風の庫

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極限

 思潮社の現代詩文庫78「辻征夫詩集」より、末尾の作品論・詩人論を読み了える。
 先行する、評論・自伝は、今月9日の記事にアップした。


 この本の了いの紹介なので、表紙写真を再度アップする。
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 理論的な批評は、取りこぼす部分があり、作者の創作心を枯れさせるものである。辻征夫は2000年に亡くなったが、この本の初版が出版された1982年には、活躍中だった。
 詩人・野沢啓が作品論「現代的抒情の根源へ」を寄せている。辻征夫の初期の詩の演技性と照れの感覚を指摘するが、詩集「隅田川まで」ではリアルな認識力と確固とした表現意識を獲得したと賞賛する。事物の本質を一挙に開示する、とも。詩集「落日」以後、現代的抒情の極限(抒情の不可能性として現れる)を歩むと結ぶ。
 詩人論として、清水哲男の「辻クンのジャックナイフ」と、井川博年の「辻征夫の手紙」がある。詩人・清水哲男は少し年少の辻征夫を、辻サンではなく辻クンと呼ぶようになった経緯と、「せつなさ」そのものの辻征夫は自分のヤクザな生き方を思わせる、と搦め手から論じている。
 友人の井川博年は、かつて辻征夫と交わした熱い書簡を公開した。作品を認め合い、詩論や生活を語り合う、詩人仲間は好いものだ。


  
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歌壇1月号
 綜合歌誌「歌壇」2019年1月号を、ほぼ読み了える。
 
到着は、今月17日の記事「届いた2冊(4)」にアップした。
 同・2018年12月号の感想は、先の11月28日の記事ににアップした。
概要
 2019年1月1日付け・刊。169ページ。定価:800円(税・送料・込み)。
 ある程度の部数は見込めるだろうけれども、出版業の困難さを思う。
 加藤孝男(以下、敬称・略)の「鉄幹と晶子」、古谷智子「片山廣子」論の連載は過ぎており、篠弘「戦争と歌人たち」は休載が続いた。
感想
 「新春巻頭作品」では、述思の歌が多く、まれに描写の歌があると、親しみが湧く。
 道浦母都子の「土佐堀川」16首には、全共闘世代も老いて、このような感慨を抱くかと関心が持たれた。
 「第7回 ぶつかりインタビュー 佐佐木頼綱 (聞き手 佐佐木定綱)」には、感慨があった。父の幸綱の世代を経て、その息子たちがこれからの歌壇の世代かも知れない。定綱は年齢の近い歌人にインタビューする時、深い話を引き出せるようだ。
引用
 1首のみ引用する。武下奈々子「きつねうどん」8首より。
死にたいと愚図る老い人連れ出してきつねうどんを食べさせにけり
 家庭で老人を世話する、誠実さの極限だと僕は思う。結句の「にけり」には引っ掛かるけれども。




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