風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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献身

 8月9日に、S病院内科へ、肺炎養生他のため、緊急入院しましたが、13日午後1時に、繰り上げ退院しました。血液検査の結果、炎症の跡はわずかに残っているが、値は下がっているから、大丈夫だろうと主治医の言葉でした。病院の看護は手厚いものでした。またブログのお仲間のお励ましが大きな力となりました。
 妻とは、コロナ禍のために会えず、スタッフセンターを通しての物のやりとり、スマホでの通信のみでしたが、送迎を含めその献身に感謝します。
 16日の月曜日には、別病院で紹介状と共に診察を受け、大動脈瘤の開胸手術の日程を決めなければなりません。古希を越え、内臓も古びたようです。

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イラストACより、「アクアリウム」の1枚。


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 筑摩書房の「増補決定版 現代日本文学全集 補巻8 上林曉集」(1975年2刷)より、2作品めの「きやうだい夫婦」を読み了える。
 1作品めの「風致区」は、先の2月24日の記事にアップした。


 「きやうだい夫婦」(きょうだい夫婦、この本で6ページの短編小説。時制が行き来しているので、この感想を書きながら、ページを捲り返さなければならない)は、「私」の妻が数年来、サナトリウムに入ったきりなので、「私」と娘・和子の世話を、妹の仙子に任せきりの様を描く。
 しかし1944年の暮れ、空襲が激化した頃、仙子が怯えて疎開したがるのを、「私」は東京で文筆生活を続けると言い張る。娘の和子も残ると言うので、仙子は苦しんだあげく残る事にする。1945年3月下旬、とうとう仙子は和子を連れて疎開する。
 戦後の1945年末近く、「私」は危急状態で、仙子だけを(娘は郷里に置いて)呼び寄せる。手紙を何度も書いたが、仙子がしばらく上京できなかったのは、汽車の切符を入手できないからと、手紙が来る。
 仙子は20歳から26歳まで、婚期をよそに兄とその子3人に犠牲的献身を続けた。小説に取り上げても、代償にならない苦難だろう。作家のエゴ(わがままなエゴ)の凄まじさに心震える思いをする。上林曉(かんばやし・あかつき、1902年~1980年)は、作家を続けられ、没後の2000年~2001年に、筑摩書房より増補版の19巻全集が出版されたから良いけれども、然程でもなく終わる生涯の作家だったら、献身も痛ましい事だったろう。
クリスマスローズ
写真ACより、「クリスマスローズ」のイラスト1枚。クリスマスに遅れて咲くグループもある。



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