風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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宗教

 沖積舎「梅崎春生全集」第4巻(1984年・刊)より、5回めの紹介をする。
 同(4)は、今月2日の記事にアップした。


 今回は、「熊本牧師」「飯塚酒場」「弁慶老人」「西村少年」の4短編小説、255ページ~279ページ、25ページを読んだ。
 「熊本牧師」は日曜学校への登校を、「西村少年」は同級生の恋への嫉妬を描いて、時代を戦前の小学生時代に採っている。
 「飯塚酒場」も、戦中の1943年初め頃の人気酒場で、早く1回分を飲み干して行列の後ろに付く、競争を題材とした。
 「弁慶老人」は、学生やプロの押し売りを撃退する事を楽しみとする、画家・早良十一郎とその隣人・大河内弁慶・老人が、地境の四ツ目垣の根元に植えるもので、諍う話である。
 少年時代、戦中、戦後の些細な事を取り上げながら、宗教や社会への怒りを含めているようだ。
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写真ACより、「秋の人物コレクション」の1枚。



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 綿矢りさの小説「ひらいて」を読み了える。
 入手は、先の3月27日の記事、綿矢りさの3冊、にてアップした。



 この前に読んだ彼女の小説「蹴りたい背中」は、3月22日の記事にアップした。


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 「ひらいて」は、2012年・新潮社・刊、新潮文庫・2015年・刊。メルカリで買った内の1冊だけど、帯を他の新潮文庫から流用された可能性がある。

 女子高生・愛が同級生・たとえを好きになるけれども相手にされず、たとえのガールフレンド・美雪とレズ関係を持って復讐しようとしたり、全裸でたとえに迫っても無駄である。
 人目を惹く女の子である価値を自覚するが、我を通そうとする、ブラック・ハート、ダーク・ハートの持ち主らしい。宗教に逃げ道を暗示し、高校卒業ですべてチャラになる。
 女子高生にそういう人がいるか知らないが、フィクションとしても、あまり好感を持って読めるストーリーではなかった。







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 今月10日にアップした記事、入手した3冊(4)で紹介した内、山田清吉・第9詩集「自然生死(じねんしょうじ)」を読み了える。
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 山田清吉さんは、卒寿を越えてお元気で、詩誌に発表し、詩集を発行して、詩の催しにも多く参加している。先の詩集「土偶(でこんぼ)」で、農民文学賞を受賞した。
 詩「お迎えおむがし」(おむがしは、「うれしい」の意)のようには、僕は死を待ち望まないけれども、平均寿命くらい生きて、穏やかに逝けたなら、と思う。
 宗教は、人類最大のマヤカシと思うので、ここでは深く取り上げない。宗教の権力との癒着、庶民への抑圧、搾奪は、目に余る。
 戦争への反省は重要であり、反原発も1説だろう。しかし「信仰なき祈り」のある時、未来へ向けて憂慮する事は多い。多発する自然災害(温暖化等、人災でもある)、人心の荒廃(保守政権が、教育に介入してからだ)、等。

 戦争といっても、これからは銃、大砲やミサイルだけでなく、サイバー戦争、レーザービーム銃の戦いになると予想する。
 金田久璋さんの巻末解説は、山田さんの詩に現れる「俺(うら)」の方言への考察を主に据えて、優れた1文である。




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 最近に手許に届いた、1冊と2誌を紹介する。
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 今村夏子の初めての長編小説「星の子」(単行本)が届く。
 同「あひる」を読むは、今月13日の記事にアップした。

 朝日新聞出版・刊。2017年3刷。
 これは失敗だった。内容は「あやしい宗教」に関わるものだった。僕は宗教嫌いである。
 「親しくない人と、宗教と政治の話はするな」と言われるが、本当だった。
 Amazonの古本を買ったのだが、カスタマーレビューを読んでいたなら、買わなかっただろう。少しネタバレ承知で、カスタマーレビューを読むべきと知った。

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 本阿弥書店より、綜合歌誌「歌壇」2019年7月号が、6月17日に届いた。
 11月号分まで、前払いしてある筈。
 角川「短歌」、「短歌研究」など、毎月読んでいる綜合歌誌に由って、詠む歌風も変わるのだろうか。

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 COCOONの会より、季刊同人歌誌「COCOON」Issue12が、6月17日に届いた。
 短歌が(文学が)苦しい時代に、若手歌人(1965年以降・生まれ)が、どう踏ん張っているか、読みたい歌誌である。


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「歌壇」6月号 (2)
 綜合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2019年6月号を、短歌作品中心に読み了える。
 到着は、今月16日の記事、入手した2冊(5)で報せた。
 同・5月号の感想は、先の4月23日の記事にアップした。リンクより、関連過去記事へ遡れる。
特集 熊野を訪ねて
 僕は宗教信仰を持たないので、熊野の奥深い山林にのみ興味がある。宗教は、あまりに権力と馴れ合って来た。縋るものが、宗教しかない、という人も憐れである。信仰なき祈り、という形が(日本人の大多数だろうが)、神の思し召しに最も近い、とある人が述べたと記憶する。短歌のみを読む。
巻頭作品
 「世は事も無し」的な作品が多い。社会問題を詠んでも、他人事である。
蘇る短歌 第15回 坂井修一
 英語で原爆「ファットマン」の「ファットとマンの間に・(てん)は要りますか」と問う生徒を、原爆の悲劇、ファットマンと呼ぶ心理に無関心で、試験成績にのみ関心があると非難する。しかし学問は、厳密性を求めるのであり、合理性と共に第1の事であり、非難するに当たらないと僕は思う。
引用

 小長井涼「酒舗一景」7首より。
はじめての百合根に「百合根記念日」と喜ぶ人を素直と思(も)はむ
 お酒が入ってのせいか、素直な人も、そう傍らで思う人も、純朴である。
 廣庭由利子「夏めく」7首より。
(いたつき)と聞きゐし人と偶然(たまさか)に立ち話する夕川の橋
 意外性と、回復に安堵する心が伝わる。
 僕がなぜ7首掲載より引用するかと言えば、歌が順直だからである。僕は長く歌を詠むが、有名になりたいとも、歌壇で活躍したいとも思わない。ある人は「短歌を栄達の方法にしてはならない」と述べたと記憶する。短歌の救いを信じるのみである。


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 今月21日の記事、「頂いた本など9冊より(2)5冊」で受贈等を報せた内、初めに挙げた詩誌「水脈」63号をほぼ読み了える。
 
同・62号の感想は、今年5月30日の記事にアップした。
概要
 2018年8月30日・刊。(年3回・刊)。A5判、39ページ。
 13名18編の詩、他に随筆、小説、報告等を収める。
感想
 A・比佐江さんの「乳頭温泉 鶴の湯」では、「二度と来られないだろう景色を/目の中に焼き付ける」と、老いての遊行を描いて哀切である。
 Y・やよいさんの「静かな夜」では、田んぼが駐車場になり、蟬、蛙、蜻蛉が死に絶え「かくして/今日のように/静かな夜になったのでした」と述べて、都市化、静かな環境が、優れた事ではないと知らせる。
 これまでの号を含めて、宗教に傾く作品がある事は、彼らの主張と比して納得できない。


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