風の庫

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幻覚

 思潮社の現代詩文庫78「辻征夫詩集」より、「隅田川まで」を読む。
 初めの「学校の思い出」「今は吟遊詩人」の感想は、先の12月29日の記事にアップした。
 

 「隅田川まで」の原著は、1977年、思潮社・刊。 
 彼の抒情詩には異質さがある。現実的論理を離れて、異世界の深くへ届く。
 想像というより、空想の軽さがある。詩情を脅かす現実が深みを与える。
 しかし異世界への参入の仕方は「アルコールの雨」、宿酔の力ではないだろうか。萩原朔太郎が「独自で日本のシュールリアリズムを創り上げた」と言われても、僕はアルコール依存の幻覚ではないかと疑っている。
 戦後詩の田村隆一は酒好きな詩人だったが、彼は深く病んでいた。

 「魚・爆弾・その他のプラン」の第2章より引いてみる。「夕陽を小型の爆弾となす/呪文を発見し 任意の/場所に落としてみる…」。
 辻征夫の詩は、賭ける深さに抜きん出ていたのだろう。しかし、生命と生活を保障した世界へ移ったのだろう。現代詩文庫には、「続 同」「続々 同」がある。
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写真ACより、「ウィンターアイコン」の1枚。




 



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 先の9月29日の記事、入手した5冊(4)で紹介した内、結社歌誌「覇王樹」2019年10月号をほぼ読み了える。
 9月号の感想、結社のホームページ、10月号の僕の歌、3つにリンクを張ったので、是非ご覧ください。

 

 引用8首に寸感を付して、感想としたい。
ボランティア呼ばるる会に入会す わたし暇です 必要ですか?
 K・悦子さんの「必要ですか?」より。必要とされれば、ボランティア活動もする、積極さ。
何処へ行く当てなどないがふらふらり気の向くままのネット散歩は
 Y・美加代さんの「夏の妖精」より。先の歌と対照的に、ネット散歩に興じている。籠もりはしない。
日光彫り飾り絵皿は飾られずお盆になってコーヒーが来る
 K・いつもさんの「はまぐり楼閣」より。現代生活の、豊かなある場面を詠む。
停電に部屋を手探りする吾はまなこ退化の深海魚めく
 K・恵美さんの「熊野川」より。「~めく」という、短歌の比喩に僕は気付いた。
梅雨寒に君のジャージを羽織りたりあの日の会話も蘇りきぬ
 S・公子さんの「納戸の異界」より。亡夫恋の歌として、具体的である。

うずくまるように従きいる夏至の影目だけを晒し若き女(ひと)過ぐ
 T・律子さんの「夏への助走」より。短い影を比喩で表し、ミステリアスな1首。
土耕し今年も植えた野菜苗 母に似てきたわたしがみえる
 N・悦子さんの「ここほれわんわん」より。他より安易に窺い得ぬ、苦労と楽しみがある。
風になりし君がひそかに窓叩き元気かと問う昼の幻覚
 N・ま寿子さんの「森林浴」より。親しかった亡き人への思いが、幻覚を呼ぶ。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。




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