風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

実感

 宇野なずき・歌集「透明な砂金」Kindle Unlimited版を読み了える。
 入手は今月5日の記事、入手した4冊を紹介する(11)にアップした。
 

 また2017年・刊の第1歌集「最初からやり直してください」は、2018年6月15日の記事にアップした。


宇野なずき 透明な砂金
 宇野なずきは、1989年・生、ネットを主に活動している。歌集「透明な砂金」は、2020年11月・刊。20首連作×7編。
 歌の言い回しは上手である。人生の実感を重んじる伝統と合わないかも知れない。
 現在の人に刺さる歌が多い。また現在の風物を取り入れている。

 以下に7首を引く。
はじまりの合図に鳴った銃声が頬をかすめて二の足を踏む
降ってきた 誰かのために走れなくなってそれから煮物がうまい
こうやって思い出さない日が増えて普通に暮らす未来がこわい
燃えている川の流れに逆らうと賢い猿に同調される
アルバムに保存されると過去形になるから置いていかないでください
終電で退職届の下書を引き止めてくるソシャゲの通知
きっとこの努力は報われないけれどバーベキューとか楽しかったね




このエントリーをはてなブックマークに追加

 村上春樹の短編小説集「一人称単数」を読み了える。
 到着は、今月21日の記事、届いた2冊を紹介する(14)にアップした。





IMG_20200720_0002
 「一人称単数」」は、2020年7月20日、文藝春秋・刊。8編の短編小説を収める。

 初めの「石のまくらに」は、二十歳にもなっていない「僕」が1夜を共にした娘さんが、数日後、歌集(実は5行歌風)を送ってくれて、今でも机の引き出しにおいて、稀に読む、という話である。娘さんの名前も顔立ちも覚えていないけれど。紋切型でいうなら、「人生は短い。芸術は長い。」の実感だろう。
 「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」は、大学の文芸誌に1文を載せた、という事からフィクションだろう。しかもその1文の内容はフィクションだった。フィクションにフィクションを重ねながら、夢に現れたチャーリー・パーカーがボサノヴァをプレイした事は真実だろう。作者がその夢を実際に見たか否かは別にして。
 「ウィズ・ザ・ビートルズ」は、1種のヰタ・セクスアリスであると共に、15年後にはその相手・サヨコが結婚・2人子を持ちながら、32歳で自死していた事を知る。村上春樹の小説に時々現れるテーマで、彼にトラウマがあるのか願望か。
 「品川猿の告白」は、言葉を覚えた猿が、女性を恋しくなると名前の1部を盗み(女性は自分の名前を忘れたりする)、その名を呼んで耐える、というストーリーである。荒唐無稽ながら、1種実感がある。
 書き下ろしの「一人称単数」では、バーで見知らぬ女性から酷く非難される。「恥を知りなさい」とまで言われて。僕たちも村上春樹の小説に期待する余り、むやみに非難する事は避けたい。
 でも村上春樹は、自身が言っていた、ドストエフスキー流の作家になれるのだろうか、長編小説に期待したい。


このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ