風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

反映

 6月21日の記事、Kindle版・歌集「雉子の来る庭」KDP達成で、第1歌集の刊行をお知らせしました。



 自分も歌集のKindle有料版をタブレットにダウンロードしました。読んでゆくと、幾つかのミスと、多くの不統一が見つかりました。
 ミスでは、「亡くなったから」などがありました。旧仮名では、小さい「っ、ゃ、ゅ、ょ」などを使いませんので、「亡くなつたから」が正しいのです。
 不統一では、「馬追」と「馬追ひ」、「老」と「老い」の混用などがありましたので、「馬追ひ」「老い」に統一しました。
 送り仮名では、様々に悩みましたが、結局、広辞苑第7版・電子辞書版に拠る事にしました。「向う」→「向かう」、「交る」→「交じる」など、多数です。一旦は送り仮名を少なくしようとしたのですが、元に戻した箇所もあります。元の版の原稿を残して置いて、幸いでした。
 6月25日の午後9時半頃、第2版を申請し、4時間後の翌日1時半頃に認可が降りるかと待っていました。真夜中0時頃、試しにAmazonを検索してみると、新版が発行されていました。さっそくタブレットにダウンロードして、確認すると、10数ヶ所の訂正が反映されています。メールでの連絡は、午前2時半となりました。
 初版は削除致しましたので、初版をダウンロードされた方は読めなくなりました。誠に申し訳ございません。Kindle Unlimited版をダウンロードするか、有料Kindle版を250円で購入されるよう、お願い致します。購入コーナーでは、20首ほどの試し読みができます。
 目次のハイパーリンク、本文のハイライト、メモ、栞、検索、拡大・縮小などの機能が有効です。
 これ以上の訂正は、今のところ無い見込みです。
「雉子の来る庭 」表紙
 歌集の表紙の画像です。




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 筑摩書房の「現代日本文学全集 補巻8 上林曉集」(1975年2刷)より、4番めの作品、「現世図絵」を読み了える。
 先行する「嶺光書房」は、先の4月5日の記事にアップした。


 「現世図絵」は、敗戦前年の1944年の夏に、神経に異常をきたした作家の妻・徳子を、家族で致し方なくK療養院へ何度めかの入院をさせる話である。さすがに作家が語るのではなく、娘・篤子が語る形になっている。
 妻は食料を独占して食べようとし(稀に機嫌が好いと、夕食を午後3時に出したりする)、家族で食料の奪い合いになる。
 妻の弟・武叔父さんと作家が、役所へ行って申請の書類を書く。徳子の母親が郷里から出て来るが、入院の手助けするのみになる。医師が来て妻に催眠薬の注射をし、俥屋は寝台車からリヤカーに替えて、療養院へ運んでしまう。
 1ヶ月近く経って、作家と篤子が病院を訪ねると、徳子はおとなしくなっていて、証券・通帳などの隠し場所を素直に告げる。それが篤子と母親・徳子の最後の別れとなった。
 徳子の異常なエゴイズムも、作家の異常なエゴイズム(自分の妹・綾子に生活の世話をさせてもいる)の、反映のように思える。
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写真ACより、「ビジネス」のイラスト1枚。


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 山田詠美の短編小説集「風味絶佳」を読み了える。
 今月12日の記事、届いた3冊(5)で到着を報せた。

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概要
 単行本:2005年5月、文芸春秋社・刊。
 文春文庫:2008年5月・初刷。
 6編の短編小説を収める。「4U」の9編に比べて、1編が長めである。
感想
 「4U」などと共に、名短編集とWikipediaにあったから、取り寄せて読んだ。
 「4U」に比べて、暗いアンハッピーエンドな小説が多いようだ。
 「アトリエ」では、ゆんちゃん(裕二)あーちゃん(麻子)と睦み合う夫婦が、妊娠と共に妻の神経症に夫も巻き込まれてゆく。
 「風味絶佳」では、アメリカかぶれの祖母に見守られながら、青年が見事に恋人に振られる。
 「間食」では、年上の加代に世話される雄太が、恋人の花の妊娠を知った途端、花との連絡を切る、後味の悪さが残る。
 「春眠」では、想いを寄せた女性を実父に奪われる。
 男性主人公は、肉体労働者からみばかりだ。現場出身の僕として、本質を衝いていると言えない。
 作家は2006年に離婚していて、家庭の危機の反映と読むのは、あまりに俗だろうか。



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