風の庫

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戦後詩

 今月8日の記事、入手した3冊を紹介する(9)にアップした内、「三重県詩人集 vol.28」を読み了える。


三重県詩人集 vol.28
 短歌結社「覇王樹」の顧問、橋本俊明氏が贈って下さった。
 2020年4月1日、三重県詩人クラブ・刊。56ページに、北川朱美・代表の「巻頭の言葉」、20名の詩20編、3名の編集後記(1ページ)、他を収める。
 福井県詩人懇話会のアンソロジー「詩集ふくい 2019」(2019年10月30日・刊)の181ページ、53名61編に比べて少ない。福井県には別グループ「ふくい詩人クラブ」もある。

 北川朱美さんは、福井の詩人、故・南信雄さんを巡る著書があり、中日詩人会(福井県を含む)の関係もあってか、福井県詩人懇話会・主催の会合で講演してくださった事があり、カメラマン役だった僕は写真を送らせて頂いた記憶がある。
 アンソロジーでは、右に走る詩、戦後詩の末、生活埋没の詩の中で、別れを詩ったO・規子さんの「橡の樹の下で」、H・智里さんの「冬の別れ」に惹かれた。半世紀を経て元・教授と再会する、K・加恵さんの「かりんの酒」、慌しく老夫婦二人の生活となった、S・千鶴子さんの「そしてふたりになった」も、哀感深く現在を表している。

 
 


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 思潮社・現代詩文庫242「続続 荒川洋治詩集」より、3番めの「詩集『渡世』から」を読む。
 今月8日の記事、同「『坑夫トッチルは電気をつけた』から」を読む、に次ぐ。

 彼の詩は難解である。ある時、「遊びと言われようと、詩は新しさを求めるしかない」と語った。僕は表現の新しさではなく、心の(民俗でない)懐かしさ、事柄の新しさ(ネットの民俗など)を求めている。

 詩「くろまめ・めのたま」の中で、「稲の国のプラントオパールの村落青年では/ブナの木の先のことはすべてわからない」と述べる。僕の少年時代も全くそうで、世間がわかっていなかった。高校生時代、彼の主導で作ったガリ版刷り詩集の表紙代も、作家に序文を頂いた謝礼も、僕は全く気付かず、彼が払ってくれたと50年後に感謝している。

 詩「昨日の服」では、従軍生き残りの人たちを、「止まった/  愛のために/彼のセンスはもう/どこからもやってこない」と述べる。戦後詩は、豊かだった思いが、僕は今もあるけれど。70年以降の詩を指すなら、合っていたかも知れない。

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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


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