風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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文庫本棚

 軽い本をと思って文庫本棚より取り出し、大崎善生の短編小説集「ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶」を読み了える。新潮文庫、2008年・刊。



 前のブログ「サスケの本棚」によると、2009年1月29日に、彼の短編小説集「孤独か、それに等しいもの」(角川文庫)の感想をアップしている。その前にノンフィクション「聖の青春」、「将棋の子」を読んで、感銘を受けた。

 この本には、「キャトルセプタンブル」、「容認できない海に、やがて君は沈む」、「ドイツイエロー」、「いつか、マヨール広場で」の、4編を収める。
 いずれも娘さんが青年と出逢い、別れる物語である。感情過多で、感銘が薄かった。「聖の青春」、「将棋の子」では、事実が抑えていたけれど、フィクションになると甘いようだ。
 若者向けのファンタジーに思えてくる。


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 文庫本棚より抜き出して、色川武大の連作小説集「怪しい来客簿」を読み了える。
 彼の小説として、2019年9月3日の記事、「あちゃらかぱいッ」以来である。



 色川武大(いろかわ・たけひろ、1929年~1989年)は、プロ賭博師、雑誌編集者を経て、作家となり、阿佐田哲也・名で麻雀小説なども書いた。
 コアなファンがあり、没後、福武書店より、全16巻の全集が刊行された。

怪しい来客簿
  「怪しい来客簿」は、文春文庫、1989年・刊。17編を収める。長く蔵していたので、一茶「七番日記」(上)と同じく、本文ヤケしている。
 戦中から活躍し戦後に没落した知人、芸人、スポーツ選手などを描いている。
 相撲力士の出羽ヶ嶽文治郎、プロ野球の木暮外野手など、幸せと言える晩年を送った人物に救われる。
 多く没落して亡くなり、知人など、亡霊として現れたりする。
 仕舞いの「たすけておくれ」では、自身の胆石手術(こじれて危篤に陥った)をも、戯画化してユーモラスに描く。まるで亡くなった人たちの、仲間のように。


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 堀江敏幸の小説「めぐらし屋」を読み了える。
 彼の小説は以前、「雪沼とその周辺」「いつか王子駅で」「おぱらばん」「河岸忘日抄」と読んでおり、さいごの「河岸忘日抄」は、以前のブログ「サスケの本棚」の2009年11月7日の記事にアップした。



めぐらし屋
 「めぐらし屋」は、新潮文庫、2010年7月1日・刊。
 せせこましい世に、これはのんびり感傷的で、まどろっこしいくらいだった。購入当時は、仕事が現役で、僕は読み進められなかった。7年前にリタイアして、無職の日々を送っており、ようやく読み了えられた。僕の広いストライクゾーンに、入ったのだろうか。
 堀江敏幸は、三島由紀夫賞、芥川賞、他の文学賞を総なめし、各賞の選考委員も務めている(Wikipediaに拠る)。
 「めぐらし屋」というのは、主人公・蕗子さんの独居して亡くなったばかりの父の、職業ではないなりわいで、「ホテルや旅館ではなくて、何日か寝起きできるようなところを紹介する」という内容である。離婚して若く亡くなった母、未完の百科事典を訪問販売するなどした父、の秘密を蕗子さんは知るようになる。蕗子さんが「めぐらし屋」を継承する場面で、小説は決着する。
 この本を、ふと文庫本棚から取り出して読んだのだが、本にはいつか読まれる巡り合わせの時が来るものである。



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 7月13日(第2土曜日)の午後に、郵便で2冊が届いたので、紹介する。
 先の6月3日の記事、同(7)に次ぐ。

4U
 まず山田詠美の短編小説集「4U」(幻冬舎文庫)である。
 メルカリより300ポイント(税・送料・込み)で購入した。2000年・2版。帯付き。9編の短編小説を収める。
 今月7日の記事、山田詠美「マグネット」を読むの末尾に、後期の小説をもっと読みたい、と書いた実践である。ただしすぐ読むとは限らない。
 文庫本棚にあった彼女の「トラッシュ」(文春文庫、571ページと厚過ぎる)と共に、いったん文庫本棚に収める事にした。
 「4U」は、「for you」の略だというのは、僕の思い違いだろうか。

「歌壇」8月号
 綜合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2019年8月号が、同時に届いた。
 第16回筑紫歌壇賞の発表がある。60歳以後の第1歌集から選ばれる、ユニークな賞である。
 追悼 橋本喜典は、急遽の企画だろうか。



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