作品集
室生犀星「ゆめの話」を読む
室生犀星「名園の落水」を読む
Kindle本「室生犀星作品集」より、エッセイ「名園の落水」を読み了える。
先の8月27日の記事、「みずうみ」を読む、以来である。
「名園の落水」は、初め前田家の家老だった本多氏の庭を巡る。当主は住んでいず、取次の案内を受ける。庭は荒れている。
総檜の屋敷や、100畳の部屋も見せてもらう。
それから兼六公園へ向かう。落水の脇のお亭でひと休みし、芥川龍之介を思う。曲水に感嘆している。落水を「公園で一番いいところ」と思って佇む。
庭を造り、世話することが道楽だった犀星らしい、エッセイである。庭造りに関心のない僕には、深い感慨はわからない。
底本の親本、新潮社「室生犀星全集 第3巻」1966年・刊。

写真ACより、「日本庭園」の写真1枚。


先の8月27日の記事、「みずうみ」を読む、以来である。
「名園の落水」は、初め前田家の家老だった本多氏の庭を巡る。当主は住んでいず、取次の案内を受ける。庭は荒れている。
総檜の屋敷や、100畳の部屋も見せてもらう。
それから兼六公園へ向かう。落水の脇のお亭でひと休みし、芥川龍之介を思う。曲水に感嘆している。落水を「公園で一番いいところ」と思って佇む。
庭を造り、世話することが道楽だった犀星らしい、エッセイである。庭造りに関心のない僕には、深い感慨はわからない。
底本の親本、新潮社「室生犀星全集 第3巻」1966年・刊。

写真ACより、「日本庭園」の写真1枚。


室生犀星「みずうみ」を読む
KIndle版「室生犀星作品集」より、「みずうみ」を読み了える。
先の同・童話とエッセイを読む、は6月9日の記事にアップした。

作品集の表紙を再掲する。
「みずうみ」は、初めに「童話でも小説でも散文でもない」と断っている。
写生ではない俳文という所だろうか。
4章と分量は意外と多かった。
湖辺の一軒家に住む眠元朗とその妻、娘と、3人が登場人物である。眠元朗とその妻は生活に飽き、険しい目を交したりする。
結末で父親は、乙女さびた娘を、対岸の桃花村へ小舟で送り出してしまう。
家族の由来も、生業も、心象小説のような1編では、どうでも良いのである。
底本の親本は、「室生犀星未刊行作品集 第Ⅰ巻 大正」三弥井書店、1986年・刊。初出は「詩と音楽」1923年5月号。旧かなを新かなに直してあるだろう。

先の同・童話とエッセイを読む、は6月9日の記事にアップした。

作品集の表紙を再掲する。
「みずうみ」は、初めに「童話でも小説でも散文でもない」と断っている。
写生ではない俳文という所だろうか。
4章と分量は意外と多かった。
湖辺の一軒家に住む眠元朗とその妻、娘と、3人が登場人物である。眠元朗とその妻は生活に飽き、険しい目を交したりする。
結末で父親は、乙女さびた娘を、対岸の桃花村へ小舟で送り出してしまう。
家族の由来も、生業も、心象小説のような1編では、どうでも良いのである。
底本の親本は、「室生犀星未刊行作品集 第Ⅰ巻 大正」三弥井書店、1986年・刊。初出は「詩と音楽」1923年5月号。旧かなを新かなに直してあるだろう。


Kindle版「室生犀星作品集」より、童話とエッセイを読む
Kindle版「室生犀星作品集」より、童話とエッセイを読む。
怪談とエッセイ2編をを読んだ前回は、先の5月17日の記事にアップした。
童話は「不思議な魚」と題する。漁師の息子が、ガラス箱の中の小さな人魚を二つ買い、海に戻らせる。ある鰯漁で、漁師と息子は、人魚のおかげで大漁を得る。
地蔵や動物の恩返しものだが、人魚、漁師の点が新しい。初出「キング」1926年11月号、底本の親本「室生犀星童話全集 第3」1978年・刊。
エッセイは、「交友録」と題する、短い作品である。朔太郎や白秋、他との交友を述べる。
いずれ出版社に頼まれて、困ったあげくに書いたものだろう。しかし後の「我が愛する詩人の伝記」に繋がるとすれば、貴重である。底本の親本「室生犀星全集 第7巻」新潮社、1964年・刊。

写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。


怪談とエッセイ2編をを読んだ前回は、先の5月17日の記事にアップした。
童話は「不思議な魚」と題する。漁師の息子が、ガラス箱の中の小さな人魚を二つ買い、海に戻らせる。ある鰯漁で、漁師と息子は、人魚のおかげで大漁を得る。
地蔵や動物の恩返しものだが、人魚、漁師の点が新しい。初出「キング」1926年11月号、底本の親本「室生犀星童話全集 第3」1978年・刊。
エッセイは、「交友録」と題する、短い作品である。朔太郎や白秋、他との交友を述べる。
いずれ出版社に頼まれて、困ったあげくに書いたものだろう。しかし後の「我が愛する詩人の伝記」に繋がるとすれば、貴重である。底本の親本「室生犀星全集 第7巻」新潮社、1964年・刊。

写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。


室生犀星「抒情小曲集」を読む
先の4月15日の記事、入手した3冊を紹介する(8)で報せた内、Kindle版「室生犀星作品集」より、「抒情小曲集」を読み了える。

この作品集の作品の順番は、分類別でなく、題名のあいうえお順なので、独特である。室生犀星の詩集は、古い岩波文庫(1965年・12刷、自選)しか持っていないので、新しく多くの詩に出会える。
「抒情小曲集」は、「愛の詩集」に次ぐ第2詩集(同年に刊行された)である。
94編の短詩を集めている。白秋、朔太郎、自分、他の序文が長い。
「特つた」(持った?)、「青さ波」(青き波?)、「葱はおとろゆ」(衰ふ?)等の、誤りと見られる箇所がある。
「みやこへ」(7行)には、「けさから飯も食べずに/青い顔してわがうたふ」のフレーズがあり、生死を賭けた、飯よりも詩が好きな例の、詩である。
3部の内の第2部に移ると、5音句・7音句が多くなり、「時無草」のような冷たい抒情が見られる。
第3部の「街にて」では、「…服は泥をもて汚され/…/れいらくの汚なき姿をうつす/…/血みどろに惨としてわれ歩む」と困窮の様を描いた。
小説家へ移行して成功するまで、当時の多くの若者詩人の一人だったのだろう。



この作品集の作品の順番は、分類別でなく、題名のあいうえお順なので、独特である。室生犀星の詩集は、古い岩波文庫(1965年・12刷、自選)しか持っていないので、新しく多くの詩に出会える。
「抒情小曲集」は、「愛の詩集」に次ぐ第2詩集(同年に刊行された)である。
94編の短詩を集めている。白秋、朔太郎、自分、他の序文が長い。
「特つた」(持った?)、「青さ波」(青き波?)、「葱はおとろゆ」(衰ふ?)等の、誤りと見られる箇所がある。
「みやこへ」(7行)には、「けさから飯も食べずに/青い顔してわがうたふ」のフレーズがあり、生死を賭けた、飯よりも詩が好きな例の、詩である。
3部の内の第2部に移ると、5音句・7音句が多くなり、「時無草」のような冷たい抒情が見られる。
第3部の「街にて」では、「…服は泥をもて汚され/…/れいらくの汚なき姿をうつす/…/血みどろに惨としてわれ歩む」と困窮の様を描いた。
小説家へ移行して成功するまで、当時の多くの若者詩人の一人だったのだろう。


入手した3冊を紹介する(8)
最近に入手した3冊を紹介する。

県内にお住いの詩人、西畠良平さんが、詩集「溶け出した言葉」を贈って下さった。
2020年5月・付け、紫陽社・刊。
66歳にしての、第1詩集である。

本阿弥書店より、総合歌誌「歌壇」2020年5月号が届いた。
6月号以降も本誌を取ることに決め、近いうちに半年分の誌代を振り込む予定である。
連載「平成に逝きし歌びとたち」は今号、二宮冬鳥である。彼を尊崇する鈴木竹志さん(「コスモス」でのかつての先輩)は、大喜びだろうか。
同・4月号の感想は、先の3月23日の記事にアップした。

AmazonのKindleより、「室生犀星作品集」をタブレットに、ダウンロード購入した。
室生犀星は気になる作家・詩人だけれども、作品集を持っていなかった。99円(税込み)より、Amazonポイント、6ポイントを引いての購入だった。1詩集1作品、小説1編1作品の数え方である。僕がかつて読んだ長編小説「杏っ子」が入っていない。
Kindleで買った作品集では、「橘曙覧 全歌集」、「若山牧水大全」、「D・H・ロレンス詩集」などを読んだが、「与謝野晶子大全」はほとんど手付かずである。


県内にお住いの詩人、西畠良平さんが、詩集「溶け出した言葉」を贈って下さった。
2020年5月・付け、紫陽社・刊。
66歳にしての、第1詩集である。

本阿弥書店より、総合歌誌「歌壇」2020年5月号が届いた。
6月号以降も本誌を取ることに決め、近いうちに半年分の誌代を振り込む予定である。
連載「平成に逝きし歌びとたち」は今号、二宮冬鳥である。彼を尊崇する鈴木竹志さん(「コスモス」でのかつての先輩)は、大喜びだろうか。
同・4月号の感想は、先の3月23日の記事にアップした。

AmazonのKindleより、「室生犀星作品集」をタブレットに、ダウンロード購入した。
室生犀星は気になる作家・詩人だけれども、作品集を持っていなかった。99円(税込み)より、Amazonポイント、6ポイントを引いての購入だった。1詩集1作品、小説1編1作品の数え方である。僕がかつて読んだ長編小説「杏っ子」が入っていない。
Kindleで買った作品集では、「橘曙覧 全歌集」、「若山牧水大全」、「D・H・ロレンス詩集」などを読んだが、「与謝野晶子大全」はほとんど手付かずである。

