風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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女性作家

 江國香織の小説2編を収めた新潮文庫、「こうばしい日々」を読み了える。1997年11刷。
 読み始めてすぐ、読んだことがあると気づき、今、前のブログ「サスケの本棚」を内部検索したところ、2008年12月27日の記事にアップしていた。


 12年近く前なので、発見がある。

こうばしい日々
 生まれるとすぐ、父母とアメリカに移ったダイ(大介)が、高校まで日本で卒業してアメリカの大学に進んだ姉、ガールフレンドのジル、先生のカークブライド、学校食堂のパーネルさん、姉のボーイフレンドのデイビッド、大学生の友人・ウィル(日本かぶれ)、父の同僚の島田さんたちと織りなす、アメリカ生活の秋から冬にかけての物語が「こうばしい日々」である。

 「綿菓子」は、女子中学生・みのりが、姉のかつての恋人・次郎に思いを寄せて、伝わる話である。姉とその夫は幸せだが、おばあちゃん、友人・みほは、事情を抱えている。「結婚じゃなく、はげしい恋に生きよう。」の1文があって、主人公と共に作者の意気を示すようだ。読者の男性にも女性にもサービスした、結末に至る。
 江國香織が後進の女性作家に拓いた道は測り知れない。


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 山田詠美の小説「ぼくは勉強ができない」を読み了える。
 購入は、2019年9月7日の記事にアップした。

 彼女の小説の感想として、先の2月11日の記事、「放課後の音符(キイノート)」に次ぐ。



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 新潮文庫、274ページ、2016年48刷。

 黒人GIとの性を描いた山田詠美が、中学生、高校生を描いて、何の異論もない。後続の女性作家に道を開いた事で評価したい。
 中学・高校で優等生(?)だった僕も、大学で挫折して、社会的な劣等生(?)となり、社会は学力ではなく、人間力が幅を効かすと知った。僕も努力を重ねてリタイアし、穏やかな老後を願っている。ただしアマチュア文学に拠ってなりと、名誉回復を果たしたいと思う。
 山田詠美は、時代の厳しさを感じてか、シリアスな小説に向かっているようだ。




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 山田詠美の短編小説集「4U」を読み了える。
 先の7月7日の記事、同「マグネット」に次ぐ。
 「4U」の到着は、7月14日の記事、届いた2冊(8)で報せた。いったんお蔵入りかと思われたが、自分でも意外に早く読んだ。

4U
概要
 幻冬舎文庫、2000年9月5日・2版。解説を含め、249ページ。メルカリの300ポイントで買った。
 「4U」は、「for you」の略語である。
 9編の短編小説を収める。
感想
 慕い合う男女(稀には病的な女性も登場する)を描いて、穏やかで、心を衝く場面がある。
 我が儘そうな(と言って悪ければ異端者だった)彼女が、風格を帯びた1因は、恋愛短編小説のアンソロジー「せつない話」(1989年、光文社・刊、既読)、続編(1997年、光文社・刊)を編んだ事が大きいと思う。多くの小説を読み込み、アンソロジー(おもに女性作家の)を編んで、女性作家の姐御になったのかも知れない。
 当時は結婚生活も落ち着いていたようだ。
 同じく名短編集と評価される、「風味絶佳」を読んでみたい。



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 加藤元の短編小説集「四百三十円の神様」を読み了える。
 到着は4月17日の記事、届いた2冊(6)で報せた。
 集英社文庫、2019年2月25日・刊。定価:640円+税。
 僕はメルカリの400ポイントで購入した。
概要
 加藤元(かとう・げん)は、1973年生まれの女性作家。
 「四百三十円の神様」には、「四百三十円の神様」、「あの川のほとりで」、「いれずみお断り」、「ヒロイン」、「九月一日」、「鍵は開いた」の、6編を収める。
感想

 「四百三十円の神様」。元・プロ野球の名ショートだったが落ちぶれた男。同棲する女の財布を攫った男。働かずにいて離婚した父親。故障があり見込みがあまりないが学生野球に戻ろうとする話者・岩田。
 「いれずみお断り」。元・テキヤだが、妻子には逃げられていて、侘しい老人の死。
 「ヒロイン」。映画のスターだった女優の裏表。憧れる女性の、同棲相手は、2年前から働いていない。母親はだらしない。
 「鍵は開いた」。掌編連作。妻子ある男との不倫を解消する娘。合鍵を妻に捨てさせられる男。母は怒り父親から「失敗作だ」と言われる少年。泥棒の前科3犯だったが更生した中年女性。

 ダメな男女を描いてばかりだ。読んでいると、読者のダメぶりを炙り出すようで、自分も忸怩たる思いをする。
 しかし人のダメぶりは、人に誰にでも、部分的に、時期的にあるもので、特殊な場合ではないように思える。羽目を外さないよう、時に良い事もして、生活して行こうと思う。



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