風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

橋田東聲

 結社誌「覇王樹」の顧問・橋本俊明さんが贈ってくださった、歌誌「覇王樹三重」No.126を読み了える。
 受贈は、昨年12月17日の記事、届いた3冊を紹介する(9)にアップした。同No.125の感想へ、リンクを貼ってある。


覇王樹三重
 「覇王樹三重」No.126は、2020年9月30日、覇王樹三重支社・刊、44ページ。
 橋本俊明さんは、「大逆事件と橋田東聲」と題して、「覇王樹」創刊者の橋田東聲が、幸徳秋水の母親に宛てた手紙、受刑者の歌を褒めた文章を取り上げ、分析している。

 9名が数十首ずつ寄せている。調べがなめらかである。僕の句割れ・句跨り、記号の使用などの歌では、馴染まないだろう。
 「覇王樹」本誌以外に作品発表の場を持つ事は良い事だろう。
 僕はもう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」で、毎日、創作日時と遅れながら、短歌発表の場を(pv数はともかく)持ち、発表意欲は充足している。


 以下に7首を引く。
廃業を決めてしまえば工場の機械工具は鉄の塊(N・和子)
眼裏に今日の自分を予習するしくじり多きをなくするために(T・好)
一時は百戸ほどの村と言ふ細々と農に就き来し語る(U・安世)
才媛だったあなたが歌を忘れしとう五月・風の便りが届く(N・清子)
杖の身に傘差し呉るる介護士の左半身打つ雨しぶき(O・孝一)
弁解はすまじと決めてこれ以上細くならない月を見ている(K・恵美)
アンパンマンお散歩買物籠さげて曾孫の相手を婆は楽しむ(A・つる子)



このエントリーをはてなブックマークに追加

IMG
 今月12日の記事「届いた3冊」で報せた内、初めの橋田東聲・歌集「地懐」を読み了える。
 結社「覇王樹社」に入会して半年の者が、100周年を迎えようとする結社誌の創刊者(主宰)の歌集の感想を書く事は、おこがましいかも知れないが、一応述べてみたい。
概要
 僕が読んだのは、短歌新聞社文庫・版。2002年・刊。
 原著は、1911年(大正10年)、東雲堂・刊。初めに「六つの墓 自序に代ふ」を置き、692首を収める。題名の読み方、意味は僕にわからない。
感想
 父母、甥二人、兄弟二人が亡くなり、歌集後には妻とも離婚し(子はいなかった)、家族に恵まれなかったようだ。
 自身は東大経済学科を卒業し、1919年「覇王樹」創刊、1921年・第1歌集「地懐」発刊と順調のようだったが、1930年に腸チフスにより44歳で死去した。
 「覇王樹」は生き継いで、2020年に100周年を迎えようとしている。
 歌を読む時、客観と主情を混ぜる場合、歌が弱くなる。
 橋田東聲は、生活感において庶民的であり、旅行詠では叙景と生活詠が重なって、優れた歌を生んだ。
 また思い遣りのある歌人らしく、思い遣っての歌、成り代わっての歌が多い。
引用

 以下に7首を引く。
夕かげにおのれ揺れゐる羊歯の葉のひそやかにして山は暮れにけり
小夜床にいのち死にたる父の顔に揺れつゝうつる蠟燭の灯り
茄子もぐとあかつき露にぬれにつゝ妻のよろこぶわが茄子畑
山峡の雪照る道をわが汽車はまがらんとして汽笛(ふえ)ならしたり
合奏のうたにあはせてつなぐ手をかたみに取りつ放ちつするも(露人の踊を見る、…)
おちいりてかろくとぢたる眼瞼(まなぶた)の目脂(めやに)の垢をのごひまゐらす(兄 二)
あきらめてあり経るものを何しかもわれの心のおちゆくかなしさ(同 初七日をすませて…)


このエントリーをはてなブックマークに追加

IMG
 僕の所属する結社歌誌「覇王樹」の創刊者、橋田東聲の短歌をほとんど知らないままに入会した。知っていたのは、前夫人との表面的なエピソードである。
 橋田東聲の短歌を、と思って、生前唯一の歌集「地懐」が短歌新聞社(すでに会社を清算)の短歌新聞社文庫で出ていると知って、Amazonのマーケットプレイスより取り寄せた。2012年・初版。

橋田東聲の研究
 また橋田東聲の生涯を、と思って、現「覇王樹」代表・編集発行人の佐田毅氏の研究書、「橋田東聲の研究」を、これもAmazonのマーケットプレイスより取り寄せた。
 2001年、短歌新聞社・刊、456ページ、函入り。

IMG_0001
 結社歌誌「覇王樹」同人の清水素子さんが、第1歌集「生の輝き」を送って下さった。
 先日に参加者に配られた、「名刺交換会名簿」のお蔭だろうか。
 歌集は2017年11月、覇王樹社・刊。佐田毅・序、365首、あとがき、経歴を収める。
 以上の3冊に読み入るのは、他の読書が待っているので、少し遅れるだろう気がする。




このエントリーをはてなブックマークに追加

CIMG9389
 結社歌誌「覇王樹」2017年7月号が、6月25日に届き、ほぼ読み了える。
 
同・6月号は、今月3日の記事にアップした。
 「覇王樹」代表・発行人の佐田毅氏は、「橋田東聲の歌論と実作について」で、東聲の歌論として「(歌は)森に囀る小鳥の歌の如きもの、人間の「ひとり言」、何の手段でもない、それ自らが目的であると説く」と述べる。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。T・恵子さんの「想ひ出」15首より。
いつしかに手を離したる子の歩み後つけながら微笑みの湧く
 想い出の1景ながら、心理的な意味も、重ねられている。
 僕の6首は、アメブロ「新サスケと短歌と詩」の、
6月27日の記事より2回に分けてアップしたので、横書きながらご覧ください。


このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ