筑摩書房の「現代日本文学全集 補巻8 上林曉集」(1975年・2刷)より、7番めの短編小説「嬬恋ひ」を読み了える。
先行する「遅桜」は、先の6月8日の記事にアップした。
リンクより、関連旧記事へ遡れる。
「嬬恋」は、筑摩書房の月刊誌「展望」1946年9月号・初出。
作家の妻が、神経症療養院で亡くなった日と葬儀のストーリーである。前日には妹が見舞いに行っていたが、その妹と観劇のあと帰宅すると、療養院より危篤の電報が届いており、二人は駆けつけるが、朝方に妻は亡くなっていた。帰宅したがる病人が騙され続けて、何度目かの発作を起こしたのである。「一晩中歯が砕けるほど歯ぎしりしたり叫んだりしたあげく」の事だという。死後に作家がいくら懺悔した所で、死者の悔しみは償われない。
戦後という事で、葬儀は滞りなく済んだ。死者が讃美歌に印を付けた所や、書き出したメモに作家が打たれているのは、偽善くさい。
兄妹、姉弟の対幻想は、兄弟・姉妹の対幻想より強い(卑弥呼と弟のように)と書いた、思想家がいた。妻は、兄妹の関係に敗れ、神経症となったのかも知れない。

写真ACより、「雨の日」のイラスト1枚。


先行する「遅桜」は、先の6月8日の記事にアップした。
リンクより、関連旧記事へ遡れる。
「嬬恋」は、筑摩書房の月刊誌「展望」1946年9月号・初出。
作家の妻が、神経症療養院で亡くなった日と葬儀のストーリーである。前日には妹が見舞いに行っていたが、その妹と観劇のあと帰宅すると、療養院より危篤の電報が届いており、二人は駆けつけるが、朝方に妻は亡くなっていた。帰宅したがる病人が騙され続けて、何度目かの発作を起こしたのである。「一晩中歯が砕けるほど歯ぎしりしたり叫んだりしたあげく」の事だという。死後に作家がいくら懺悔した所で、死者の悔しみは償われない。
戦後という事で、葬儀は滞りなく済んだ。死者が讃美歌に印を付けた所や、書き出したメモに作家が打たれているのは、偽善くさい。
兄妹、姉弟の対幻想は、兄弟・姉妹の対幻想より強い(卑弥呼と弟のように)と書いた、思想家がいた。妻は、兄妹の関係に敗れ、神経症となったのかも知れない。

写真ACより、「雨の日」のイラスト1枚。

