風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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希望

 福井県俳句作家協会・編の「年刊句集 福井県 第59集」より、3回めの紹介をする。
 同(2)は、先の5月21日の記事にアップした。


 今回は、福井地区(福井市、吉田郡)の後半、59ページ~99ページ、41ページ分の82名820句を読んだ事になる。
 福井県は田舎であり、県都どうの言っても、田舎都市である。コロナ禍でなおひっそりとした過疎の村を温かく吟じ、洗車のピアス娘に希望を託す。信仰なきに祈りてマスクを縫い、父を戦争で失い顔を知らぬと数百字に優る嘆きを吟じ戦後は終わらない。賑やかだった家族が、独居となる侘しさも句材である。福井は宗教熱心な風土であり、政治的保守性にも繋がるかと思われ、そういう句も多い。

 以下に5句を引く。
巣ごもりの村静まりて麦の秋(I・倫子)
祈り込めマスク縫う日々花は葉に(T・恭子)
顔知らぬ父を追慕す終戦忌(U・恭子)
梅雨明ける新車を洗うピアスの娘(W・絹代)
九人家族ついに独りや神無月(T・和子)

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写真ACより、「雨の日」のイラスト1枚。



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 沖積舎「梅崎春生全集」第4巻(1984年・刊)より、7回めの紹介をする。
 同(6)は、今年1月28日の記事にアップした。

 リンクより、過去記事へ遡れる。

 今回は、「益友」、「小さい眼」、「豚と金魚」、「井戸と青葉」の4短編小説、303ページ~345ページ、43ページを読んだ。
 「小さい眼」を除く3編に、山名君という、自分より7つ8つ若い友人が登場し、家に出入りする。
 これまでにも、家に青年が出入りする主題の「犬のお年玉」、「風早青年」などの短編があった。
 今回の3作の山名君は、本業の画家では冴えないが、「私」のためにタケノコを買い付けたり、蜂の巣除去をし、犬を探して持ち込んだり、事情で子豚を持ち込んだり、井戸掘りを手伝わせたりする。

 山名君はフィクションだろう。若くて抜け目がないが、本業で冴えなく、明るい青年を描いて、戦後の希望を託したかと、作家の心理を推測する。

 「小さい眼」は、ミルクホールで会った目の小さいおばあさんに、学生の「おれ」が誤解で憐れまれ、派出看護婦会(おばあさんは会長だった)の家の1室に、半強制で住まわせられ困惑する話である。
 戦後15年を過ぎ、食うには困らないが、まだ貧しい世情を、庶民生活の心理の綾を探って描いた。
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写真ACより、「ガーデニング」のイラスト1枚。




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 2月13日の午後1時半より、県教育センターの会議室で、福井県詩人懇話会・主催の、第43回 会員の詩書を祝う会が催された。
 詩の催しとして、昨年11月21日の、2020ふくい詩祭以来である。


 詩書を祝う会の司会はN・Tさん、まず詩人懇話会・代表の渡辺本爾さんの開会挨拶があり、自由で多彩な作品を受け止めたいと述べた。
 著者にインタビュアーが問いかける形で、祝う会は進んだ。
1・笠原仙一・詩集「命の火」。インタビュアーはK・Sさん。この詩集と共に、彼の詩集を他に3冊頂いたので、後日、紹介し、感想もアップしたい。
 カタカナ語が多いが、の問いに笠原さんは、カタカナが好きでそうなる、と答えた。またK・Sさんはアジテート詩を評価し、笠原さんもアジテート詩はよく調べ練って創ると述べた。
2・渡辺本爾・詩集「時間の船に浮かぶ」。インタビュアーはS・Nさん。分けた3章の、1は旅立ち、2は希望、3はこれからの行く末、を意識したと明かした。しまいに渡辺さんは、新しい境地に行きたい、と締め括った。
 僕の感想は既に、昨年12月14日の記事にアップした。

3・金田久璋・詩集「理非知ラズ」。インタビュアーはK・Mさん。この詩集は、僕の手許にない。金田さんは「神との対話がバックボーンにある」と語った。
4・土曜美術社出版販売・現代詩文庫「山田清吉詩集」について。急遽、金田久璋さんが10分ばかり語った。
 会場からの発言も多く、盛況のうちに進んだ。

 著者への花束贈呈があり、詩人懇話会・副代表のS・Sさんの閉会挨拶。3詩集とも、未来へ希望を託している、と述べた。祝う会は予定の4時に過ぎた。

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 スマホの写真より。参加者は、写真に入らない人を含めて、25人だった。




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「歌壇」8月号
 今月14日の記事、届いた2冊(8)で紹介した内、綜合歌誌「歌壇」2019年8月号を、短歌作品中心に読み了える。
 同・7月号の感想は、今月5日の記事にアップした。リンクより、関連過去記事へ遡れる。
概要
 2019年8月1日付け、本阿弥書店・刊。169ページ。定価:800円(税込み)。定価の維持には感服する。
 短歌は1ページ1段、散文は1ページ2段となっている。
感想

 特集は、「第一歌集の批評会の思い出」である。当時は、とても厳しい批評が出たと読んでいる。
 僕は歌集を持っていないけれども、5冊の詩集を出しており、福井県詩人懇話会の合同批評会を設けてもらった事がある。そのおり、内容と関わりなく酷評する詩人がいて、険悪な関係となった。詩人懇話会でも「詩集批評会」から「詩集を祝う会」と名前を替え、著者へのインタビュアーのインタビューが主となって、酷評は収まっているかの感がある。酷評は、何らかのコンプレックスを背後に持つようだ。
 「作品7首」の中に、僕が属する「覇王樹」の金澤憲仁さんの「令和元年の相双にて」7首が載っている。小歌誌に拠る歌人の歌を取り上げることは、歌壇のまた「歌壇」誌の希望である。
引用
 その「令和元年の相双にて」7首より、1首を引く。
バリケードに塞がるる家つらなるを帰還困難区域へ見過ぐ
 福島原発事故の現状を、弛みなく、リアルに詠んでいる。


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 今月27日の記事、入手した5冊と1誌で紹介した内、松本博文「藤井聡太 天才はいかに生まれたか」を読み了える。ジャーナリスティックな本は、初めてではないだろうか。
概要
 NHK出版新書532。松本博文・著。2017年10月10日・初版。
 藤井聡太の郷土から、誕生、トランプ、プラレールの好みから、3歳で「雪の聖母幼稚園」に入り、モンテッソーリ教育を受けた事が大きいようだ。
  祖母・祖父との将棋の始めから、幼稚園生で「ふみもと将棋教室」、小学1年で「研修会」(幹事・杉本昌隆・現8段)、小学3年での全国大会初優勝、小学4年で奨励会入り(師匠・杉本昌隆8段)、小学6年で入段、中学生(史上最年少)での4段昇段(プロ入り)・29連勝フィーバー、2017年9月3日、39勝5敗の地点で、追跡は終わっている。
感想

 僕はこの世の天才の存在を信じており、藤井聡太7段、卓球の張本智和、バドミントンの若手女子たちの活躍を頼もしく思っている。
 世の中が、コワモテの首領(ドン)ばかりになり、戦後教育を受けた者には明るくない時代となる中で、希望だと感じる。
 天才少年が、天才青年、天才壮年、天才老年を迎えられるか、保証はない。運動選手の選手生命の短い事に比べて、知のゲームでは選手生命が長い。92歳で現役の囲碁棋士・杉内寿子もいる。
 藤井聡太が生活、社会面で大きく挫折しなければ、大棋士となるだろう。僕の残生の楽しみ(僕は将棋を指さないが)の1つである。


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 先の12月20日の記事、「1誌、1紙、1部を入手」で入手を報せたうち、季刊同人歌誌「COCOON」Issue10を読み了える。
 
同・Issue09の拙い感想は、先の10月7日の記事にアップした。
概要
 2018年12月15日・刊。A5判(?)87ページ。大松達知・発行人。結社「コスモス短歌会」の若手歌人を同人とする。
 先行する「棧橋」時代は1ページ12首で、今は6首だから、ずいぶん余裕のある掲載法である。また通常短歌以外の趣向なども、余裕がある。
 第10号というのは、1つの節目であり、小決算であろうか。
 内容に張りが満ちて来たように感じる。
感想

 以下、引用に添いながら、感想を述べたい。
 K・絢さんの「ミッキーマウス」12首より。
ミニカーを畳のへりに整然と並べ二歳の恍惚はある
 わが子の集中力を頼もしく思う、愛情が流露されている。
 M・恵子さんの「ゴジラ」12首より。
「そういうの苦手だから」と言っていたあなたお産に立ち会つてゐる
 信じ合う家族の、お産の場の新しい姿が詠まれている。
 Y・恵理さんの「Immigration officer」12首より。
そらいろのシャツにアイロンぴつちりと子は空港にヒール響かす
 迷って地元就職を決めた娘さんが、空港に働く、親娘の喜びを描く。
 T・桜さんの「冬の一日」12首より。
数百の柚子の実なりぬ<配る用><ジャム用><風呂用><描く用>にする
 若者に苦しい時代に、希望、喜びを見つけて、前向きに生きようとする。




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Kindle出版だろ!
 7月13日にダウンロードした、輿部タマキ「副業!?キンドル出版だろ!」kindle unlimited版を読み了える。
 今月14日の記事、
海河童「さるでもできるKindle電子出版2018」に次ぐ。

 この本では、「さるでもできる・・・」で書かれていた、何回ものファイル変換は要らないとされる。「さるでもできる・・・」が2018年版と銘打ちながら、旧版の改訂版だったため、Kindle出版がWordから出来る事を、追記的にしか書けなかったようだ。

 輿部タマキ(男性)は、Word2016に新しくバージョンアップして書いたようだ。難関の「ハイパーリンクで目次作成」のためである。
 作成手順を読んでみると、僕のWord2010にもある機能ばかりだ。縦書きにも対応しているようだ。ルビについては書いていない。

 少し希望が見えて来た。次の電子出版の時に、試みてみよう。どうしても駄目だったら、代行業者へ(有料で)丸投げという保険も付けて(玉砕は嫌だから)。


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