![わたくし率 イン歯ー、または世界 (2)](https://livedoor.blogimg.jp/teruyamakun-sasuke/imgs/2/b/2b492f5a-s.jpg)
川上未映子の講談社文庫より、「わたくし率 イン 歯ー、または世界」、「感じる専門家 採用試験」を読み了える。
同・本の入手は、今年4月29日の記事、(同)をローソン店で受け取るにアップした。
概要
2編の初出など、リンク記事に書いたので、ご参照ください。
川上未映子(かわかみ・みえこ、1976年・生)が、大阪の高校卒業後、弟の大学資金を稼ぐため、本屋のアルバイトとクラブのホステスをしながら、なぜ「早稲田文学」に伝手ができたのか、わからない。のちに上京して、歌手活動をしたから、優れた才能はどこかで見出だされ開花するのかも知れない。
「わたくし率 イン 歯ー、または世界」
自分の本質は脳でなく、奥歯にあると信じる女性が、歯科助手に就職し、お腹の子や同僚に宛てて手紙を書く。子の父親の「青木」の部屋を久しぶりに訪うと、別の女がおり、放り出されてしまう。
本質が奥歯にあると信じたのは、少女時代に苛めを受ける苦しさから考え出されたらしい。川端康成「雪国」の冒頭に主語がないテーマも、その時の自己抹消の方法からである。
結局「青木」の部屋の玄関から追い出され、過去も妊娠もあやふやとなって結末する。
「感じる専門家 採用試験」
前作よりも約半年、早く発表された。
ずいぶん詩的な表現が多いことと、大阪弁の文体が、印象に残る。「徹底的な後悔も、徹底的であるなんて、あれはそれで美しかったね」の1語が刺さる。
彼女は詩の才能があり、詩集で第14回・中原中也賞を受賞している。最近でも詩から小説に移って成功する、それも女性がいるんだ、と驚く。
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