風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

先駆的

 新潮社の「川端康成文学賞 全作品 Ⅰ」(1999年・刊)より、1982年・受賞の色川武大「百」を読み了える。
 先行する竹西寛子「兵隊宿」は、今月3日の記事にアップした。


 僕はこの短編小説を読んだことがあり、調べると旧ブログ「サスケの本棚」の2015年3月4日の記事に、同題の短編小説集「百」(新潮文庫)をアップしてある。

 ブログは検索に便利である。同・記事のミスは、武大はブダイではなくタケヒロと読むこと(Wikipediaで確認済み)と、僕の本棚に彼の麻雀小説「麻雀放浪記」4冊・揃(新潮文庫)が残っていること、2点である。
 ブログの検索に依ると、他に「引越貧乏」「あちゃらかぱいッ」「怪しい来客簿」(いずれも文庫本)を読んでいる。

 「百」は、95歳の老父が、30年一人で生きて来たのが、次男家族(夫婦、娘)、妻(家を出て事業をし、父を養った)と、同居するようになり、ガクッと衰えて幻聴・幻視で騒動を起こしてしまう話である。「百」というのは、あと5年生きて100歳になれば、区役所からの祝い金・百万円を一人孫娘に贈ろうと、父が楽しみにしていると「私」に告白するシーンから取られた。敗戦の傷を秘め、高齢者の問題を先駆的に捉えた作品である。
03 (5)
イラストACより、「自然」の1枚。



このエントリーをはてなブックマークに追加

 岩波文庫の一茶「七番日記」(下)より、7回めの紹介をする。
 同(6)は、先の1月7日の記事にアップした。


 今回は、文化14年正月~6月の半年分、295ページ~329ページ、35ページ分を読んだ。
 江戸俳壇を離れ、54歳で得た長男・千太郎が早逝し、老境に入る。それでも新しい発想の句を吟じ、類想句はわずかである。得意の口語体の句を進め、郷里の風土を含め、先駆的に吟じている。
 6月の項の末尾に、398句とあるのは、正月からの総計だろう。

 以下に5句を引く。
はつ空にはやキズ
(疵)(つけ)るけぶり哉
秋雨
(さめ)や乳放(ちばな)れ馬の旅に立(たつ)
有明(ありあけ)にかこち皃(がほ)也夫婦(ふうふ)
短夜(みじかよ)にさて手の込んだ草の花
(いひ)ぶんのあるつらつきや引(ひき)がへる
0-15
写真ACより、「ウィンターアイコン」の1枚。





このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ