風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

リンク記事

 今月7日の記事、届いた4冊(4)で報せた本から昨日に続き、関章人さんより受贈した詩集、「在所」を読み了える。

 

詩集2
 リンク記事で、関章人さんの過去の詩集の記録がない、と書いた。県立図書館の蔵書にもなく(県内の詩人は詩集を出版すると、ほとんど必ず寄贈する。この「在所」も蔵書検索に浮かぶ)、第1詩集のようだ。
 年刊アンソロジー「詩集ふくい」への寄稿が先か、同人誌誌「角」への寄稿が先か(代表・金田久璋さんに誘われて)、今はわからない。

 第Ⅰ章は、東北大震災をちょうど3ヶ月後に詠った「白煙がゆれている」から始まり、比較しつつ福井震災を描く「 わが福井震災の記憶と」が続く。福井空襲と原発禍を対比する「いのちの在所」の編もある。

 第Ⅱ章には、言葉を問う「ことばの翳り」、「とどかないことば」がある。
 「耳鳴り」の「透明になった過去と/崩れて行く明日と/幻像は水面に揺らいでいる」とあいまいながら、焼け跡世代の現在の思いを伝える。
 第Ⅲ章の「鯨塚」は、天明4年(1784年)と文政3年(1820年)の史実を物語って、郷土史研究家の面目を見せている。
 「囲い込み幻想」は、国の領海・領空を囲い込み、「ひとり歩きする」コトバで国民を囲い込もうとする、権力に反発する。
 第Ⅳ章では、生活をリアルに切り取って優れる。「廃品回収」の「次には僕が廃品回収やなァ」「いやいや まだまだ使える貴重な資源です」の会話は、庶民の機知と知恵と優しさである。
 第Ⅴ章の3編は古く、ベトナム戦争などを詠っている。

 総じて問題意識に貫かれた詩集である。


このエントリーをはてなブックマークに追加

「覇王樹」9月号
 所属する短歌結社の歌誌、「覇王樹」2019年9月号を、作品中心に読み了える。
 同号の到着は、先の8月29日の記事にアップした。
 リンク記事には、8月号の感想、覇王樹のホームページ、9月号の僕の歌、3つの記事へリンクしてあるので、是非ご覧ください。

 「覇王樹」には、巻頭8首抄のあと、爽什10名欄があり、同人より6首ずつを集める。今月のトップテンと納得する、優れた作品である。
 覇王樹人の歌碑(33)岩佐健の歌碑では、見開き2ページに、歌碑と歌人の写真、紹介文を載せ、顕彰している。


 2首の引用に寸感を付して、紹介としたい。
 東聲集のI・ちずるさんの「まさかにつまづく」6首より。
ソファーより立ち上がれるもままならぬ九十の母歯痒いと泣く
 老いの極みを詠む。誰もが(僕も)至る道だろう。
 游芸集のM・睦子さんの「梅雨入り」6首より。
女子力や甘え上手は無縁なり我の人生働くばかり
 私事だけれども、僕の妻も66歳で、病気をかかえ働いている。口は悪いけれども、僕の好物を買って来てくれる。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ