購入は、今月18日の記事、3冊を買うにアップした。

2018年5月21日、講談社・刊。328首、著者・あとがき、別刷・メモを収める。箱入り。
第4歌集だが、僕はこれまで読んだことがなく、歌誌の掲載作や引用で読んで来たのみである。
子供時代、思春期に固執して、回想の歌を多く創っている。僕は農家の次男だったので、それらへの執着はない。幾つかの懐かしい思い出はあるけれども。
母の挽歌や現在の歌では、リアリティのある作品がある。真実味のある作品に惹かれる。
ニューウェーブの歌は、戦後の前衛短歌の、俵万智・以降版と呼ぶべく、軟弱に見えるけれども、彼らへの時代的要請もあったのだろう。
以下に7首を引く。
窓ひとつ食べて寝息をたてているグレーテルは母の家を忘れて
助けてと星に囁く最悪のトイレットペーパーと出会った夜に
ナタデココ対タピオカの戦いを止めようとして死んだ蒟蒻
アルコール、カロリー、糖質無しというビールの幽霊飲んでしまった
母のいない桜の季節父のために買う簡単な携帯電話
わはははと手を打ち終えた瞬間にぶごといびきをかいている父
ハミングって何と尋ねてハミングをしてくれたのに気づかなかった

