
昨日に到着を報せた2冊の内、A・幸代さんの個人詩誌「野ゆき」vol.9を読み了える。
同・vol.8の感想は、昨年12月20日の記事にアップした。
県内には他に、個人詩誌を知らない。1年に1冊のペースだから、9年目になり、息の長い活動を続けている。
誠実で、実務にもたけた方である。
12行までの短い詩を、1ページ1編ずつ、5編を載せている。
表情は明るく見せているが、口調は暗い。「三枚目」では「娘なのにとんだ三枚目だと」、「山道」では「山道はたのしい」と書く。
しかし「まだ生きている」では「長い鎌を持った黒い影の/気配はいつもするが」と書き、「身代わり」では「身代わりになってくれたのは蛾」と書き、「髪」では「髪を切ると少し不安になる」と始まる。
この口調の暗さは、彼女の老いや個人事情のみに因る事ではないと思う。
戦後民主主義教育を受けた者は、今の社会情勢に、心苦しさを共有するだろう。
冒頭の詩「まだ生きている」より、初めの2連を引用する。
まだ生きている
A・幸代
つらいときにはつらいと
うんとじたばたしたから
いま生きている
愚痴を聞いてくれる友がいて
うなずきあって
いま生きている
(後略)
