風の庫

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ライトヴァース

 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2020年11月号を読む。
 到着は、今月19日の記事、入手した2冊を紹介する(10)にアップした。




歌壇 11月号
 11月号は、11月1日付け・刊。定価:900円(税込み、送料込み)。
 特集は「追悼 岡井隆」である。戦後派の大歌人・岡井隆は2020年7月10日に亡くなった。「短歌研究」、角川「短歌」、思潮社「現代詩手帖」などが追悼特集を組んだと記憶する。永田和宏、小林恭二の二人の追悼文、「私の選ぶ岡井隆十首」(10首選1ページと、追悼文1ページ)10名が個性を見せて、それぞれ悼んでいる。岡井隆が1985年以降、ライトヴァースを提唱した(Wikipediaに拠る)という事も、驚きだった。
 特別企画「人恋うる歌」は、恋人や夫婦を詠んだ歌が少なくて、驚いた。

 T・薫さんの「ルソーの空」7首より、1首を引く。
逢引と言ふにはあらね画面越しに会ふひとときのため紅を点
(さ)
 zoom歌会等の、コロナ禍下での心情が見事に詠まれている。

 10月20日、本阿弥書店に「歌壇」6ヶ月分を振り込んだ。総合歌誌をこれ1種、あと半年は読み続ける。


  
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 砂子屋書房・刊の「葛原妙子全歌集」(2002年)より、第7歌集「朱霊」を読み了える。
 第6歌集「葡萄木立」は、先の5月5日の記事にアップした。リンクより、関連過去記事へ遡れる。



CIMG9712
 全歌集の函の表の写真を再び挙げる。

 「朱霊」は、1970年、白玉書房・刊。715首、著者・後書を収める。
 前衛短歌の一人とされながら、僕にインパクトが少ないのはなぜだろう。戦争未亡人の森岡貞香ではなく、元・華族のプライドを秘めた富小路禎子でもなく、医師の妻に過ぎない。実質・厨歌に過ぎない作品もまじる。仮定の上の悲傷もある。
 稀に迫力のある幻視の歌、暗喩が決まった幻想の歌もある。
 啄木、「赤光」、「サラダ記念日」、「昭和万葉集」完読と進んだ僕は、後まで前衛短歌に触れる事が少なかった。生活の短歌しか詠めない由縁だろう。
 なお俵万智のライトヴァースは否定されたとされるが、僕には解せない。バブル期でなくとも、「かるみ」を目指す歌があって良い。


 以下に7首を引く。正字を新字に替えてある。
等身の鏡にあゆむ 現
(うつつ)よりふとたしかなるわれの足どり
夏澄むに悲痛せむかなあたらしき中国に老残の宦官ありとして
疾風はうたごゑを攫ふきれぎれに さんた ま、りぁ、りぁ、りぁ
南風の夜の月明水中に沈める死者は椅子に居りにき
犬などがことことと階段をのぼりゆくひたすらなるにわれは微笑す
昼しづかケーキの上の粉ざたう見えざるほどに吹かれつつをり
陽を着たる一人の男低丘を迂回する道いま登りゆく



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