風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

救済

 萩原慎一郎・歌集「滑走路」を読み了える。
 購入は、今月2日の記事、dポイントで2冊を買う、にアップした。



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 角川文化振興財団・刊、2017年・初版、2019年・8版。
 歌集は、歌人が非正規労働者の苦しみを詠む若者だったこと、歌集の発行直前に自死したこと等に因り、評判を集めた。
 りとむ短歌会所属。三枝昻之・解説、著者・あとがき、両親挨拶・きっとどこかで、を付す。
 幼い部分もあるが、短歌による救済を信じ、つらい労働に耐え、淡い恋もして、生き抜いたが、成功を目前にして亡くなった。
 僕は彼が、幸せな心で亡くなったと信じたい。幸せな時には、「このまま逝けたなら」と思うこともある。また神経症では恢復期が最も危ういとも聞く。
 正規職員に成れたようで、歌集の評価にも自信があっただろう。
 僕は職を転々としたあと、正規職員に成れたが、中途採用の現場作業員で、規定により幾ら頑張っても課長にはなれない立場で、定年までヒラ労働者だった。彼の仕事の歌など、共感を持つ所以である。


 以下に7首を引く。
抑圧されたままでいるなよ ぼくたちは三十一文字で鳥になるのだ
更新を続けろ、更新を ぼくはまだあきらめきれぬ夢があるのだ
街風に吹かれて「僕の居場所などあるのかい?」って疑いたくなる
きみからのメールを待っているあいだ送信メール読み返したり
非正規という受け入れがたき現状を受け入れながら生きているのだ
箱詰めの社会の底で潰された蜜柑のごとき若者がいる
電車にて傷心旅行 こんなはずではなかったと呟きながら


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 この11月20日の「2016ふくい詩祭」のおりに頂いた本より、金田久璋・詩集「賜物」を紹介する。
 2016年10月、土曜美術社出版販売・刊。第3詩集。
 まず装丁を褒めておこう。紙本出版の夕映えを見るように、帯とカバーが渋く立派である。
 初めの「サテュロス」での「おのずと」「とんと」、「前と後」での「いやサ」「もっとも」などの修飾語が煩わしく、作品の豊穣になっていない。簡潔文を主張するのではないが、省き得る語は、自戒を含めて、省きたい。
 「サテュロス」の結末で「そこはそこ/臨機応変ってこともある/北風と太陽を按配よく使い分け/そこそこ方便交え 世間と折り合いをつけて/人生ほどよくしたたかに/時には鼻息荒く/嘯(うそぶ)いて」の処世術が、あざとい。地位を登ろうとする者の、それだろう。ヒラのまま定年を迎えると判った僕のそれは、「慎重、忍耐、面従腹背」であった。職をリタイアすると、面従腹背はない。
 「背中を流す」は、風呂で夫が妻の背を流す、睦まじさを描いている。悪性腫瘍を疑われたが、生検の結果、手術を免れた安堵の夜に。
 「パントマイム」の「知っているのだ なによりも柵や網が監獄であることを」の1行は、「なによりも」の句に疑問が残るが、優秀である。僕にすれば、壁も、すべての人間関係も監獄である。ネットと文学に救済の機会を夢見ている。


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