風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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旧号

 最近に手許へ届いた2冊を紹介する。
 まず所属する結社歌誌「覇王樹」の、2021年8月号が届いた。
「覇王樹」8月号
 同・7月号の感想は、今月5日の記事にアップした。リンクより、旧号の感想へ遡れる。


 もう1冊は、今村夏子「父と私の桜尾通り商店街」がAmazonの、ほしい物リストに残っているのを見つけて、メルカリの古本を、わずかなメルペイ残高とクレジット決済で買った。
父と私の桜尾通り商店街
今村 夏子
KADOKAWA
2019-02-22

 題名に惹かれたのだが、同題の作品を含む、短編小説集らしい。
 2019年、「むらさきのスカートの女」で芥川賞を受賞する、直前の作品集である。
 「むらさきのスカートの女」の感想は、2019年10月31日の記事にアップした。

 リンクより、他の作品の感想へ遡れる。
 2010年にデビューして、現在まで6冊刊行と、彼女はどうも寡作らしい。








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 本阿弥書店の総合歌誌「歌壇」2021年6月号を、ほぼ読み了えた。
 到着は、先の5月17日の記事にアップした。

 リンクより、旧号の感想へ遡り得る。

「歌壇」6月号
 2021年6月1日・付け・刊。169ページ。

 巻頭作品20首詠は、穏やかである。吉川宏志「組織図」で、自分の退職を描いている。もっとも何人を馘首して来たか、と思う。
 小島ゆかり「合鍵」では、改憲が消え、ワクチン接種の始まりによるコロナ禍の収束が見えてか、長閑である。次に1首を引く。
夫は長女をわたしは次女をひいきしてあほらし朝の会話も老いぬ
 夫のアメリカでの挑戦と挫折を仄聞した者には、感慨深い。
 特集の「短歌の中の光と闇」は、宗教めくかと読まなかった。編集部が新しく見つけたテーマだろうけれど。

 特別企画「短歌における話し言葉の効果」は、口語・現代文法の短歌を詠む者として、貴重だった。「サラダ記念日」以降、多くのトップ歌人が口語を取り入れ、ニューウェーブも現れ、口語短歌は認められてきた。擬古典短歌を詠んでいる場合ではない。
 連載「平成に逝きし歌びとたち(18)」は、河野裕子を取り上げている。講壇での髪豊かなカラー写真と共に、30首選が、作品集などで知る歌が多く、懐かしかった。版権の問題だろうか、早い全歌集の刊行が待たれる。

 作品7首より1首を引く。T・公作さんの「Bの鉛筆」より。
この辺が引き際だろう丁寧に頭を下げてゆるキャラが去る
 ゆるキャラブームもいつか去って、引き際の潔さを詠んだ。



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 先の4月28日に受け取りを報告した、同人詩誌「青魚」No.94を、ほぼ読み了える。

 リンクより、旧号の感想へ遡り得る。

「青魚」No.94
 僕やT・幸男さんには、詩を書き続けて来た悲しみ(有名になれなかった事を含めて)がある。
 それにして、年齢的には先輩のM・幸雄さんの「夜のカフェ・テラス」には、迫力がある。ゴッホの同題の絵の感想だが、その描き方の特色を、縷々述べていて、感動の様が伝わる。
 僕のソネットは、短歌に似て、連の割れ方跨り方の違和感、ボケぶり、老いてのネットのミスを描くばかりである。
 T・幸男さんの「腐葉土」「款冬花」「東盛庵」の3編は、老いての(居残り鴨)の心境を表す。
 年を重ねてから詩作を始めた同人がいる。少年少女の詩も、成年の詩とは乖離があると考える。老年で初めても、園芸や手芸と違うから、詩作を軽く考えないでほしい。生活の孫や家事や庭を、ただ描いてもそれだけである。事実とは違う真実(平穏の裏の悲しみ、など)を、むしろ事実と真実の間を潜り抜ける(いわゆる虚実皮膜論とも違う)境地を、僕も目指したい。
 巻末の2編の長文は、回想と自己弁護に思われる。





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