しく、恋人を得る幸運もあった。
 戦後、パヴェーゼは詩人・作家として活躍したが、1950年、42歳の若さで自殺してしまった。僕は原因を知らない。
感想

 1970年前後、パヴェーゼは学生の間に人気があった。
 ある先輩は、「僕たちもパヴェーゼやポール・ニザンを読むようになるのか」と、嘆くように語ったものだ。
 訳者・河島英昭は、イタリア文学の名翻訳者で、「ウンガレッティ全詩集」、「クァジーモド全詩集」(いずれも筑摩書房・刊、未読)等の翻訳もある。
 関係詞につながる長文、詩的な表現もそのまま、翻訳されている。
 「流刑」を読み了えて、今の自分が流刑に遭っているような気がする。次男ながら、出身地の町に住み、軟禁されてはいない。しかし40年の囚役(ほとんど肉体労働だった)からは解放されたが、日中は一人でいる事が多く、毎日のように文学を語り合う友はいない。応接室を訪れる友も今はいない。
 会合で文学の友と語り、ネットで交流を続けるのみである。
 この流刑のような生活にも、職をリタイアした身は、慣れてきたようだ。




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