風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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平穏

 所属する結社歌誌「覇王樹」2021年6月号を、ほぼ読み了える。
 到着は先の5月29日の記事にアップした。

 リンクには、同・5月号の感想、僕の掲載歌6首、結社のホームページ「短歌の会 覇王樹」、3つへリンクを貼ってある。

「覇王樹」6月号
 コロナ禍に慣れたか、リモートワークに慣れ、家族の団欒が増えたり、マスク着用の顔に親しみを感じたりする。この平穏は、嵐の前の静けさではないだろうか。東京オリンピック期間のあと日本がどうなるか、世界の趨勢がポピュリズムよりどう変わるか、見通せない。
 散文のH・俊明さんの「覇王樹人の歌碑(54)」、W・茂子さんのエッセイ「落とし文考(77)」、S・素子さんの評論「後水尾院時代の和歌(79)」も順調である。
 受贈歌誌抄3冊を紹介、受贈歌集紹介・6冊2ページ、先々月号の歌の批評・4つ4ページと、内外に手厚い。
 注目する同人の一人に、Y・美加代さんがいる。今月号に「宛先はペガサスにしようカサブランカの匂うカード あなたへの」他を載せる。ずいぶん奔放だが、覇王樹の掲げる、平明・自由に、合うのだろう。
 もう1首、付箋を貼ったのは、M・久子さんの「私の有休」10首より、次の1首。「先輩に三十年目に出会いたり話せば彼女あの頃のまま」。社会や自然さえ変わる世に、人情は永く変わらない、と思う。




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 三浦哲郎の長編小説「素顔」(講談社文庫、1980年・刊、346ページ)を読み了える。
 三浦哲郎の小説を読むのは、今年1月24日に記事アップした、「夜の哀しみ」(上下巻)以来である。


三浦哲郎「素顔」
 「素顔」は1度、読んだ事がある気がしたが、このブログでも、前のブログ「サスケの本棚」でも検索に引っ掛からないので、初めてだろう。冒頭部を何度も読んで、記憶に残ったのかも知れない。
 長編小説といっても、連作短編集に似て、12章より成っている。作家の馬淵、妻の菊枝、長女の珠子、次女の志穂、3女の七重、ブルドッグのカポネ、の1家に湧く騒動(いずれもハッピーエンドでおわる)を描く。長女が痴漢に遭いそうになったり、馬淵に助力を得たい文学青年に家の周りを徘徊されたり、郷里の同級生が亡くなって弔辞を読んだり、様々な事件が現れる。
 しかしこの中にも書かれているが、作家の2人の姉の自死、2人の兄の失踪は、背景にあり、それらの小事件が解決されてみれば、家族は(郷里の母を含め)平穏で幸福な生活と見える。
 三浦哲郎が最後まで、原稿用紙に万年筆で執筆したのかと思うと、僕にも感慨がある。


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